浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「7年後の未来を見て~邦本宜裕選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

将来への希望の光

10年に一度と言われた大型台風26号が、関東地方を通り過ぎ雨は止んだものの、冷たい風が吹き抜ける中、浦和駒場スタジアムにて天皇杯3回戦となる山形戦が行われた。

自分達のミスからリズムが作れず山形に先制され、追いつくものの引き離され、悲しい結果に終わった天皇杯。

坪井慶介選手は「敗者に語る物はない」と言葉を残し自責の念にかられていた。昨年の3月20日ぶりにスタメンを飾った山田直輝選手も小島秀仁選手も不甲斐ない自分を責めていた。暗く沈んだ敗戦の中で、浦和を愛する人達に希望の輝きを見せてくれたのが、ユースの邦本宜裕選手と関根貴大選手であった。

浦和は、10月12日にナビスコ杯準決勝セカンドレグを決勝を目指して川崎Fと闘い、中3日で天皇杯を迎えることとなった。天皇杯後には、勝ち点1差で浦和を追いかける鹿島との対決が待っている。しかも、首位の広島と2位横浜FMが直接対決をするため、結果次第では、広島、横浜FM、浦和と勝ち点が並ぶ可能性がある。優勝とACL出場をめざすならば、絶対に鹿島には負けられない大一番である。

天皇杯、山形戦の前日、ミシャ監督は「チームのバランスを考えて、どのように準備して挑んでいくか?難しい状況である。我々は、天皇杯も強い気持ちを持って、勝ち上がりたい。現時点でのチームのベストで臨む」と話した。そして、ミシャ監督は、ユースから高校1年生の邦本宜裕選手と来シーズントップチームに昇格が決まっている関根貴大選手を試合前日練習に参加させて、公式戦で初のベンチ入りをさせたのであった。

ベンチ入りだけでも、良い経験になるし、ユースの選手は山形にリードして楽な展開になった状況でピッチに送りだして上げられれば良いなどと、私は甘い状況を想定していた。

ところが、後半20分、小島選手の足が攣り、邦本選手の出番が回って来たのだ。1-1の緊迫した状況であった。だが、邦本選手は臆することなく、左のスペースに浮球でふわりと梅崎司選手にパスを出し山形のDFの度肝を抜いたのだ。私の記憶が正しければ、ファーストタッチのプレーであった。しかし、後ろからの攻撃の組み立てでインターセプトされ失点、1点を追うこととなった。

後半24分、矢島慎也選手の足が攣り自ら交代を志願して、関根選手と交代。なんとか同点に追い付こうと、フレッシュなユースの2人がボールを追いかけた。そして、関根選手が山形のDFにプレスをかけて潰れた所を、邦本選手が見逃さずにボールを拾って左足で豪快にゴールを決めたのだ。

試合後、ガッチリとした体格からは想像出来ないぐらいあどけなさが残る邦本選手は「ゴールは、思い通りのシュートになって嬉しかったです。試合に出るからには、出来る限り力を出してやろうと思いました。点を取れたことは良かったと思いますが、チームが負けてしまって結果的には残念です」と報道陣に囲まれて戸惑いなのか・・・あるいは敗戦の悔しさなのか?小さな声で話した。

公式戦デビューを勝利で飾れなかったが、来シーズンの関根選手に期待したい。そして、僅か16歳で鮮烈なデビューを果たした邦本選手は、ユースで更に磨きをかけるだろう。

邦本選手は、福岡のFC・NEOジュニアユース出身でその才能を見込まれて浦和にやって来た。北海道キャンプにも帯同し、練習試合にも出場している。視野が広く、パスセンスも良いが、一番の特徴は左利きのドリブラーである。胸板厚く、ガッチリとした体格のドリブは、重戦車のようである。

ミシャ監督は「若くてタレント性がある。ゴールは決めたが、まだまだ足りない。将来的におもしろい選手。だが、褒めすぎるのも良くない。練習を積まないといけない」と邦本選手に期待を寄せている。7年後、東京オリンピックの晴れの舞台でゴールを決める邦本選手の姿を見てみたい。邦本選手が歩む7年間の道のりは、そう簡単な道では無いはずだ。

まずは、ユースで結果を残さなければ、トップチームへの道は無い。まだまだ伸び盛りの邦本選手が、この先、道を逸れることなく、フットボールにかける情熱と惜しみない努力で真っ直ぐに育って欲しいと願う。輝く未来へ向って、自ら道を切り開け!

Q.アキレス腱断裂は手術しないと治らないのでしょうか?

A.アキレスけん断裂の治療法は、手術で治す方法と最初からギプスや装具で固定して治す保存治療があります。腱は、骨と同じ様に長期間固定をすれば癒合します。従って、アキレス腱が切れた場合には手術をしなくてはいけないということで決してはありません。ただしギブスで治す場合は、固定時間が長くなり、またリハビリが長くなることと、再断裂と言って、アキレス腱断裂が治っても、直後に再び切れてしまう可能性が、手術で治すよりもやや高くなります。レベルの高いスポーツ選手は、着実に直し、また早期にスポーツ復帰するために、手術を選択する傾向があります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科クリニック
整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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