浦和フットボール通信

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<ハイライト動画付き>【河合貴子の試合レビュー】宿敵・鹿島を撃破して、首位をガッチリキープ。武藤の攻守に渡り惜しみない運動量が勝利に導いた。<武藤、柏木、興梠、ズラタン、関根、森脇、ミシャ監督コメントあり>(2015/5/24)

今日のポイント!!

チームで一番走行距離が長かったのは、11.59キロの関根貴大選手であった。しかし、10.87キロの走行距離を見せた武藤雄樹選手の攻守に渡る質の高いランニングは、頼もしさがあった。武藤選手が決めた同点ゴールのシーンもそうであるが、決勝点となった関根選手のゴールシーンも武藤選手の追い込みから守備のスイッチが入り、柏木選手がボールを奪い展開することが出来た。

試合後、武藤選手は「今日は、守備に追われてしんどかった。守備に対しての運動量は多かったが、攻撃は裏を取るのか迷いがあって効果的な動きが出来なかった」と話していたが、労を惜しまない男の汗は報われるものだ。武藤選手の攻守に渡り惜しみないフリーランニングがチームを勝利へと導いた。

序盤は鹿島ペース。柏木「負けたくない気持ちが強すぎて慎重になりすぎた」

高らかに「WE ARE REDS」が、夜空に響き渡った。苦しい試合展開の中で、鹿島から勝ち取った歓喜の雄叫びであった。ミシャ監督体制になり相性の良い鹿島に無敗記録を更新した。

5月23日、首位を走る浦和は、8位の鹿島をホーム埼玉スタジアムに迎えた。鹿島のキックオフで始まった試合は、浦和の試合の入りは悪くなかった。しかし、マイボールになってから慎重に成り過ぎたのか、上手く縦パスも通らずに本来の浦和らしい攻撃を見せることが出来ずにいた。

柏木陽介選手は「立ち上がりは悪くなかったが、負けたくない気持ちが強く過ぎて、慎重になってしまった。土居君がマンツーマンで来ていたので、上手く引張れれば良かった。前半は全てがチグハグだった。守備も良い形で嵌らず、逆に相手の5-4-1のブロックに手こずった。前半は、前からの守備が行けず中盤にスペースが空いてしまった」と話していたように、自分たちのリズムが作れないでいた。浦和が前半に放ったシュートは、15分に関根貴大選手がカットインして狙ったシュートと17分に槙野智章選手が粘りから武藤雄樹選手が左足を振り抜いたシュートと22分に柏木選手が直接狙ったFKの3本だけであった。

ワントップを務めた興梠慎三選手になかなか縦パスも入らず、運動量も全体の距離間も悪かった。興梠選手は「なかなかボールが入らず上手く守られた。チャレンジするボールが無かった。バランスが悪かった」と前半を振り返った。鹿島が前半に放ったシュートは11本であった。自陣でのミスパスやボールの失い方が悪くピンチを招いてしまったシーンがあった。36分には立て続けに柴崎岳選手を起点にジネイ選手とカイオ選手に決定的なシュートを放たれるが、西川周作選手のファインセーブや枠を捉えることが出来ずに浦和は救われた。

ミシャ監督は「前半は、お互いの良さを牽制し合うような戦術が見えた。ボールを奪われてからのカウンターを警戒していた故に、攻撃が慎重になってしまった。リスクを負わない中で、相手の方が切れのある攻撃を仕掛けられたが、決定的なチャンスを与えなかった」と話した。

前半は0-0で折り返し、ハーフタイムにミシャ監督は「運動量を上げて行こう。リスクマネジメントをしてバランス良く闘う。我慢すること」と3つのポイントをあげて、選手たちを後半のピッチへと送り出した。

ゲームの流れを変えた、ズラタン「高いモチベーションで試合に入れた」

後半の立ち上がりから浦和は、ゴールに向かう積極的な姿勢を見せた。50分には、エリア内で関根選手からパスを受けた李忠成選手が、阿部勇樹選手へマイナスのパスを出すものの、阿部選手のシュートはゴール上に逸れてしまった。52分には、森脇良太選手がドリブルで持ち込みゴールを狙うが決まらず、主導権を握りながらもゴールネットを揺らすことが出来なかった。

攻撃のリズムを代えるために61分、李選手に代えてズラタン選手を投入。その直後に得た右CKをズラタン選手がヘディングシュート!しかし、枠を捉えることが出来なかった。

ズラタン選手は「ベンチから入るのは、試合の流れを変える選手だ!何が上手く行ってないのかを把握していた。ボールをキープすること、ゴールに向かうことを意識した。高いモチベーションで試合に入れた」と話した。しっかりとゲームの流れを読んだズラタン選手が入ってからは、前線の競り合いにも勝てるようになり、ボールをキープ出来るようになっていった。

