浦和フットボール通信

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<試合ハイライト動画、阿部インタビュー動画付き>【河合貴子の試合レビュー】「浦和を愛する人々が一丸となって闘った結果の1stステージ制覇!」2015Jリーグ1stステージ第16節vsヴィッセル神戸<阿部、槙野、西川、梅崎、宇賀神、高橋峻希(神戸)、ミシャ監督コメントあり>(2015/6/21)

今日のポイント!!「浦和を愛する人々が一丸となって闘った結果の1stステージ制覇!」

1人少ない中でも、しっかりと話し合いが持たれ、コミュニケーションを取りながら対応出来たことだ。引き分け以上で優勝が決まる条件が、選手たちを冷静にさせていたのかも知れない。だが、阿部勇樹選手は「苦しい時間帯もあって1人少なくなって、苦しさもあったけど、みんなで声を掛け合った。ゴール裏にも声をかけてくれる仲間がいる。そういう声援もあって、なんとか引き分けることが出来た」と話した。槙野智章選手は「サポーターも力を貸してくれた。執念で守った」と話した。選手、サポーターと共に浦和を愛する人々が一丸となって闘った結果だと思う。1stステージ制覇!!おめでとうございます!!

戦前の心配ごとであったピッチコンディションに戸惑うも前半リードで折り返す。


Jリーグ1st優勝に王手を掛けた浦和は、リーグ6戦未勝利のアウェイ神戸に乗り込んだ。引き分け以上で浦和の優勝が決まる1戦に、遠く浦和からも多くのファン・サポーターがノエビアスタジアムに初の1st優勝を後押ししようとゴール裏を真っ赤に染めていた。

梅雨の中休みとなった6月20日、青空がノエビアスタジアムの上空に広がり、予想以上に蒸し暑くなった中、バテながらも1人少ない浦和が最後の力を振り絞り身体を張って走り続けた。そして、高らかな試合終了の笛が、浦和の1st優勝を告げた。

前日の記者会見でミシャ監督が心配ごととしてあげていた興梠慎三選手だが、スタメンで起用。2つ目の心配は、ピッチコンディションであった。やはり、アウェイの洗礼なのか・・・。
浦和は、いつも練習の時からピッチに水を撒き、ボールの走りを良くしている。神戸のネルシーニョ監督は、ボールのスピードを押さえるためにピッチに水を撒かずに、芝も長くして浦和の得意な早いボール回し対策をして来た。

神戸のキックオフで始まった試合は、開始早々に安田理大選手のクロスにいきなりマルキーニョスがDFの裏に飛び出しゴールを狙って来たが、浦和も梅崎司選手のアーリークロスに逆サイドからエリア内に飛び込んだ武藤雄樹選手がゴールを狙った。阿部勇樹選手は「相手がどういう感じで来るか?と言うのはあったけど、特に堅さはなくここ数試合と同じ感じだった」と試合の入りを振り返った。

神戸は両ワイドの選手が下がり5バックを形成しながら前線へロングボールを放り込んできた。6分にチョン・ウヨン選手のロングボールを西川周作選手がキャッチング出来ず、ミスから先制点が決まってしまうのか?と肝を冷やしたが、ボールはゴール左をかすめるように逸れて行った。

西川選手は「ピッチコンディションが良くなくて、アップの時に確認はしていたんだけど、思った以上にボールがバウンドしてグ~ンと伸びて来た。あの時、その先の展開を考えていたから、入っていてもしょうがない場面だった。場所場所で、ボールが止まったり、跳ねたり、伸びたりしてキーパーとしては出来るだけボールを正面で受けることとボールコントロールを意識していた。山本選手に試合前に話して確認したんだけど、山本選手も4回バウンドが変わって失点しているって言っていた。本当に危なかった」とピッチコンディションを気にしてプレーしていたが、予想を遥かに超えたボールの軌道だった。

一瞬、危ないシーンであったが、浦和のDF陣は落ち着いていた。ラインをしっかりと押し上げセカンドボールを拾いながら主導権を握り始めた。しかし、24分には、神戸の素早いFKのリスタートから、ペトロ・ジュニオール選手が抜け出して西川選手と1対1の場面を作られてしまった。ここは、西川選手がファインセーブを見せた。「1対1のシーンは、昨年の失点が重なった。ペトロ・ジュニオール選手には、自分から仕掛けて抜かれて失点した。同じ様な状況で、抑えられたことは良かった」と笑みが零れた。

そして、遂に浦和に先制点が生まれた!27分、センターサークル付近でペトロ・ジュニオール選手へのパスをインターセプトした槙野智章選手がそのままドリブルで持ち上がり、左のバイタルエリアに走り込んだ武藤選手へ、武藤選手のクロスにゴール正面で興梠選手が相手DFを釣ると、ファーサイドに走り込んで来た梅崎司選手が右足シュート!ボールは右ポストに当りながらも、転々とゴールに吸い込まれていった。

攻撃の起点を作った槙野選手「ペトロに(ペトロ・ジュニオール)時間とスペースを与えずに潰し、ボールを奪えたらチャンスだと思っていた。代表と役割が違い、浦和では守備だけでなく攻撃参加も求められる。ゴール前に運んで、武藤の後ろから興梠が飛び込み、ウメが決めてくれた。良い連携が取れていた」と嬉しそうに話した。

