「まずは結果が最重要。開幕、無失点勝利スタート発進」ゴール裏からの試合レビュー Jリーグ第1節vsガンバ大阪
Jリーグ2014シーズンが開幕した。浦和レッズは敵地・万博記念公園陸上競技場でガンバ大阪との開幕戦となった。当日の天候は雨。雨はシトシトと降り続き、寒さとの戦いが待ち受けていた。そんな中でもレッズサポーターは開門前から長い行列を作り、ゴール裏スタンドだけではなく、メイン、バックの一部もレッズサポーターがスタンドを赤く染めた。
開門前には前代表の橋本さんが、淵田新社長を連れてサポーターに挨拶を交わしている姿が印象的だった。淵田新社長もこれから勉強させてくださいという感じで、サポーターの声をじっくり聞いている様子だった。
ガンバは昨年J2のシーズンを過ごしていたために2年ぶりの万博での試合となったが、スタジアムでの演出を含めた雰囲気は、様変わりしていて、ガンバサポーターのリードと共に応援歌がビジョンに映し出されるなど、ライト向けすぎる演出に「ガンバも変わったなあ」と、レッズサポーターからは失笑がこぼれた。
選手が登場するとゴール裏スタンドからは「結果で示せ」という横断幕が掲出をされた。昨季の終盤戦連敗の結果を受けた今季、そしてミシャ3年目のシーズンということもあり、言動などではなく、結果でサポーターに対して示すことが一番の回答になる。
オープニングメンバーは、GK西川、DF槙野、那須、森脇、MF阿部、柏木、宇賀神、平川、梅崎、原口、FW興梠。新加入のGK西川、ボランチに柏木、シャドーには梅崎が入ったが面子として昨季から大きく変化した印象はなかった。
試合は、お互いにしっかりとボールを保持してゲームを創る対戦だったということもあり、バランスが互いに崩れることはなく、前半は大きな動きがないまま時間が経過をしていった。新加入のGK西川は特長でもある足元の上手さで、ビルドアップなどで最終ラインの落ち着きを作っていた。しかし、まだゴール裏スタンドから西川コールは無し。この活躍が続いていけば、西川コールが起きる日は時間の問題だろう。このまま前半が終了するかと思われた43分。左CKを柏木が蹴ると、相手DFのクリアボールが阿部に渡り、阿部が左足でシュート。そのボールを槙野がゴールに押し込み先制点が決まった。良い時間帯での先制点で、レッズは幾分の余裕を得ることができた。
後半に入ってもガンバが果敢に流れを作る展開はなくゲームを通しても、それほど攻撃に迫力を感じることがなかった。エース宇佐美が怪我で欠場していることがガンバの攻撃の迫力の無さに起因していることは間違いないだろう。対する浦和のエース番号9番を背負った原口元気の存在感は今までに増して凄みを増してきた。積極的な突破あり、正確なプレー選択も出来るようになり、守備においても大きな貢献を果たしていた。彼のプレーからは今季にかける想い、意志がヒシヒシと伝わってきた。ゴール裏スタンドもそれに応えるように、原口コールが最も多かった。広島化と呼ばれる中で、彼の活躍を望む者は多いと想う。そしてその期待に今季、彼は応えてくれるのではないかという期待を持てる開幕戦だった。
ミシャは67分に、梅崎から李に代えると75分には那須から永田に。81分には興梠から啓太に交代させて、李をワントップにシフトさせて柏木をシャドーに上げて、啓太と阿部のダブルボランチを組ませてゲームを閉める交代策を採った。この交代からもバリエーションある交代が出来る選手層が整った印象を受けることができた。
8試合ぶりの無失点勝利。内容から言うと、まだまだ満足できるレベルではなかったが、この開幕戦は結果を残すことが最重要だったと思う。しかも無失点で終えることが出来たのは多少なりともチームの自信にはなったのではないだろうか。試合を通して守備陣を中心として緊張感があり、無用な失点を与えてはいけないという姿勢はプレーから感じることが出来た。守る時は、しっかりと引いて5バックになり、下がり過ぎずボールにもアプローチをかける。このバランスが取れれば、大崩することはなさそうだ。
昨年の10月以来の勝利で、大阪の夜空にレッズサポーターが高らかに唄う『We are Diamonds』が響き渡った。試合後にサポーターに挨拶にきた、この試合のヒーロー槙野に対しては賞賛の声はなく、むしろ厳しい声が飛んでいた。この1試合の活躍程度では、昨年失った信頼を取り戻すことは出来ないだろう。ゼロとなった信頼を取り戻すくらいの気持ちを持って、高いパフォーマンスを続けてもらいたいと思う。
次は埼玉スタジアムに戻ってホーム開幕となるサガン鳥栖戦。鳥栖も開幕戦で徳島に5点を奪う大勝で開幕を飾って勢いに乗っている。昨季の終盤でも本当に悔しい敗戦を喫したチームでもあるので、この鳥栖をしっかりと叩き潰して、リーグスタートダッシュの足がかりを作りたいところだ。