浦和フットボール通信

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「森脇が見せてくれた真剣勝負の姿」 Jリーグ第22節vs大宮アルディージャ戦 ゴール裏からの試合レビュー(2014/9/2)

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前節、敵地・味スタでFC東京と対戦をしたレッズは、先制点を決めるも3失点を喫したが、粘り強く戦い、4-4の撃ち合いの末に勝ち点1を獲得した。大量失点が気になる試合ではあったが、2点のビハインドを追いついたことで、チーム崩壊の危機をなんとか脱した感もあった。

その中で、ホームに戻って、さいたまダービー大宮戦を迎えた。大宮はここまで17位と低迷。しかし、過去にもこの立ち位置で下克上をされている経験があるので、油断は出来ない一戦だった。埼玉スタジアムには、この数戦の中では多い数である、42,038人の動員数があり、ダービーに対する期待の高さを感じる数字だった。

今季、様々な自粛が行われる中で、ダービーを煽る表現も全くなく、今までのようなダービーの殺伐感は正直なかった。そのことで、大宮が炊きつけられる気持ちもなくなっていて、ダービーに対する反発する力が出ないとアウェイでの対戦でも言っていたようだ。サポーターが煽らずとも戦前から、ダービーは負けられないという言葉が選手達の言葉から自然と出てきているのは、ダービーの歴史をしっかりと積み上げてこれた成果なのかもしれない。

試合は序盤からレッズがペースを握り、積み上げてきたサッカーの違いを見せるかのように、纏まりが見えない大宮を相手に、幾度もチャンスを作り出す。しかしゴールを割るまでに至らない。こうなると、逆にチャンスをモノにされてしまうことがサッカーでは良く起こり得るが、この試合では、その心配も杞憂に終わった。梅崎のロングシュートがバーに当たるが、その直後の33分に左サイドから崩して、梅崎が再度滑り込みながらゴールを流し込んで先制点を決めた。梅崎らしからぬテクニカルなシュートが、彼の好調さを感じさせるゴールだった。

これで動揺した大宮ディフェンスを尻目に、トライアングルの三枚が躍動。梅崎、柏木と繋がり、興梠がヘディングを決めて追加点。完璧に大宮ディフェンスを崩しきった形だった。2点をリードして前半を終了する。

後半に入ってもレッズペースは変わらない。49分には柏木のCKをヘディングであわせた森脇が今季初ゴール。サポーターの叱咤激励をこの数戦受けて色々感じるところがあった森脇が、サポーターに活躍を見せ付けてくれた。活躍を見せたいという強い気持ちがゴールに繋がった。ゴールをした瞬間にサポーターに向かって必死な形相で向かってくる姿。その姿だけで、森脇とサポーターの信頼関係が構築できたことを感じるシーンだった。

60分には、西川のパントキックを受けて、そのまま興梠が身体の強さを見せて、ゴール前に抜けだし、ペナルティエリアで切り返すと、大宮ディフェンス、GKも釣られて、中にいた宇賀神がゴールに流し込んで4点目。これで勝負が完全にあった。

興梠が下がると、前線で起点が作れなくなり、押し込まれる時間も出たが、西川がゴールを許さずに4-0の圧勝で試合終了。アウェイでの2-0に続く勝利で、さいたまダービーのシーズンダブルも達成した。

試合後はヒーローインタビューを受ける森脇がサポーターにアピール。その姿にサポーターが大ブーイング。もちろん、このブーイングは愛されているが故のおふざけブーイングで、森脇も「ぼくはブーイングが大好きです!もっとしてくれ!」と言って、さらにブーイングを受けていた。この愛され方は、森脇ならではだったと思う。森脇も駒場の試合でのサポーターの激しいブーイングで落ち込む所はあったようだが、FC東京戦ではミスをしても頑張る姿がサポーターに評価されてコールが送られた。その流れの中で、その期待に応えたいと大宮戦ではゴールを決めた。ブーイングを受けても、そのブーイングを見返してやろうとプレーで、頑張る姿を見せて、声援を勝ち取る。それこそ浦和の選手が創ってきた文化だと思う。森脇がその姿勢を表現してくれたのではないかと思う。「ブーイングをしないで下さい」というのではなくて、「ブーイングをされないプレーを見せる」というのが選手としてあるべき姿だと私は思う。

これからも浦和は、フットボールに対して、本気で向き合う世界であって欲しい。

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