浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「水戸から来た第3の男~岩舘直選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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何故、試合に出場するためには最も厳しい条件をのんで浦和にレンタル移籍してきたのだろうか?

シーズン中の移籍には、原口元気選手のように自分自身のスキルアップを望んで海外に挑戦する移籍と、山岸範宏選手のように試合出場の機会を求めて移籍していく場合がほとんどである。

だが、いくら選手側がスキルアップや試合出場機会を求めて移籍を望んでも、所属クラブの意向で出来ない場合やクラブ間の諸事情により移籍が成り立たない場合もある。当然、移籍希望の選手のプレーを必要とするクラブと相思相愛の関係にならないと成立しない。

選手の立場になって考えると、やはり浦和で試合に出場するチャンスが掴めないのであれば、カテゴリーをJ2に落としてでも公式戦に出場して経験を積むのもありだと思う。移籍の大前提は、試合出場することだと、ずっと思ってきた。

しかし、J2の水戸から来た岩舘直選手は、違っていた。

みなさんも良くご存じのように、GKは特殊なポジションである。現代フットボールにおけるGKの役割はどんどん進化している。GKが怪我をしたからと言って、そう簡単にフィールドプレーヤーが務まるものではない。緊急事態が発生しない限り、試合での選手交代はあり得ないたった1つのポジションである。どのクラブでも怪我などのリスクを考えてGKが最低3人は所属している。

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だが、浦和は、リーグ中断期間に山岸選手が山形へレンタル移籍したことに伴い、浦和のGKは西川周作選手と加藤順大選手2人になってしまった。浦和としては、3人目のGKは必要であった。だが、3人目のGKとなると置かれた状況はかなり厳しい。西川選手と加藤選手に緊急事態が発生しなければ、試合に出場することもベンチに入ることも出来ない状況下で、岩舘選手はレンタル移籍をしてきたのだ。岩舘選手が試合に出場するためには、大きな立ちはだかる山を二つも乗り越えなくてはならない。

では、何故、試合に出場するためには最も厳しい条件をのんで浦和にレンタル移籍してきたのだろうか?水戸には、1999年に浦和から試合の出場機会を求めて当時JFLであった水戸へ移籍した本間幸司選手が、約15年に渡りゴールを守っている。本間選手は、8月10日の北九州戦でJ2通算500試合出場を果たすほどのチームで主軸となっている。岩舘選手が浦和に来る前、水戸にはGKが4選手いた。浦和が大谷幸輝選手を北九州に修行へ出したように、GKの1人を何処かに修行に出しても良いクラブ事情が水戸にはあった。そこに浦和からオファーがあったのだ。

「水戸の立場で、J1の浦和へ行けるなんて稀なケース。めったに無いチャンスだと思ったし、みすみす逃す手はない」と岩舘選手は思ったそうだ。水戸の柱谷哲二監督は「行けるなら行って来い!」と岩舘選手の背中を押した。

浦和には、日本代表のGK西川選手がいる。その西川選手のプレーを間近で観れるチャンスがある。練習の仕方、プロとしてのあり方、西川選手と一緒に練習をすることで学べることは、たとえ試合に出場出来なくても変え難いものがあったのだ。

岩舘選手は、4人兄弟の末っ子でお兄さんもお姉さんも全員がフットボールをやっていたそうだ。そして兄たちを追いかけるように小学校1年生でフットボールを始めたが、コーチが恐くて直ぐに止めてしまった。しかし、もう一度やりたくなって再びボールを蹴り始めた。岩舘選手の2歳上のお兄さんがGKをしていて、GKとシュートを撃つ2人の練習を公園でしていたそうだ。「兄ちゃん凄くGKが上手いんだ。基本的に俺がシュートを撃っているんだけど、兄ちゃんもそのうちシュート撃ちたくなって、GKさせられたんですよ。で、こんなシュートも止められないのか!?ってなって、兄ちゃんに仕込まれた。そしたら、チームで1番GKが上手くなった。チームには、俺より上手いフィールドプレーヤーがいっぱいいた。このチームで俺がGKやったら、チームに役立つかなぁ?!とGKを始めた」とGKになった、きっかけを岩舘選手は教えてくれた。

話を聞いていて、お兄さんを尊敬している岩舘選手の気持ちと人から物事を学ぶ素直な姿勢を感じることが出来た。現在、兄弟でフットボールをやっているのは、岩舘選手だけだそうだが、浦和へ移籍したことを「姉ちゃんは、すごいじゃん!ってメールが来た。兄弟みんなが応援してくれている」と嬉しそうに話した。

浦和にやって来て約2カ月を岩舘選手は「最初の1カ月は無我夢中で、その中でどれだけ出来るか、次の1カ月は冷静になった。何が出来て、何が出来ないのか、取り組むことが出来る1カ月だった」と振り返った。そして「自分にチャンスが回って来た時に、良いものを出せるように常に心掛けている。1人何かあったら、自分がベンチに入る心の準備は出来ている」と話す岩舘選手は頼もしかった。浦和でスキルアップしても安易に水戸へは返したくないと思わせるものがあった。

最後に岩舘選手は「公式戦でもやりたいですねぇ」と本音を覗かせ「試合に出ると言うのは、何事にも変え難い経験になる」と話した。水戸から来た第3の男は、厳しい状況下の中に敢えて自分を置くことで、ピンチをチャンスに変える。そして、自分のスキルアップをしながら、二つの大きな山を乗り越えて試合出場のチャンスを覗っている。

Q.膝に溜まった水は、抜かないといけないのですか?

A.関節の袋の中には、水を作る能力と、水を吸う能力があります。通常であれば、無理をせずに安静にして冷やしてあげると、溜まった水は退き腫れが治まります。しかし、半月板が傷んでたり、軟骨が傷んで膝の変形があったりした場合、水が濁ってしまい水が退きにくく抜かないといけません。炎症止めのステロイドの注射を打つ時もあります。酷い方では、50cc以上溜まることもあります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科クリニック 整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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