「新たな浦和レッズのスタート」ゴール裏からのレビュー Jリーグ第5節vsヴィッセル神戸(2014/3/31)
横断幕問題を受けて、「過去のトラブル及び今回の事案について、当事者としての責任を認識し、全員で解散を決めました」というコメントと共に、ゴール裏中心部のクルヴァ11チームが自主的解散を行ったと浦和レッズオフィシャルホームページで発表された。
それを受けての敵地でのヴィッセル神戸戦は、コールリーダー、太鼓、中心部のリーディングという存在はなくなり、各々が思った時にコールをするという、『イングランドスタイル』でのサポートとなった。
GK西川が登場すると、どこから巻き起こる西川コールに全体が呼応し、全選手が出てくると浦和レッズコールが起きた。多くのサポーターが自分たちが頑張らなければという思いを持ってスタンドに駆けつけていたのだと思う。
試合前には、浦和レッズで育って、今季から神戸に完全移籍した高橋峻希選手の選手紹介があると、「思いあるブーイングをしてください」という彼の希望とは反して、大多数が拍手で迎える形となった。敵となっても愛されている存在であることは変わらないということの表れだった。
ゲームは、序盤から浦和の特殊な形に対応できない神戸に対して、浦和が最後尾からのビルドアップを展開してリズムを作り、ゲームを支配していった。35分には、浦和らしいパスワークから左サイドの宇賀神が、ファーに流れていた梅崎にドンピシャのクロスを上げると、そのボールをボレーであわせて梅崎がゴールを決めて先制。自然と行った梅崎のチャントで、スタンドが盛り上がった。
前半はその1点で終了して、折り返すと、後半は神戸が対策を施して終始神戸ペースでの展開となった。徐々に圧力をかけてくる神戸に対して、浦和は愚直に自分たちのサッカーを展開して、最後にミスが起きてしまった。最終ラインのビルドアップから、右サイドでボールを受けた森脇が、無理にキープを図り、そこを突かれてボールを奪われると、そのまま同点ゴールを決められた。その後も神戸のペースを跳ね返すことが出来なかった。逆転ゴールも最終ラインのビルドアップから、啓太が狙われて自陣の深いところでボールを奪われると、そのままペドロ・ジュニオールに決められて逆転。同点に追い付こうと前が係りに攻める浦和だが、神戸を崩すには至らずに逆にバランスを崩した所を突かれて3点目を奪われて万事休すとなった。
自分たちのサッカーを貫くことは大事ではあるが、相手が対応してきた時にどうさらに対応が出来るか。その部分を全く出すことが出来ていない。3年目の熟成の時期のチームにしては、チームの完成度を感じることが出来ない敗戦となってしまった。サポーターも何十年と続けてきたスタンスから変貌して、苦しい時間帯に、選手達を力強く後押し出来ていたかと言えば、必ずしもそうは思えず、責任を感じてしまった。そこは手探りの状態の中でのスタジアムの雰囲気作りということになってくると思う。
色々な要素として、新たな浦和レッズのスタートとなった神戸から、浦和に関わる全ての人が何を感じて、何をしていくか。これから問われていくことになるのかもしれない。