浦和フットボール通信

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浦和レッズ2013ライブディスカッション 「苦労人・那須大亮のメンタルの強さは那須ノートにある?!」

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レッズ密着取材を続ける河合貴子氏に、本誌・椛沢編集長が浦和レッズの現状や選手達の思いを毎月訊く「レッズ2013月刊ライブディスカッション」。シーズンも半分を折り返し、個々の選手たちの状態はどうなのか。河合さんにお話を訊いた。(浦和フットボール通信編集部)

過酷な夏を乗り越えるためのコンディション調整

椛沢:夏場の連戦では、コンディションの重要性も感じました。

河合:コラムでも書いた、野崎トレーナーの『崎トレ』の取材の際に、野崎先生が教えてくれたのですが、選手はフィジカルが50、メンタルが50で、合わせて100になると考えているそうです。夏の暑い時期にフィジカルが落ちて25になる。でもメンタルが50ならば、75で戦える。フィジカルが25、メンタルが25になると50になる。50だと、普段の半分しかパフォーマンスが出せない状態なので、それで勝てるかといったら勝てないわけです。フィジカルは急に落ちるわけではなく、徐々に落ちていく。メンタルがガクッと落ちることもある。90分の試合でも上がったり、下がったりする。この部分でのメンタルも大きいと野崎さんが話をしてくれて、選手にも話しているそうです。気持ちで落ちた部分をいかに落ちるかをどうするかが重要だと。それを言われたときに、サッカーでは、2-0の試合が一番怖いというけれども、相手が1点を取ったらイケイケになってメンタルが一気に上がるからかと。なるほどと思いました。

椛沢:チームの雰囲気作りは重要だというのは、そういうこともありますよね。チーム全体の雰囲気を上げないと、選手のメンタルに影響をしてくる。その部分においては、ミシャが指揮を取ってから、その辺りのクラブ、チームの雰囲気が良い気がします。レッズとしては、科学的にメンタルトレーニングを導入するようなことはないのでしょうか。

河合:確かに、アロマセラピーをやっているチームがあったりもします。エンブレムの部分にアロマをつけて、新人がプレーする時は、ジャスミンの匂いでリラックスさせるとか。それが選手のメンタルに影響をさせていたります。レッズでは、具体的な施策は聞いたことがないですね。

苦労人・那須大亮のメンタルの強さは那須ノートにある?!

椛沢:環境面で、勝つためにやることは全てやっても良いでしょうね。さて、個々の選手の話にうつりますと、まず、那須大亮選手の評価がどんどん上がっています。甲府戦の決勝ゴール、マリノス戦のゴールも印象的でした。甲府戦でも「80分までゴールがなければ、俺が上がって決める」と言って決めたそうですね。気持ちが良い選手ですね。

河合:戦っているのが伝わってくる選手ですね。苦労人だけある。昨シーズン、柏レイソルでは心が叩き折れそうだったと言っていた。あんな強い人の心が叩き折れそうで、それでも踏ん張っていて、最後は天皇杯で優勝をした。よくうちに来てくれた。その時に話をしてくれた『那須ノート』を見てみたいね。彼に頼んでみたいと思います。

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椛沢:メンタルを整える意味でも、そのノートは色々な意味があるんでしょうね。彼のメンタルの強さが隠されているかもしれないですね。

河合:那須ノートには本を読んだ感想とか、自分が思ったこと感想などを思いつくまま書いているそうです。そして何かがあった時に、それを読み返すそうです。那須ノートを見せてもらって、コラムで彼を書きたいね。レイソル時代の那須さんと初めて取材をしたのだけど、そんな私に、なぜ那須さんは、天皇杯の決勝で、私に那須ノートの話をしてくれたんだろう。心が叩き折れそうだったけれども、足を止めることを辞めたら、先に進めない。何かをやることによって、一歩でも半歩でも良いから前に進むことが出来るんだと語っていたのを思い出します。

椛沢:サッカー選手じゃなくてもためになる言葉ですね。

河合:那須さんのメンタルの維持を原口が習得できたら、すごい選手になると思う。那須ノートを見せてもらうことは、私の課題としておきたいと思います。

椛沢:原口元気選手は、まだまだ精神面での成長が求められますね。本人も猛省をして、プレーでも魅せてくれるようになってきていますが。

河合:負けたマリノス戦のあとは、すごく悔しそうだった。代表選出をされても、チームに残ってチームトレーニングをしたいという想いが伝わってきたけれども、代表に行っても学ぶことがあることがあると切り替えていた。私も「代表で楽しんでおいで」と伝えたんだけど、彼はまだまだ伸びる選手だと思う。すごく楽しみです。

