浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】武藤が勝利を手繰り寄せる黒子の活躍を見せる。Jリーグ1stステージ第2節 モンテディオ山形戦<阿部、柏木、武藤、森脇コメントあり>(2015/3/14)

今日のワンポイント

先制点となった阿部選手のゴールは、本当に素晴らしかった。先制点が決まるまでは、本当に苦しい展開であった。横パスが多く、サイドでの勝負も厳しい展開の中で選手たちは我慢強く闘った。攻撃のリズムの変化をもたらしたのは、武藤選手の動きであった。エリア内に武藤選手がいなければ、森脇選手のクロスもこぼれ球も生まれなかった。武藤選手は「積極的にゴールに向うプレーは出来たと思う。ゴールを狙って動いているので、あそこ(エリア内)に入れたことは良かった。こんどは、自分が決めます」と話した。相手DFとの駆け引きやドリブルで仕掛ける動きなど、武藤選手の積極的な姿勢が阿部選手の渾身のゴールとなった。

5DFの山形に対して我慢の展開

ホーム埼玉スタジアムで、歓喜の歌声「WE ARE DIAMONDS」が響き渡った。実に2014年10月5日徳島戦以来の埼玉スタジアムでの勝利であった。

J1リーグ開幕戦となった湘南に3-1と勝利し、白星スタートを切った浦和は、ホームで山形と対戦。3月12日に永田充選手のお母様がご逝去され、追悼の意味を籠めて浦和の選手たちは腕に喪章を巻いてピッチに立った。

試合前から予想されていた通り、山形は両ワイドの選手がDFラインに入り5DFになりしっかりと守備ブロックを形成して、“負けない闘い方”をして来た。退いた相手に対して、有効な手段してはセットプレーである。そのチャンスが開始4分訪れた。柏木陽介選手の左CKを中央で石原直樹選手が頭で合わせるも枠をわずかに捉えることが出来なかった。

柏木選手は「前半、我慢だぞって思った。もう少し、縦にボールを入れたかったが入らず・・・横、横が多くなり過ぎて、サイドが狙われていた。でも、イライラしないで、前半は0で乗り切ることが、大事だと思った。セットプレーでの決定的なチャンスは、前半しかなかった。1回、相手のDFの裏に放り込んで、相手にボールを持たせて高い位置からプレスをかけてボールを奪うことも戦術としてありだった」と話すほど山形の守備を崩すことが難しかった。

それでも、選手たちはボールをポゼッションしながら、横パスで揺さぶりをかけ縦パスを入れるタイミングを狙うも手詰まりになってしまうシーンが多くなってしまった。

ミシャ監督は「前半は、縦にボールを入れても収まらない展開になった。前半、攻めあぐねた。自分たちの力が出せなかったが、相手にもチャンスを作らせなかった。攻守の切り替えは、我々の方が早かった。後半、山形の足が止まり、スペースが空いてくると予想していた」と話したように、浦和は焦らずにゲームをコントロールしながら相手にチャンスも与えずに0-0で前半を折り返し、後半の勝負に掛けた。

阿部のミドルシュートで虎の子の1点を奪う

後半は、青木拓矢選手に代えて前線で仕掛けることが出来る武藤雄樹選手を投入し、ボランチのポジションに柏木選手を下げて攻撃の組み立てを図った。

「ボランチに下がったら、思ったよりも相手は、プレスを掛けて来なかった。チャンスで前に出て行くタイミングも出来た。幅の攻撃と落ち着きが出来たと思う。ただ、楔のパスを入れる所で入れないと行けない。4~5回入れられるタイミングがあったのに、ほとんど入らなかった。チームとしてやるべき姿ではない。狭い所でも入れることが自分たちのレベルアップに繋がる。守って来るチームは、どんどんこれから増える」と先の対戦を考えて柏木選手は警鐘を鳴らした。

前半同様、山形のしっかりとしたブロックに悩まされた浦和は、62分に興梠慎三選手に代えて高木俊幸選手をピッチへ送り込んで、石原選手のワントップへと変化をつけた。その直後の63分には、阿部勇樹選手からの立てパスを受けた武藤選手が、右ワイドの宇賀神友弥選手へ。宇賀神選手のクロスに石原選手がニアーで合わせるも、相手DFがシュートコースに身体を張った守備にゴールを決めることが出来なった。

浦和は68分に最後の交代枠を使い、梅崎司選手に代えて関根貴大選手を入れてサイドの突破を試みた。山形は、中盤で溜めが作れる川西翔太選手を入れてカウンターを狙ってきた。しかし、浦和の攻勢は変わらず、83分には森脇良太選手のクロスのこぼれ球を阿部選手が右足で合わせて豪快なシュートを叩き込んだ。

先制点を叩き出した阿部選手は「入って良かった。セカンドボールを狙っていたので、タイミングが合うかなぁ?!と思っていた。バウンドとタイミングがピッタリ合った。蹴る前にシュートコースが見えていたので、アウト気味に蹴ったら入るかなぁって思い、トラップしないで撃った。力が抜けて冷静に蹴れた」とゴールシーンを振り返った。

クロスを上げた森脇選手は「武藤に合わせようと思った。武藤が競ってくれて、良い所にボールが零れた。ピッチにスーパーマンがいた!!良いゴールが決まった」と素直に喜んでいた。しかし、試合の内容になると森脇は「難しかった。その一言に尽きる。規律ある守備の隙が、見えて来なかった。試合の中でどうすれば崩せるのか、決定機を作れるのか、ずっと考えていた。もっと、内容を突き詰めて行くべきだ。勝ちながら強さを身に付けていきたい」と話した。

先制点が決まるとスペースも出来始め、石原選手とのワンツゥーから武藤選手が抜け出しゴールを狙うも、ポスト直撃。追加点を上げることは、出来なかったが1-0と山形を下した。

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