浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「フットボールを愛する人々のために」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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夏の暑い時期に連戦を行うことは、選手にもサポーターにも負担がかかる

立秋が過ぎ、朝晩はいくぶんか過ごしやすくなって来たが、それでも暑い!夏が暑いのは、当然のことであるが、年々暑さが増しているように感じる。連続猛暑日やサメ騒動を考えると異常だ。日本が熱帯化しているように思う。日頃、エアコンの効いた部屋に身体が馴染んでいると外の温度差で辛い。夏場、浦和の練習時間も9時スタートとなっているが、取材が終わり帰宅すると水風呂に入るのが日課となっている。それでも、直射日光を浴びた身体は、火照っている。熱中症を予防するために、凍らした保冷剤と携帯型ミスト扇風機を持参して取材をしているが、頭がボーっとして集中力が無くなる。暑さは体力を消耗するだけでなく、思考能力も低下させる。ピッチの中でボールを追います選手たちも本当に大変だ。余りの暑さに「こんな日に、フットボールやっちゃだめでしょ?!止めようよ!」と思わず言いたくなってしまう。

夏場の疲労は、どんどんと蓄積されて行き、気が付かない間に心身ともに身体を蝕んでいく。8月12日に行われたアウェイ新潟戦は、2ndステージ開幕戦以来となる5試合ぶりの勝利を収めた。浦和が、勝てば気持ちも軽くなる。だが、もしも敗戦していたら心身ともにドッと疲れが圧し掛かって来る。

東アジア選手権で3試合を全力で闘い、10日に中国から帰国して新潟戦をフル出場した槙野智章選手のメンタリティーは凄いものがある。新潟戦の次は、中3日でホーム湘南戦が控えている。おそらく槙野選手は、湘南戦も闘うと思われる。いくら若いとは言え、疲れていない訳はない。槙野選手は『勝ちたい』思いを発奮剤にして重い身体に鞭をうっている。しかし、気持ちだけではどうにもならない時が、何れ訪れる。その時が、心配でならない。

東アジア選手権を最下位で終えたハリルホジッチ日本代表監督は、Jリーグの日程で大会準備期間が取れなかったと不満を露わにしていた。その気持ちも分かる。新潟戦の前日記者会見で、ミシャ監督は「夏の暑い時期に連戦を行なうは、選手にとって負担だ。2週間の中断を止めて、各週を選択肢として考えても良いだろう。FIFAのルールに従って、代表に選手を出す、出さない判断が、日本は曖昧だ。議論の余地はある。代表側が不満ならば、クラブサイドも難しいと思っている」と正直な胸の内を語った。

そして、妥協案として代表抜きでJリーグの試合を各週で闘うことを提言した。「東アジア選手権で良い結果を残せば宣伝になり、よりサポーターをスタジアムに集めることになる。今回、東アジア選手権で優勝していたら、西川や武藤、槙野、興梠を見たいと思うだろう。良い宣伝になるのは、代表が結果を出すことでJリーグに還元される。どちらかが妥協するなら、1つの案としてある。今の状況では、どちらも得をしない」とミシャ監督は苦言を呈した。

更に、観戦に訪れる人々のことを思い「予定を詰め込んで水土と連戦が続けば、観る側もどれだけ経済的な負担が掛かる。財政的な理由やウィークディーは仕事で来られないサポーターもいる。1週間空けて試合をやっていくことが大事だ」と話した。

シーズンチケットホルダーにしたら、財政的な理由はないだろう。だが、水曜日の試合になると仕事を抱えているシーズンチケットホルダーは、かなり厳しい。もちろん、仕事が優先だから、チケットを無駄にしてしまう人も出てくる。「今の浦和の状況ならば、シーズンチケットを持っていなくても、行ける試合を当日でも買えるから」と言ってシーズンチケットを手放した浦和を愛する人もいる。だが、それはホームゲームに限ってのことだ。

これが、平日アウェイの試合になると話しは違う。夏休みだから家族みんなで旅行を兼ねてアウェイに行ったり、また、仕事を休んで行くこともある。そうなると経済的な負担が掛かる。

連戦になると両チームともにベストコンディションとは言い難い。折角、スタジアムに足を運んでも、選手が疲れきってヘロヘロの状態では意味が無い。そればかりか、応援する方も疲労がある。今は大丈夫かも知れないが、夏の蓄積された疲れは、ドッと秋に押し寄せて来る。若いから大丈夫とか関係ないのだ。浦和を愛する人々の胸に刻まれている「PRIDE OF URAWA」を堂々と掲げていたサポーターが、急性心不全のために22歳の若さで逝ってしまったのは、秋だった。連戦は、選手の身体だけでなくフットボールを愛する人々の身体にも負担が掛かっているのだ。

ミシャ監督の妥協案も賛同出来るところもある。一番大切にしなければならないのは、フットボールを愛する人々のために、どうあるべきかだと思う。限られた日程の中でスケジュールを押し込むのではなく、フットボールを愛する人々のために、より良いコンディションで選手が試合に臨み、スタジアムに足を運ぶのに経済的にも体力的にも楽なスケジュールが良い。

やっぱり、秋春制が良いと思う。そして、ミシャ監督が提案した各週の試合スケジュールが良い。もし日程が厳しいのであれば、試合数を減らすためにJ1リーグのクラブ数を減らしても良いのではないかと思ってしまう。現状のJ1のクラブ数ならば、チャンピオンシップなど行なわずに、各週のスケジュールが組めるのではないか・・・。思わず、スケジュール表を睨みつけてしまった。

Jリーグは興行である。観戦したいと思われることを大切にすることはもちろんであるが、観戦に訪れる人々も大切なのだ。忘れてはいけないのは、フットボールを愛する人々の存在だと思う。

Q. 石原選手が怪我をした時は、全治6カ月と言われていましたが、前十字を損傷した場合に、復帰にはどのぐらいかかるのでしょうか?

A. 本当に6カ月で復帰出来る人もいます。ただ、人によって痛みに対しての強さが違います。痛みに弱い人は、どうでしても慎重になりリハビリが遅れてしまうことがあります。予定通りにリハビリが上手くいけば、6カ月から8カ月でしょう。女性は、筋力の回復が遅い傾向があり、男性よりも復帰に時間が掛かります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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