浦和フットボール通信

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「サッカー王国対決を完勝で制す」 Jリーグ第23節vs清水エスパルス ゴール裏からの試合レビュー(2014/9/15)

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先週は、ナビスコカップ準々決勝で、広島と2戦戦い、トータルスコア2-2のアウェイゴール数の差で破れ、今季二つ目のタイトルを失い、残りはリーグ一本となってしまった。ナビスコは決勝の地が、埼スタだっただけに、是が非でもファイナルの舞台には立ちたい大会だった。

リーグ戦では、前節、さいたまダービーを4-0と快勝。不調にあえぐ大宮を相手にチームの完成度の違いを見せる形となった。アウェイの2-0の勝利とあわせてシーズンダブルを達成。さいたまダービーを制することは、最高の気分となる。

隣町の大宮以上に、サッカーライバルとして存在するのが清水エスパルスだ。古くから、浦和、静岡はサッカーでライバルとして存在してきた。お互いに意識するが故に因縁も数多く生まれてきたこともある。絶対に負けたくない相手だ。

3連休の頭ということで、静岡スタジアムエコパに向けて早朝に出発。それが功を奏して渋滞にほとんど巻き込まれることなく休憩を入れて4時間ほどで、スタジアムに到着することができた。このスタジアムは、ワールドカップも開催されたスタジアムではあるが、山の中に存在するスタジアムで、清水の町からも車で1時間以上掛かる場所に位置しており、ここで試合をしていれば街の存在感は失われていく場所だと思う。レッズサポーターもビジタースタンドを赤く染めて19,000人の観客動員数があったが、この巨大スタジアムの人数として寂しいものがある。

エスパルスサポーターも昨年の静岡ダービーで、中心のサポーターグループとコールリーダーが出入り禁止になっていたようで、このレッズ戦の1試合だけコールリーダーが限定的に復活をするという情報が戦前から流れていた。エスパルスサポーターにとってもスペシャルな試合として捉えてくることが想像できた。実際に、試合前からエスパルスサポーターは、ビックフラッグ、ユニフォーム旗などを掲出して、スペシャル感を出し、サポーターの声もいつもより気持ちが入った声がこちらに伝わってきた。

試合前には、「JFAリスペクト・フェアプレーデイズ2014 差別、暴力のない世界を!」で、両チームのキャプテンが、差別、暴力撲滅に対するメッセージを述べた。ここで少し残念だったのは、クラブからサポーターに対して、これを行う説明が一切行われていないことだ。そのためにレッズサポーターは阿部キャプテンが話し始めるまで、このことに気付かず応援が続いてしまった。レッズだからこそ、このことをしっかりと共有して臨むべきだったのではないだろうか。昨年、エスパルス戦でレッズサポーターの暴挙があったことを受けて、この試合も厳戒態勢。多くのスタッフはレッズサポータースタンドに目を光らせて監視するかのような姿は、仕方ないにせよ、正直に気持ち良いものではない。

試合は、サポーターの気迫に乗り、清水が序盤から迫力を持って、レッズゴールに迫ってくる。レッズはこれに対して少し受ける形になってしまった。清水のエース、ノヴァコヴィッチの強烈なシュートがバーに当たり、事なきを得たが、これが決まっていたら清水の勢いを止めることが出来なかったかもしれない。このシュートで目が覚めたのは、レッズが徐々にギアを上げてペースを握り、22分には、右サイドの仕掛けから、森脇が2戦連続となるゴールを決めて先制。さらに波に乗る森脇が、裏のスペースに絶妙なパスを通すと、李忠成が抜け出して28分に追加点。李としても、久しぶりの先発出場で、なんとしても結果を残したい場面でのチームとしても個人としても貴重なゴールとなった。この2点で、清水の勢いが一気に落ちたように見えた。レッズは完全にペースを握って前半を終了した。

後半もこの流れは変わらず、72分には柏木のCKを頭であわせた槙野がゴールを決めて3点め。ここで試合が決まったかと思われたが、直後の76分に清水に1点を返されて、ゲームの緊張感が失われることはなかった。レッズは選手交代を使いながら時間を消費させていき、ロスタイムには興梠の仕掛けがオウンゴールを呼び、4-1。これで勝負があった。

試合終了後には、「ありがとう!」と叫びながらスタンドに挨拶に周る、森脇に対してレッズサポーターも大喝采。すっかり愛される存在になってきた。レッズサポーターの歓喜を無理やりかき消そうとする、スタジアムのスピーカーから出る、大音量をかき消すように、「WE ARE DIAMONDS」が歌われて、最後は「王国浦和」のシュプレッヒコール。静まり返る清水スタンドに、サッカー王国のプライドを顕示した。勝てば、気持ち良く顕示できるが、負ければ逆にことがやってくる。これの繰り返しがフットボール文化の生成になると思う。

気がつけば、クラブ史上初の3戦連続の4得点。下位の相手とはチームの成熟度の違いを見せられるようにはなってきた。上位対決、苦手な相手の際に力を如何に出せるかが、これからの優勝争いで求められることになってくると思う。昨年は悪夢の“秋の大失速”が起きた。今季はそれを起こさないように、バランスを崩さずに闘うことが出来るかも問われてくるだろう。8年ぶりのリーグタイトルに向けて終盤戦に突入していく。

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