浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「動き出したボスゴリラ~山岸範宏選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

GKという、ひとつのポジションを争い。沸々と気持ちをたぎらせる、山岸選手

フットボールでたった1つのポジションであるGKは、ゴールを死守する最後の砦であり、そう簡単には変えられるポジションではない。

ミシャ監督になり、後ろからのフィードやゲームコントロールを求められるようになるとGKのポジションは、加藤順大選手へと変わった。若手への移行と言う見方も出来るが、それまでゴールを守って来た山岸範宏選手にとって見れば、心情的に穏やかでは無かったはずだ。それでも、山岸選手は浦和の背番号1番の誇りを胸に刻み、プロ選手として監督からGOサインがいつ来ても良いように、しっかりと日頃の練習から準備をして来た。

今シーズン、初のスタメン入りしたさいたまシティーカップのアーセナル戦では、世界の名門チーム相手に臆する事なく、山岸選手の実力を見せ付けることが出来たと私は思った。

アーセナル戦後、山岸選手は手応えを感じたように充実感溢れる表情をしていた。だが、いくらアーセナル戦のパフォーマンスが良くても、そう簡単にはリーグ戦での出場のチャンスは与えられなかった。ただ、どんな状況下に置かれても、山岸選手の練習に取り組む姿勢は変わることは無く、愚痴ひとつ零さずに、チームの為に自分が何を遣るべきか?!熟知していた。ベテラン選手として若手選手の見本となる言動や練習への取り組みは、取材をしていて頭が下がるものがあった。

プロ選手であれば「俺だって出来る!」「試合に出たい!」と言う気持ちは、誰だって持っている。しかし、山岸選手はおくびにも出さないが、決してサブGKのポジションに甘んじている訳でもない。

「当然、振る舞い言動は健全なものだが、自分の心底に眠っているものは、健全な物ばかりでは無かった。それを失くしたら終わりだと思う。一人のアスリートとして持っていなければいけないものだ。自分の奥底に眠っている『自分が出る』と言う自己中的なものがあるのは事実だ」と山岸選手は話してくれた。

山岸選手は、自分の心の底に眠っている物を健全な物ばかりでは無い自己中と表現したが、私はむしろ、それは健全な物であると思った。心の底にあって当然のものであるし、無くてはならない必要不可欠なものである。ただ、時に人は心の底にあるものを、間違った方向に持って行ってしまう心の弱さが多分にあるが、山岸選手は理性と知性を持ち合わせ強靭な心で正しい方向へと自らを導いているのだ。だからこそ、プロ選手として、何をすべきか?理解して、日々を過ごしている。

チームメイトから「ボスゴリラ」の愛称で親しまれている山岸選手であるが、どっしりとした存在感があり、知性の高さから賢人、森の王者と呼ばれる「ゴリラ」のボスは、山岸選手にピッタリの愛称である。「ボスゴリラ」と山岸選手に親しみを込めて最初に呼び出したのは、柏木陽介選手であった。

「ボス的存在で、若手には威圧感があり、ゴリラっぽい感じだった」と「ボスゴリラ」の愛称をつけた当時を振り返り教えてくれた。ゴリラは、昔から凶暴なイメージがあるが、実は温和で繊細な神経を持っている。群れをなして鼻歌らしきものでコミュニケーションをとって行動し、そのボスは、群れを統率して身体を張って群れを守る。山岸選手が「ボスゴリラ」とチームメイトから呼ばれる存在であることに、私は、納得してしまった。

そんな山岸選手に、ナビスコ杯準決勝1stレグ川崎戦の舞台が待っていた。山岸選手にとっては、昨年の6月27日ナビスコカップのグループリーグ予選で広島と対戦した時以来のJクラブとの対戦であった。公式試合から遠ざかっていると、良く「試合勘が鈍る」などと言われるが、さすが「ボスゴリラ」の山岸選手はそんなことを全く感じさせないパフォーマンスであった。結果は2対3と惜敗したが、浦和のファン・サポーターからは健闘を讃える拍手とコールが巻き起こった。

そして、中3日で迎えた天皇杯2回戦・栃木ウーヴァFC戦でもゴールを守った。勝つことが全ての1発勝負のトーナメントの試合で2対1と勝利をしたが、山岸選手は「前半2点先制して、後半、次の1点が大事とゲームに入ったが、60分過ぎに運動量が落ちてしまった」と悔しがっていた。

2試合出場したからと言って、次のリーグ戦に出場出来る保障や確信がある訳ではない。山岸選手は「結果は全てだ。勝利と言う結果が欲しい。J同士の試合でね」と心の奥でふつふつ燃えている思いを初めて口にした。気高き賢人である森の王者「ボスゴリラ」山岸選手が、勝利の雄叫びをあげるために満を持して動き出した。

追記
「『ボスゴリラ』の表記は山岸選手の了解を得て使わせて頂きましたとしたら良いよ」と、山岸選手がアドバイスしてくれました。有難うボスゴリラ(笑)

Q.筋肉痛を繰り返していると肉離れになり易いのでしょうか?

A.筋肉が硬くなった状態が、元の状態に戻るのには、24時間から48時間掛かります。激しい運動を行った場合、48時間休憩をしないと筋肉は回復しません(これを超回復と言います)。回復しないうちに、どんどん繰り返し運動を続けていると筋肉が硬いままになってしまいます。筋肉が硬いと、関節の可動域が悪くなり、柔軟性もなくなってしまい肉離れなどの怪我をしやすくなります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科クリニック
整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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