浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「分析こそ、命!」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

CKからの失点を減らすことが重要

ACLグループリーグ突破をするためには、アウェイでは負けない闘いが必須であることは、過去の経験から選手たちは学んでいた。

今シーズン、初の公式戦となったACLグループリーグ水原戦の前に選手たちは「試合の流れ次第では、引き分け狙いでも良い。とにかく勝ち点に拘った闘いをする」と口々に話していた。勝ち点1の重みを分かっていたはずである。

しかし結果は、ご承知の通り1対2の逆転負け。前半の終了間際に、森脇良太選手の華麗なゴールで先制するものの、56分に守備のつめの甘さで同点にされてしまった。そして、86分には右CKからファーサイドでレオ選手のヘディングシュートが決まって、勝ち点1も失うこととなった。チームの仕上がり具合が良かっただけに、痛い黒星スタートだ。

失点は、チーム全員の責任である。ボールを相手に奪われた時の状況やファーストディフェンス、セカンドディフェンス、マークの受け渡しなど様々なことが絡み合ってくる。連動した守備をしていくためには、選手の距離間などコミュニケーションが必要となってくる。更にCKやFKにしないためには、どうすれば良い守備ができたのか、安易にファールしたりCKに逃げていないかと突き詰めた話し合いがされたりする。

昨シーズンCKから失点した時、那須大亮選手は「CKからの失点は、責任感と集中力だ。すぐに修正できる」と話していた。CKの守備の方法として、大きく分けてマンツーマンの守備とゾーンで守るやり方がある。断っておくが、どちらのやり方を採用しても100%失点を防げるわけではない。CKの守備の方法は、チームによってもやってくる。もちろん、決めるのは監督である。ゾーンディフェンスでも相手チームに空中戦に優れている選手がいれば、ゾーンをひきながらその選手にマンツーマンを付けることもある。もちろん、マンツーマンでも重要なポイントに2人ぐらい選手を配置してゾーンで守る。

ゾーンディフェンスの場合は、ニアーポストに1人、ファーサイドに1人、ゴールエリアのライン近辺に3人などと危険地域にバランス良く選手を配置して、ボールの落下するエリアを任された選手が、責任を持って跳ね返す。そして、カウンター攻撃に転じることが出来る。だが、ゾーンだと相手に数的有利な状況を作られるリスクもあり、スタンディングで守っているために走り込んで来た相手に空中戦で負けてしまう可能性がある。助走を付けてジャンプするのと助走なしでジャンプするのでは、やはり高さが違ってくる。ゾーンの隙間や斜め後ろからニアーサイドに走り込まれると守備側はかなりきつい状況になってしまう。

では、浦和が採用しているマンツーマンはどうだろうか?常に特定の相手選手に対して、1対1でついて行き、責任を持って相手を自由にさせない非常に合理的な手法である。しかし、守備は攻撃側の動きに合わせることとなる。そのため一端、相手に振り切られてしまうと厳しい状況が生まれてしまう。だから、マンツーマンを任された選手は、必死に相手選手に食らいついて行くので、CKの時に良くポジション取りなどで「ユニホームを引っ張っている」「手で押さえ込んでいる」などと選手同士の小競り合いが起きる。

水原戦でのCKからの失点シーンは、レオ選手にマークをしていた森脇選手が、レオ選手の動きに集中し過ぎてボールの軌道を見えていなかったのだ。マンツーマンでは、相手に集中し過ぎるためにボールの軌道を見失うことがある。人とボールを両方とも見えるポジショニングは、簡単なことではないが修正は出来る。また、どんなに注意を払っても身体能力の差で相手選手に競り負けてしまうこともある。誰がどの選手にマークに付くかが重要になってくる。そのために、相手チームの選手をしっかりと分析することがキーとなる。

もちろん、攻撃側もマンツーマンを上手く利用したCKを仕掛けて来る。マンツーマンは、相手の動きによって守備側のポジショニングが支配されるので、アイソレーションプレーでスペースを作って来たり、攻撃側が味方の身体を利用して相手のマークを外すスクリーンプレーでやられてしまう可能性がある。

ゾーンディフェンスにしても、マンツーマンにしてもチームに良いキッカーがいれば、CKは脅威であることは変わりない。CKを相手に与えないようにすれば良いなどと、言葉にすれば簡単であるが、実際は難しいことである。ならば、CKの時に対戦相手をしっかりと分析し、ミスマッチとならないマンツーマンをさせることは大事である。

そして、選手は分析したデーターをしっかり頭に叩き込んでマンツーマンをする。「CKからの失点は、すぐに修正できる」と那須選手が言っていた言葉が、納得出来る。2015シーズンは、始まったばかりである。まだまだ、これからだ!!CKからの失点を減らすことが出来れば、アジアもJもタイトル奪還は見えてくるはずだ。それには、分析こそが命となる。

Q.スポーツ心臓によって肥大した心臓はどうなるのでしょうか?

A.スポーツによって大きくなった心臓は、スポーツを辞めれば元に戻ります。脈も元に戻ります。スポーツ心臓によって、起きた徐脈による不整脈は、通常は運動中にはあまり起こりません。逆に、安静時に不整脈が起こっている場合が多いです。スポーツ心臓になっても、そんなに深刻ではない場合が多いです。基本的に、スポーツ心臓で徐脈になってもあまり心配はありません。しかし、運動中、脈の不整で、動悸を強く感じたり、失神をしてしまうと危険です。そのような人には、単なるスポーツ心臓だけでなく、もとから心臓に基礎疾患があり不整脈が出ていることもあります。これを区別しないといけません。特に心肥大を起こす肥厚性心筋症という病気は重篤ですのでスポーツ心臓との鑑別は重要です。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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