浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「経験値~平川忠亮選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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特別なコンディション調整も経験が成せる業

連戦を闘い切るには、ベンチメンバーも含めてチームの総合力がものを言う。

チームに怪我人がいないことは、本当に嬉しいことであり、望ましいことだ。ミシャ監督の練習メニューでは、ハーフコートでのミニゲームが主体となっている。浦和には、現在24人の選手が所属しているが、ミニゲームを行なうにはギリギリのメンバーである。怪我人がいると、GK以外で天野コーチがユーティリティープレーヤーとなってミニゲームに参加することとなる。

怪我人がいないことが、一番良いことであるが、たった一つ困った状況が生じる。24人の選手のうちGKが3人、加藤順大選手と岩舘直選手は順番でミニゲームに参加する。するとフィールドプレーヤーが、たった1人余ってしまうのだ。昨シーズンまでは、ミニゲームから外れた選手は、天野コーチと別のメニューで課題に取り組んでいた。外れた選手の心境は複雑なものがあった。

長期離脱していたマルシオ・リシャルデス選手がチーム合流をし、ミニゲームで1人の選手が外れる状況になった。リーグ広島戦の前日練習(8月15日)で、アップが終了してミニゲームが始まる前に平川忠亮選手がそそくさとロッカールームに下がってしまったのだ。

一瞬ではあるが「怪我かぁ?」と疑ったが、様子が違う。試合前日だったため「試合のメンバー外なのか?」と思ってしまった。試合前日にアップだけして、翌日にスタメンで試合出場することなど余程のことが無ければあり得ないと言う認識があった。

ところが、その認識が大きく覆ることになった。平川選手は、スタメンで出場し、攻守に渡り豊富な運動量で切れのある動きをしていたのだ。

試合後、平川選手は「おっさんなもんでね~」とにやにやと笑いながら「監督に、コンディション調整を木曜日か金曜日のどちらが良いか?と聞かれて、試合前日はみんなやりたいだろうし、色々と考えて金曜日にしたんだ」と教えてくれた。チームは、たった1人余ってしまう状況を上手く利用して選手のコンディション調整に当てたのだ。困った状況ではなく、闘い抜くためには凄く大切なことであった。広島戦以降の試合前日練習で平川選手のコンディション調整は、恒例となった。

試合前日にアップのみのコンディション調整で練習を終えることは、平川選手にとっては初めてのことであった。しかし、それは何よりもピッチの中で生かされ、平川選手は躍動していた。相手の状況にもよるが、攻撃のバランスを考えた判断力が優れていた。平川選手は「試合の流れの中で、行け行けムードの時もあるが、打ち込んでカウンターを食らうシーンもあって、自分たちの動きが後手になることもある。経験だと思うけど、肌で感じる時に、今は行った方が良いとか、行かない方が相手が嫌がるのではないか・・・。相手の前線が残っていたら、仕掛けて取られた時にカウンターになりやすいが、相手を全員退かせたら、取られてもゴールまでの距離が遠い。相手を長い距離走らせることが出来る。高い位置でボールを奪えれば早い攻めが出来る。ただ攻めるだけが恐いのではない。時間かけて後ろでボールを走らせて動かすことで、相手の前線の選手は追わなきゃいけなくなる。疲れさせれば、相手のカウンターのクオリティーも落ちる」と様々なシュツエーションを考えてプレーをしていたのだ。

そして、頭がクリアーなだけでなく、攻守において豊富な運動量を見せ付けた。平川選手は「相手にボールを取られた瞬間の攻守の切り替えがポイントとなる。相手が同じシステムだと、攻守において同じポジションの選手の面倒を見れば良いが、相手が4-4-2だと、自分の攻撃に対してサイドバックが付いてくるが、守備になった瞬間に相手を2人背負うことになる。サイドの一番厳しいところだ。外が数的不利なことを運動量で補えば、中が浮いてくる。それを遣れればチームとして優位に運べる。ハードワークは手を抜けない。絶対にやらないといけない」とハードワークが如何に大切であるかを心得ていた。ハードワークをするためには、コンディションが良くないと出来ない。

平川選手は「とにかく今は、調整が上手く行っていると自分の中では思っている。試合でフレッシュに動けるし、怪我のリスク管理でも良い調整が出来ている。まぁ~年もあるし、上手くそういう状況を取ってくれる監督とドクター含めてみんなに感謝です」と感謝の気持ちを口にして「その状況に甘えるのではなく、その分を試合で動かないといけないプレッシャーを自分にかけている。だからこそ、試合でハードワークしないといけない責任感を持ってやりたい」と特別なコンディション調整の感謝の気持ちをピッチで示す。

全ては、百戦錬磨で様々な経験を積んで来た平川選手だからこそ出来ることである。経験値の高いベテランが、しっかりとしたコンディション調整の下で心身共に躍動する。

Q. プロ選手でもスパイクにインソールを入れている選手がいるのは、なぜですか?

A. いろんな状況があります。例えば、アキレス腱が悪るく、内転足の場合など外側に足首が反らないようにインソールを入れたりします。膝が痛くランナー障害を起している患者さんは、多いです。足の状況を見て、それに合ったインソールをお薦めします。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科クリニック 整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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