浦和フットボール通信

MENU

【This Week】週刊フットボールトーク Vol.169 (12/11)

セレッソに大敗でシーズンを終える。来季に繋げなければいけないものは何か。

saitamasta

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:2013シーズン最終戦となるセレッソ戦が、ホーム埼玉スタジアムで行われました。57,000枚のチケットが完売して、今季最多入場者数となる54,905人が集まりました。前節の鳥栖に敗れて優勝の可能性がなくなったものの、勝利すればACL出場権が獲得できるという状況でした。試合前にはサポーターの呼びかけにより選手入場時に、スタンディングオベーションで、「好きにならずにいられない」が歌われる中、5万人のサポーターが各々のマフラーを掲げて選手を迎えました。あの光景は壮観でしたね。

豊田:SB席でも持ち合わせがない子どもや年配の観客にタオルマフラーを貸し、掲げ方まで教えているサポーター家族やグループが見られました。スタンドでは総力戦の構えのオープニングができていたと思います。

椛沢:試合は2-5での敗戦。序盤は浦和が良い形を作り、勢いそのまま24分に原口元気のゴールで先制をしましたが、そのリードも前半まで持たず、杉本、南野に決められて逆転。リードを許すと、チームは崩れるように瓦解をして5失点。最後は6位という順位に終わりました。終盤に崩れたチームのバランスは最後まで立て直すことができませんでした。埼スタ超満員の中でプレーをしている自覚と責任をチームも選手ももっと持たないといけません。シーズン最後の試合としてはお粗末すぎる試合でした。

豊田:最終的には鹿島にもかわされて6位。この結果を受けいれねばならない今となっては、逆にキックオフのヒートアップがまざまざ甦ってしまいます。その熱が正念場のホーム2試合でゲームに反映できなかったのですから。原口君の先制点も崩しの形にはなっていたものの、フィニッシュは彼のシュート技術がなくては枠に収まらない場面だったと思う。それに引き換え、相手の若手コンビにかき回されたレッズの失点はいかにもイージーに持ち込まれた印象です。

椛沢:終盤の失速を見せられてしまうと、このままで大丈夫なのかという声が挙がってくるのも致し方ない所だと思います。ミシャ2年目となる今季は、確かに攻撃面での進歩というものは感じることができて、実際に66得点はリーグ1位の成績です。しかし攻撃の反面、守備のバランスが崩れて、56失点。優勝した広島の29失点の倍近い失点をしてしまっています。攻守のバランスを如何に取り戻すのか、これはミシャに課せられた大きな問題点でしょう。

豊田:高い位置でセレッソの攻撃をインターセプトしてサイドのフリーの選手に展開されても、そこから安直なバックパス。前線で興梠君が守備をかわして始動してるのに……というヤキモキするシーンが前半終盤から出始めた。客席では舌打ちやタメ息の合唱……あのイレブンの減速には本当に暗澹とした気分になりました。

椛沢:相手に引かれた時にこじ開ける力の必要性も、重要な試合で落とす場面を見て感じる部分です。サイドを強烈に打ち破る選手なのか、センターフォワードで中で高さや強さを見せられる選手を使うのか。相手が研究して攻略してくればくるほど、このピースが欠けていると感じました。

豊田:ただ終盤の勝負ゲームに関しては「攻守のバランス」や「駒不足」では言い表せない要素も含まれているのでは? かつて取材させていただいた轡田隆史さんがつねづね口にされている部分であり、今回の試合後にもマスコミの方々とも同意したのですが、指揮官やイレブンが変遷しても「レッズの勝負弱さ」というのは変わらず継続されています。編集長も感じたかと思うのですが、ミシャの戦術を苦じみながら体現して辛うじて得点にたどり着く浦和。その浦和の緩慢なプレーやミスを突いてあっさりとゴールを陥れる敵イレブン……この構図をクライマックスの数試合で連続で見せられた気がするのですが、いかが?

椛沢:「勝負弱さ」というものは強く感じたラスト4試合でしたね。浦和は特にプレッシャーが強くかかるチームの中で、勝者のメンタリティを持ち合わせている選手は見受けられなかった。逆に焦るところを相手に突かれてやられてしまうというシーンが散見されました。浦和においては、美しいサッカーを展開すれば許されるという雰囲気はないと思います。そこに勝利の姿勢も見せないといけない。まだ現状のチームは美しくなれることしか考えていないような印象を受けます。来季はここに勝利への姿勢を付け加えてもらわないといけない。ミシャも来季は3シーズン目です。結果が求められて然るべき時期が来ています。補強の部分でも連覇した広島から、また選手がひとりGK西川が加入するという話が濃厚です。その他、複数人補強をするという話も出ているようですから、しっかりと戦力を整えてもらいたいと思います。このあたりの話は、12月25日に開催する、「URAWA TOWN MEETING 007」で橋本代表を招いでお話を聞きたいと思います。

豊田:このミーティングは重要なものになりますね。ご参加をお待ちしております。

椛沢:最終戦、終了後には、今季で退団する山田暢久選手、野田紘史選手、永田拓也選手のセレモニーも行われました。山田暢久は94年から20年在籍したレジェンドプレイヤーです。2006年にはキャプテンとしてリーグ初優勝に貢献して、数々のタイトル獲得の立役者ともなりました。ずば抜けた才能がありながら、欲がなかったり(笑)飄々としていてレッズ的というよりは、浦和的な選手だったのかもしれません。20年同じクラブで活躍し続けたという、彼のような選手は今後の歴史においても、なかなか現れることはないでしょう。そのくらいの偉業を果たしてくれました。まだまだ身体の衰えを感じていないということでしたから、レッズが大切に守って欲しかったと思いますが、他のクラブでプレイヤーとして活躍する姿をまだまだ見たい気がします。

豊田:ノブヒサ選手の印象は、レッズの明暗にまんま被る記憶に繋がっています。降格が決まった駒場の広島戦延長戦突入に「駄目?もう駄目?」とベンチに確認している表情。そして全盛期のギド・レッズのイレブンにあって、キャプテンマークを腕に颯爽とピッチを走る姿ですね。

椛沢:野田選手、永田選手も他のクラブの主力として活躍できる能力を持った選手です。今後の活躍にも期待をしたい。永田は浦和・三室出身で、レッズユースとして高円宮優勝メンバーの一人でもありました。トップチームでも輝いて欲しかった逸材ですが、他のクラブにいっても、浦和の誇りを胸にして闘って欲しいと思います。

豊田:仕方のないこととはいえ寂しいです。将来を嘱望されていたメンバーたちであるだけに、レッズの変遷の中でファンにとってはやるせない気分を持つ人も多いようです。

椛沢:天皇杯にも敗れているためにレッズは完全にシーズンオフに入りましたが、浦和のサッカーでは大晦日から開幕する全国高校サッカー選手権大会に、市立浦和が登場します。市立浦和は1月2日の初芝橋本戦からシードとして登場です。県予選でも見せてくれた、これぞ浦和のサッカーを全国でも見せてもらって、最後となる国立の舞台に是非、足を踏み入れてもらいたいと思います。

豊田:密かに期待している周辺の同志、多いですね(笑)。URAWAを胸に、熱く神宮の杜に集まる興奮を是非とももう一度味わいたいです。

ページ先頭へ