河合貴子のレッズ魂ここにあり!「苦悩を力に変えて~ 矢島慎也選手」
J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。
苦悩を力に変えて、一歩一歩前進をして行く
ナビスコカップ決勝トーナメント進出を告げる高らかなホイッスルが、甲府の山に響き渡り、秩父山脈を越えて勝利の吉報を待ちわびる浦和の街へ届いた気がした。
5月28日水曜日の19時キックオフにも拘らず、アウェーの中銀スタジアムには多くのファン・サポーターが駆け付けてくれた。
「勝って必ず浦和に帰る!決勝トーナメント進出を決めて、ナビスコカップ予選の最後となる名古屋戦を元気(原口選手)の壮行試合にしたい。だから参戦出来なかった仲間のためにも声を出して闘う」「今年のナビスコカップの決勝の舞台は埼スタだよ!俺らが行かなくてどうするの?ホームを他のチームに明け渡すなんて許されない!」と現地に足を運んだ人々は話していた。
甲府に2-1と勝利を収めた瞬間、選手たちはもちろん浦和のゴール裏も歓喜の渦に包まれ、そしてそれは安堵へと変わっていった。だが、ただ一人だけ自分の不甲斐なさに包まれていた選手がいた。
「チームは、勝って突破を出来たのは嬉しかった。けど・・・、僕は何も出来なかった」と悔しさを押し殺すように拳を握りしめて矢島慎也選手は話した。
原口元気選手のヘルタ・ベルリン移籍に伴い、山道強化本部長が「矢島あたりが、原口を追いかけてくれないといけないし、そういう環境を作らないといけない」と口に出すほど矢島選手に対する周りの期待は大きいし、何よりもその期待を矢島選手本人も感じていた。
甲府戦の試合前に興梠慎三選手から「引いてくる相手には、苦戦して自分のプレーが出来ずに難しい試合になると思う。戸惑いを感じると思うが、ドンドン行こう」と矢島選手は言われていた。矢島選手は「甲府は守備が固いから、積極的にシュートを撃つ。でもパスかシュートか判断が大事になってくるからゴールに絡むプレーをしたい」と話していた。
誰よりも矢島選手は結果が欲しかったし、周囲も結果を望んでいた。矢島選手にとって、今シーズン初のスタメンで臨んだ甲府戦は、厳しいものとなってしまった。5月6日国立で行なわれたリーグ戦と同様に、甲府は5DFにしてしっかりと2ブロックを形成してゴール前を固めて来た。想定していたが、思うようにプレーが出来ず矢島選手は55分にピッチを後にせざるを得えなかったのだ。
試合後、矢島選手は「やりづらかったけど、そこで何かが出来ないと駄目なんです」と重い口を開き始め「相手のDFの間が空いてる部分も引き出せれば良かったし・・・。スペースを見つける量が減った。ボールを取られないようにしないといけない思いが強すぎた。勇気を持ってボールを触れば良かった。チームが上手く行っていなかった時に、どうにかして相手のDFをこじ開けたかった」と自分自身のプレーを振り返った。そして、「原口君がやってきた場所で、原口君がいなくなって、今日、やってやろうって思っていたのに、上手く行かなかった」と矢島選手は、また拳を握りしめた。矢島選手が甲府戦で放ったシュートは、0本であった。
だが、全くチャンスが無かった訳ではない。26分、興梠選手からのスルーパスを受けた矢島選手はDF裏に飛び出し、折り返しを梅崎司選手に合わせようと試みた。矢島選手らしいプレーであったが、マルキーニョス・パラナに阻まれてしまった。「どんなに自分の出来が悪くても、チャンスをものにしないといけない。メッシもネイマールもどんなに自分の出来が悪くてもワンチャンスは必ずものにしている。原口君だったら、あそこをどうにか打開していたと思う。相手のDFを背負った時に、自分はアタフタしてしまった」と今度は唇を噛みしめた。
後悔の念に苛まれていた矢島選手だが、決して打ちひしがれることは無かった。「試合を重ねて行けば、絶対に良くなる。練習もちゃんとやる!上手く行かなかったことは、絶対に忘れない!」と矢島選手は奮起した。そして「原口君と自分はプレースタイルが違う。原口君には、ドリブルもある。自分は、キープしてパスしてスペースを使う。陽介君(柏木選手)は前線でゲームを作れる。慎三君(興梠選手)もチュン君(李選手)も前線で時間を作れる。ボールを動かして、自分も前でゲームを作れるようになる。陽介君ひとりでなく、両方のシャドーでゲームを作れたら良い」と話して、力強い瞳で前を向いた。
矢島選手は苦悩を力に変えて、一歩一歩前進をして行く。今は未だ原口選手の背中を追いかけているのかも知れない。だが、いつの日かきっと誰もが憧れる存在になる。勇気を持って闘え!苦悩の先には希望の光があるはずだ。
Q.なぜ、キャッチングやロッキングが起きるのでしょうか?
A.半月板は、関節の袋の付け根で切れることが多く、酷い切れ方をするとバケツ柄断裂と言って、バケツの取っ手のように反対側にパタンと向きが変わってしまい関節の中に挟まってしまい膝が動かなくなってしまいます。軽い引っ掛かりのキャッチングは、半月板が少し傷んでいて、引っ掛かり感を感じます。ただ、半月板の軟骨自体は、痛みは無く症状は出無いでが、引っ掛る時は関節の袋が一緒に引っ張られて痛みを伴います。
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川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
川久保整形外科クリニック 整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション
http://www.kawakubo-clinic.jp/