鹿島も攻撃のリズムを変えようと、67分に柏木選手をマークしていた土居聖真選手に代えて金崎夢生選手を投入して試合の流れを変えようと試みた。その選手交代直後、小笠原満男選手から柴崎選手へとパスが通ると、つかさず柴崎選手が前線のジネイ選手へとロングパスを送った。そのロングボールを森脇選手がジネイ選手と競り合いながらヘッドで西川選手へと送ったように見えたが、西川選手もロングボールをクリアーしようと前に飛び出していた。ボールは無情にも西川選手の頭上を越えて無人のゴールへと吸い込まれ、オウンゴールで鹿島に先制点を許すこととなった。連携ミスと思えたオウンゴールであった。

オウンゴールとなった森脇「前にクリアー出来る体勢をとらないといけなかった」

森脇選手は「聞く?!やっぱり聞くよね~」と苦笑いしながら「今日の試合は3-0でした。モリ、武藤、関根で」と言った途端に、人の顔色を覗いながら「冗談を言えるのは勝ったからね~」とまた苦笑い。そして、真剣な表情で「GKに返したつもりは無かった。いっぱい、いっぱいのクリアーだった。ロングボールがジネイに来てて、身体をぶつけてクリアーするイメージだったが、ボールが跳ねてしまった。周ちゃんも声を出せば良かったと言っていたが、前にクリアー出来る体勢をとらないといけない」としきりに反省をしていた。

同点弾の武藤「当てるだけだった」

不運な失点で、昨シーズンまでの浦和だったら気落ちしてしまうか、焦って自滅するパターンであったが、今シーズンは違っていた。71分、興梠選手からのパスにズラタン選手が右のバイタルエリアにオフサイドぎりぎりに抜け出してクロスを送るとゴール前にフリーで走り込んできた武藤選手にピタリとあってヘディングシュートが決まって同点とした。

武藤選手は「当てるだけだった。フリー過ぎて、おでこに当てようと緊張した。最高のボールをズラタンがくれた」と嬉しそうに話した。アシストのズラタン選手は「連携の整ったシーンだった。慎三がボールを持って開くことで、武藤が入って来て、自分もピンポイントで合わせられた。良い連携で生まれたゴールだった」と満足気に笑みを浮かべた。

起点となった興梠選手は「後半は、スペースが空いてチャンスが来ると思っていた。スルーパスを出していたが、相手にカットされるし、強く出したら点に繋がった。失点しても落ち着いてワンチャンスで決めれて勢いが付いた。内容は悪かったが、勝ち切れたのは良かった。まだ、コンディションが上がらずに身体が動かないが、90分出来たことは次に繋がる。個人としては、何も出来なかった。自分がゴールして勝ちたかった」と少し悔しそうに話した。

逆転ゴールの関根「3連発ゴールは正直驚きです」

試合が振り出しに戻ると浦和は、77分に宇賀神友弥選手から梅崎司選手を投入。すると、梅崎選手を右に関根選手を左のワイドへとポジションチェンジを図った。この起用がズバリ的中!!

83分に、挟み込んだ守備から柏木選手がボールを奪い森脇選手へ、森脇選手からエリア内に走り込んだ関根選手へパスが通ると、冷静にカットインから右足を思い切り振り抜いたシュートはクロスバーに直撃しながらもゴール内へと吸い込まれて行った。

関根選手は「前半は、自分のクロスの精度でチームに迷惑を掛けた。梅さんが入って、スローイングのタイミングで左のワイドに変わった。ミシャ監督の目の前になれば、監督が
タイミングで指示が出せるから・・・」とはにかみながら「モリ君のスルーパスをダイレクトで撃とうと思ったが、ボールが止まったから中に切れ込み撃ちました。気持ち、上に抜けたと思った。前半に、右から切れ込んだボテボテシュートがあったから、思いっ切り撃った。自分がゴールを決めたらサポーターの所へ行こうと思っていたら、押しつぶされて上にマキ君が乗っていた。それもチームの仲の良さですよ!3連発ゴールは正直、驚きです」と仙台戦からの3連発ゴールに戸惑いながらも喜んでいた。

森脇選手は「オウンゴールした時に、大ちゃんが「バッファローになるな!落ち着け!」って声を掛けてくれたことが、決勝点となるスルーパスに繋がった。大ちゃんの判断は的確だった」と話し、柏木選手は「誰かが相手を押さえ込み、4人で挟み込んで奪って、モリが決定的なパスを出せた。挟み込んだ守備はお手本のようだった」と自賛していた。

浦和は2-1で鹿島を下し、暫定ながら2位に浮上してきた広島との勝ち点4差でガッチリと首位をキープした。

試合後に鹿島側に挨拶に行った興梠選手は「レッズサポーターが嫌がると思ったから、行き辛かった。鹿島サポーターに挨拶したら、みんなが手を振ってくれた。ブーイングされると思っていた」と安堵の表情を浮かべながら古巣のサポーターへの感謝の思いも話していた。

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