椛沢:先日コラムにも書いてもらった、小島秀仁は、リーグ戦ではなかなか出番がありません。

河合:啓太、阿部、那須の壁は高いからね。それを越えなきゃ、秀仁は代表に入れないから。長谷部も啓太も細貝も簡単には試合には出られなかったからね。これはレッズに入ってきた宿命かもしれない。出番がない選手といえば、私はひそかに期待を寄せているのは関口選手。私はフロンターレ戦で、最後に出てきた関口の評価は高い。突っかけるタイミングとか、すごく良い出来だったと思う。苦しい展開の中で、なんとか点を返してやろうという動きが見えた。

椛沢:しばらくミシャサッカーに慣れるまでに時間がかかりそうだということでしたが、徐々に馴染んできているのでしょうか。

河合:プレーでもやれているという部分は増えてきた。何年か前のレッズはサイドを補強しなければと言っていたけども、今はサイドが充実しているね。関口もそろそろ来るよ。見ていて!最初はミシャサッカーの中で苦しんでいたけども、半年が経って、十分やれる所まできたと思う。

椛沢:今季の補強は、みんなはまっていますからね。彼にも期待して待ちましょう。
マリノス戦では、マルキーニョス選手に「試合に出られなくても腐らずに頑張れ」と慰めの言葉も貰っていたようですね。

河合:大丈夫!関口は、全く彼は腐ってないよ。練習が終った後にも居残って、自分で図って素走りをしているからね。こういうことをやっている選手は秋にブレイクすると思う。秋にブレイクといえば、山田暢久(笑)。涼しくなると彼は来るよ。彼のボランチもあるからね。

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椛沢:興梠も結果を残せるようになってきました。福田正博さんも興梠には「もっと貪欲になれ。良い選手だけではダメだと。日本代表を目指せ」とスカパー!のインタビューで伝えていました。

河合:慎三は良い人過ぎるんだよね。性格がプレーに出ている。自分が耐えて落とすとか。その意味でも、まだ彼は優秀な転校生なんだよ(笑)。裏番長にはまだなれないね。もっとゴールが量産できる選手だから、期待をしたい。

椛沢:たかねえの期待通り、マルシオがジョーカーになって後半投入された時のアクセントになっていました。逆に、啓太が怪我した時にマルシオが先発スタートになると、ジョーカーがなくなり苦しむ場面もありました。

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河合:そうだね。そうなった時には、矢島慎也にも期待したい。彼は貪欲だからね。

椛沢:阪野は、どうでしょうか。

河合:短い時間で必ずチャンスが来る選手なんだけど、そこできめることが出来ればチャンスをつかめる。練習でも悪くは無い。でも、プレーが無難なところはある。阪野とは「アーセナル戦で、必ず出番が来るから、そこで何が出来るかだと、すごく楽しみにしているわ」といったら、すごい言い方だよね、と言われたんだけどプレッシャーをかけた(笑)。アーセナル戦後に、この記事は出ているから、どうなっているかね(笑)。ああ、まだまだだったと思うかもしれないし、いけるじゃないかという出来かもしれない。

椛沢:なかなか試合に出場できない選手はコンディション調整が難しいでしょうね。

河合:そこでJ3で、レッズがセカンドチームで参加をして、ホームスタジアムを駒場でやる。それはありじゃないかな。サポーターは大変になるよね(笑)。直輝がJ3でプレーをしていたら、サポーターもかなり来るでしょう。さらにレディースとダブルヘッダーで試合をするとか。

椛沢:サテライトがあった時は、かなりスタジアムに来ていましたからね。海外では、バルセロナにもBチームがあり、そのチームがトップチームと連動をしています。

河合:伸二が怪我をした時も復帰したのはサテライトだった。そのような段階も今は踏めないから、ありだと思う。

椛沢:シーズンの話に戻しますと、今年はナビスコカップは、なんとなく行けそうな予感がしているんですよね。2003年に初優勝をしてから、ちょうど10年が経つタイミングですし、そろそろ欲しいタイトルです。

河合:タイトルというものは、全て獲りたいね。スケジュール的に、柏がACLに勝ち上がると、レイソル戦が、ナビスコ決勝の前の水曜日になるので、そうなるとレッズにとっては不利な日程になってしまう。その前に準決勝は、川崎フロンターレですからね。この前の試合の借りも返さないといけない。リーグ戦も、この夏を終えた時にリーグの行方が見えてくるのではないでしょうか。

椛沢:次にこのライブディスカッションをする頃の状況が楽しみですね。

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