先制したものの、日テレに１対２と敗戦

雲一つない爽やかな秋空が、男子の仙台戦敗戦から「今日は女子の試合だ！気を引き締めて行こう！」と浦和を愛する人々の背中を後押してくれているような天候に恵まれた、浦和駒場スタジアム。エキサイティングシリーズ第５節を終了した段階で、勝ち点17と首位で折り返したレッズレディースは、10月19日、勝ち点12で３位につけている日テレベレーザと対戦した。

浦和のスターティングイレブンは、ＧＫ平尾、ＤＦ堂園、乗松、高畑、和田、ＭＦ柴田、猶本、岸川、加藤、ＦＷ後藤、吉良であった。一方、日テレは同じ４－４－２のシステムであったが、165㎝の長身の山口麻美選手とスピードとドリブルやパスなどテクニックに定評がある籾木結花選手のツートップで挑んで来た。

午後１時キックオフで始まった試合は、立ち上がり３分左サイドを和田奈央子選手と加藤千佳選手がワンツーで切り崩し、走り込んで来た猶本光選手がシュートを打つと見せ掛けて、落としのボールを、堂園彩乃選手が豪快なミドルシュート！惜しくもクロスバーに直撃すると、カウンター合戦の様相を見せた。

ベンチから吉田監督の「前から！（前線から守備）」「下がるなぁ！！（ＤＦラインを高く保て）」と大声が響くとレッズレディースは、前から嵌めこむ守備でコンパクトにして、本来の自分たちのリズムを取り戻し始めた。

そして20分、日テレ陣内で得たＦＫを堂園選手がファーサイドに流すと、相手ＤＦのこぼれ球をペナルティーエリア内で拾った加藤千佳選手がシュートを狙うも相手ＤＦがクリアーボールを岸川奈津希選手が左足で押し込み先制。その後は、落ち着いて相手のスペースを使い、走り込む意識が高い攻撃を見せるものの追加点が奪えず、30分には日テレの籾木選手にＦＫを直接狙われクロスバーに助けられるシーンも見られた。

前半を１対０で折り返すと、後半立ち上がりから日テレのパスワークからの猛攻撃で、浦和は押し込まれてしまい、間延びしてセカンドボールも拾えなくなってしまった。60分、籾木選手にドリブルで運ばれて左サイドに展開されて、長谷川唯選手のクロスをファーサイドで大きくクリアーを狙うが、不運にもボールが足元に入ってしまいこぼれ球を原菜摘子選手に決められて同点にされてしまった。

追加点を狙って、72分に浦和は大滝麻未選手と清家貴子選手を導入し反撃を試みるが、84分、ショートコーナーから原選手にドリブルで突破され、マイナスの折り返しを木下栞選手が冷静にシュートを決めて逆転を許してしまった。

試合終了間際に、絶好のポジションで得たＦＫを岸川選手が狙うも、ゴール右角に弾かれて同点のチャンスを逃してしまった。先制したものの、日テレに１対２と敗戦。勝ち点２差に詰め寄られる痛い黒星となってしまった。

男子の練習後に応援に駆け付けた柏木陽介選手と宇賀神友弥選手は「俺たちが、悪い流れを持って来てしまった」と悔しそうに話していた。残す試合は４試合。日テレ戦の敗戦を力に変えて、１戦１戦を大切に優勝を目指して行く。

吉田監督「あと４つ勝てば優勝できる」

試合後、吉田監督は「前半は、途中から流れが変わってこちらのペースで支配が出来て、１点獲れた。相手が強く、ボールの動かし方も上手く、良い選手がいた。後半は、前半のような闘い方が出来なかった。共通意識を持って、相手に押し込まれても打開することが出来なかった。前半にプレスを掛け過ぎて、疲れが出たのか間延びしてしまいゲームを支配されてしまった。途中から入れた選手もフィットしなかったのは、誤算であった」と悔しそうに話し、「あと４つ勝てば優勝出来る。我々の良さを出して行けば勝てる！」と頼もしい言葉を口にした。

堂園「今日は終わったことって切り替える」

堂園彩乃選手は「上手くボランチを使って相手ＤＦを剥がせるシーンはあったが、相手の狙いに慌ててしまったシーンもあった。良い奪い方が出来た時は、攻撃も良い形で攻めきることが出来た。ベレーザもゴール前を固めて来るので、サイドを簡単に使う意識だった。光が（猶本選手）相手ＤＦを引き付けて、良い落としのパスをくれたのに・・・。落ち着いて狙ったのに・・・。次は決めます！」と立ち上がりにクロスバー直撃のシュートシーンを振り返った。そして、「セットプレーを強化していたので、その成果が出た。壁の裏が手薄になっていたから狙った。練習でやっていたイメージだった。相手ＤＦに阻まれてもセカンド拾えて先制出来たのに・・・」とセットプレーの練習の成果が顕れたことを喜びつつも敗戦の悔しさを噛みしめ「今日は、終わったことって切り替える。次の試合まで約２週間あるから良い準備をして試合に臨みます」と先を見つめて話した。

猶本「敗戦をプラスになるよう準備していく」

猶本光選手は「相手がベレーザだったから、前半で勝負を決めようと飛ばしていた。前半の内に追加点が欲しかった。バーに当たったり、シュートチャンスを作れていたけど、何が足りなかったか？精度かなぁ？！と思う」と前半のチャンスを生かせなかったことを悔やんだ。「今日は、積極的に仕掛けて行くことで、相手のＤＦラインが下がったり、サイドにスペースが出来ると思っていた。ベレーザは、繋いで来るチームだが、初めは戦術を変えて、左サイドの裏を突いて来た。キックオフからカウンターの対応に追われて体力をつかってしまった。今日、負けたことで身を引き締めて次の試合に臨める。この敗戦をプラスになるように準備していく」と話した。

高畑「相手に奥のスペースを使われた」

高畑志帆選手は「後半の立ち上がりに、良いイメージを持って臨めなかった。相手に奥のスペースを使われてしまい、そこを抜け出せずミスも出始めてしまった。いつも通りに、前からプレスを継続的にやろうとした。ボランチが、落ちていたからＦＷの近くでプレーしようとみんなで話していた」と間延びしてしまいセカンドボールを拾えずに日テレにゲームを支配されてしまった後半を悔やんでいた。

タカネェの今日のイチオシ！！「岸川奈津希」

中盤の間延びしてしまったスペースを埋めるのに苦しんだ岸川奈津希選手！猶本選手を前目に行かせながら、中盤のバランスを保とうと努力が見られた。「光（猶本選手）ビルドアップの所で、顔を出して、こぼれ球を拾うことが、スムーズに出来ていた所はあった。相手に押し込まれた時に、ＦＷを落とさせるか（ポジションを低い位置にする）ＤＦラインをあげてコンパクトにするかが、曖昧だった。セカンドボールを拾うことと、相手を裏返すことの工夫をすれば良かった。押し込まれる時間が長く、ＤＦラインをあげられなかった」と悔やんだ。岸川選手は、古今奮闘しながらも、レギュラーシーズンで課題となっていたセットプレーで先制点を決めた。また、ラストチャンスのＦＫは、ゴールマウスに嫌われたが、ゴールの可能性を感じられるものであった。岸川選手は、今日の敗戦を教訓にして、次節は必ず勝利を手に入れることが出来るであろう希望の光を見せてくれた。