浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「浦和に関わる責任と使命~阿部勇樹選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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阿部勇樹が強い気持ちでチームを頂点に導く

「浦和に関わる責任と使命がある」と阿部勇樹選手は、2012年にプレミアリーグのレスタ・シティーFCから1年半ぶりに浦和に復帰してきた時に厳しい口調で言った。

「帰って来たつもりは無い。在籍していた時もそうだが、自分はまだ、浦和で何も成し遂げていない」と阿部選手はその時に言った。その気持ちは、今も変わらない。

「浦和で何も成し遂げていない」と阿部選手は言うが、2007年にACL優勝の栄光を手にしている。しかし、阿部選手は「ACL優勝したけど、それは出場権を前の年に獲得してくれていたからだよ。自分は、そのお膳立てに乗っただけだ」と言う。確かに、ACL優勝は、阿部選手が千葉から浦和に移籍して1年目の出来事であった。自らの手でACL出場権を獲得した訳ではなかった。そして、この2007年には、リーグ優勝を手にするチャンスがありながらも、ホームで鹿島に、続く最終節でJ2降格が決まっていた横浜FCに連敗戦し、リーグ連覇を逃していた。だからこそ、浦和に関わる責任と使命の下で、阿部選手は浦和で自分が成し遂げられなかった『優勝』への思いは、人一倍強い。

9月23日、西日が差しこむデンカビックスワンスタジアムに「We Are Diamonds」の歌声が、誇らしげに響き渡った。8年ぶりのJリーグ制覇に1歩近づいた勝利の歌声であった。アウェーの新潟戦で2-0と勝利を収めて、残り9試合で2位川崎と勝ち点6差でガッチリと首位をキープしたのだ。

先制点となった興梠慎三選手のゴールの攻撃の起点となったのは、阿部選手であった。阿部選手は、右サイドの関根貴大選手の動き出しを見逃さなかった。「阿部さんと目があった」と先制ゴールのアシストをした関根選手は、阿部選手とのアイコンタクトを信じて走った。ボランチの位置からDFラインに下がり、バックパスを受けて新潟の選手をおびき寄せながら、空いたスペースへ絶妙なコントロールのパスであった。

阿部選手は「ワイドが良い動き出しをしてくれた。関根の持ち味だ。ワンタッチで上げてくれた。難しかったと思う」と嬉しそうに関根選手を褒めた。新潟に決定的なチャンスを作られても、トリプルボランチにシステム変更しチームがバタつく時間帯の中でも落ち着いて対応していた。

「相手の指宿君を潰した。達也、亜土夢、山本君を含めてマークをはっきりさせるシステムに変わったとしても、難しい問題ではなかった。ただ、もっと上手く守れると思う」と話し「セカンドが拾えたから厚い攻撃が出来た。2点目が早い時間に入って試合を楽にしてくれた。勝てて良かった」と安堵の表情を浮かべていたが、直ぐに険しい表情へと変わった。

浦和に『優勝』の二文字がちらつき始めると、阿部選手は「首位とかで無くて、次の試合のことを聞いてくれ」と周りの雑音をシャットアウトする。そして、「次、勝たなければ意味が無い。周りの結果を気にせずに集中して行く。試合数の2倍以上の勝ち点!チームの勢いを消さないこと。結果は、あとから付いて来る。全力を尽くして勝ち獲らないといけない。まだまだ、1試合1試合闘って行かないと・・・。それだけ」と口癖のように言う。

それは、まるで自分自身に言い聞かせているようにも思えた。勝利して試合が終わると阿部選手は、必ず「もう~終わったことなんで・・・」と言って既に頭の中は、次節の対戦相手のことを考えている。新潟戦の前もそうであった。柏に勝利しても勝利の余韻に浸るどころか「次の新潟は、うちと同じシステムの広島とやってシステムを変更していた」と終わったばかりの試合の情報を既に得ていたのだ。

新潟戦後は「次のゲームのセレッソは、監督が代わったりして、なかなか結果が出ていないが、今の順位のチームではないと思う。簡単な試合は、1つもない。アウェーで難しい試合になる」と話した。『優勝』するためには、どんなに一戦一戦が貴重で大切なことなのか阿部選手は知っている。だからこそ、地に足を付けて堅実に目の前の試合を見つめている。

勝ち点6差で首位に立っていると思わず、浦和に関わる責任と使命を背負った男が、輝くシャーレを手にするその日に思いを馳せる。赤い歓喜の渦の真ん中には、思いっきり天高くシャーレを掲げる阿部選手の勇姿が目に浮かぶ。しかし、まだ何も手にしていないのだ。身を引き締めて、目の前の一戦一戦に思いを籠めて闘って行く!!

「浦和で何も成し遂げていない」「浦和に関わる責任と使命」その強い気持ちが、ピッチの中で攻守に渡り研ぎ澄まされて輝きを放つ。そして、どんなに相手から厳しいチャージを何度も受けても、阿部選手は何度でも立ち上がる。その先にあるものを掴み獲るために・・・。

Q.膝の裏の痛みについて教えて下さい。

A.要因はいろいろとありますが、膝の関節を怪我すると最初に膝の裏が痛くなる患者さんが多いです。関節の中に1本だけ腱があります。外側の半月板の後ろにある膝窩筋腱(しっかきんけん)の周囲で炎症を起こすと、膝の裏が痛くなります。腱の周囲は、炎症を起こし易いので、過度な運動は気を付けた方が良いです。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科クリニック 整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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