先制点を決めた梅崎選手は「誰が武藤にパスを出したかは、知らないけど・・・。武藤に良い形で、ボールが入って、慎三(興梠)がニアーで潰れてくれた。自分の所に転がって来ると信じて走ったら、転がって来た。シュートはボテボテだったけど、決まって良かった」と安堵の表情を浮かべた。「いつもの練習後の居残りランニングの成果では?」と尋ねると、嬉しそうに「ひとつの努力が報われたシーンだった。優勝するために浦和に来た。(2008年大分から移籍)苦しい時が長かったが、現状を見て、未来を見て来た。サポーターと一緒に喜べて良かった。年間、チャンピオンとまだまだ先がある。まだ、半分かなぁ?!変わらずに努力し続ける」と努力を怠らない姿勢を見せた。

1点を追う神戸は、32分に小川慶治朗選手がペトロ・ジュニオール選手とワンツーでエリア内に抜け出して放ったシュートは宇賀神友弥選手の足に当ってコースが変わりクロスバーに直撃。その直後、武藤選手のクロスに柏木陽介選手が合わせて、追加点が決まったかに思えたが、武藤選手がオフサイドの判定。

39分には、チョン・ウヨン選手の右CKに増川隆洋選手が頭で合わせるが、右ポストに直撃!前半、クロスバーとポストに助けられる幸運に恵まれて、1点リードで浦和は前半を折り返した。ミシャ監督は「我々にとって毎試合厳しいゲームだが、やはり今日も厳しいゲームだった。無敗でここまで来ていると、どのチームも高いモチベーションで、自分たちの力を図る判断材料の試合として挑んでくる。100%いや、300%ぐらいの気持ちを持って闘ってくる。今日もそうでした。前半を1-0で折り返すことが出来たが、相手もチャンスがあり、ポストやバーに当ったシュートもありました。1-0で折り返せたのは、運だった」と前半を振り返った。

宇賀神退場で追いつかれるも同点で終えて、ステージ優勝を決める

後半の立ち上がりも、浦和は前線からの守備かけてDFラインの押し上げて、主導権を握って行った。51分には梅崎選手からパスをエリア内で受けた興梠選手がゴール向って右からシュートを放つも枠を捉えることが出来ずにいた。その興梠選手が増川選手と頭どうしがぶつかり、ヒヤリとしたシーンもあった。興梠選手は「足は、大丈夫だけど、頭にたんこぶが出来た。難しい試合だった。スペースはあったが、ピッチコンディションで球が走らず、蹴る形が多くなって自分たちにサッカーが出来なかった」と納得出来ない表情で話した。

神戸は、60分に安田理大選手から相馬崇人選手へ、ペトロ・ジュニオール選手から渡邉千真選手へと2枚代えで攻撃の活性化を図ってきた。ロングボールを多用していた神戸であったが、前への推進力が出てきて、ゲームの流れは神戸へ。堪らず、浦和も71分に柏木陽介選手から青木拓矢選手へ、梅崎選手からズラタン選手と2枚代えを行なった。その4分後、前半にイエローカードを受けていた宇賀神選手が2枚目のイエローとなり退場。

宇賀神選手は「峻希には(浦和ユース時代の後輩でもあり元チームメイト)やられたくなかった。峻希を止めれば、自分たちが優位に進められると意識していた。1枚目のイエローは、峻希がワンツーで狙って行かれそうだったから、ガッツと行きました。2枚目は、接触プレーだと思う。厳しい判定だった。みんなに迷惑かけた。相手の時間になりかけていて、守備に行けていなかった。1枚目を貰っているのに、軽率だった。自分は、まだ未熟だと思った」と申し訳なさそうに話した。

その宇賀神選手と対峙していた高橋峻希選手は「ウガさんに思いっきり削られたけど、僕は楽しかった。斜めに入っていく動きは、相手も掴み辛いし、嫌がると思い一瞬の隙を狙った。同じシステムのミラーゲームで、ウガさんとのマッチアップ。ウガさんが嫌がることしようとずっと思っていた」とマッチアップして闘えたことが嬉しかったようだ。

数的不利な状況に陥ってしまった浦和だが、直ぐに話し合いがもたれ、ズラタン選手のワントップに両ワイドが下がり、シャドーとボランチを兼任するような形で5-3-1の布陣で対応を図った。「ディフェンス陣とボランチとキーパーで集まって、みんなで試されていると話した。10人でも勝ち切ろうと思ったし、サポーターも力を貸してくれた。執念で守った。みんなで話しあえるところが、昨年と違うところだ。賢いゲーム運びが出来るようになった」と槙野選手は嬉しそうだった。

全員自陣に下がり、神戸の攻撃を球際に厳しく行き、堪えていたが、84分に相馬選手が途中出場した石津大介選手とのワンツーで左サイドを突破し、クロスを上げると渡邉選手にドンピシャリと合いヘディングシュートを決められ同点に追い付かれてしまった。

那須大亮選手は「失点はしょうがない。10人になって失点したが、仕方ないと思った。この状況をもっと楽しもうと話し合った。メンタル的にも相手より優位に闘えている。この状況を乗り越えれば、もっと強くなれると話した。一丸となって闘うことが結果になっている」と自信に溢れていた。

同点に追い付いた神戸は、数的優位を利用して逆転を狙い仕掛けてくるが、浦和の選手たちは、身体を張り踏ん張った。

アディショナルタイムが6分と表示されるとスタジアムからどよめきが起きた。暑さと湿気と慣れない芝と、しかも1人少ない過酷な状況であったが、集中力を切らさずに守り切り、1-1の引き分けで浦和が無敗記録更新と無敗の1stステージ優勝を決めた。
1stステージを制覇しただけであることを選手たちは、噛みしめていた。本当の試練はこれからである。試合を終えた選手たちには、自信に満ち溢れながらも次なる闘いに切り替えていた。真の日本一を目指して、闘いは続く。

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