浦和フットボール通信

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<ハイライト映像付き>【河合貴子の試合レビュー】「みんなの力が結集。思いが繋がって決まったゴール」2015Jリーグ2ndステージ第7節 vs湘南<武藤、阿部、槙野、ズラタン、柏木、>(2015/8/17)

今日のポイント!!「みんなの力が結集。思いが繋がって決まったゴール」

互いにゴールが決まらず、重い試合の均衡を破ったのは槙野智章選手であった。後半の13分に生まれた。そもそも、このゴールの最初のスタートは、槙野選手からのビルドアップから始まった。

槙野選手が、武藤雄樹選手へと送り、武藤選手が阿部勇樹選手へ落として、阿部選手から大きく右サイドの関根貴大選手へと展開。関根選手からいったん梅崎司選手へと預けて、梅崎選手から柏木選手。柏木選手が関根選手からリターンパスを受けてエリア内の深い位置にポジションを取った興梠慎三選手へと送り、興梠選手から関根選手へ。そして関根選手のマイナスのクロスを槙野選手が決めたのだ。

なんと小気味よいボール回しなのだろうか?!そこには、パスと動きのクオリティの高さを感じられる。「関根の前に陽介と目が合った」と槙野選手が話していたように、目が合った瞬間に仲間を信じてゴール前に槙野選手は顔を出していたのだ。そして、広島から試合を観に来た家族の前で見事に決めた!!武藤選手は「流石だ。格好良い。僕も両親が観に来ていたのに・・・」と羨ましそうに話していた。

槙野選手のお父様は「有難うございます。みなさんのお陰です」と嬉しそうに話し「浦和で本人のゴールを見たのは、初めてです。やったぁ~という感じでした」と笑みが零れた。

ゴールは、みんなの力が集結して生まれるものだ。ゴールを決めた選手だけでなく、ピッチで闘っている選手たち、浦和を愛する人々の思い、そして選手を支える家族やスタッフの思いが、ゴールへと繋がった。

2ndステージ、ホームで初勝利!

お盆休みの最終日となった8月16日、夕方になり若干涼しくなってきたが、ピッチの中はヒートアップしていた。熱い闘いを征したのは、浦和であった。6月7日の清水戦以来の完封勝利、2ndステージホーム初勝利!久しぶりに「WE ARE DIAMONDS」の歌声が夏の夜空に響き渡っていた。

浦和は、新潟戦で1ゴール1アシストと勝利に貢献した梅崎司選手をスタメンで起用し、前節の新潟戦を東アジア選手権の疲労を考慮して回避した興梠慎三選手と武藤雄樹選手がスタメンに名を連ねた。一方、湘南は、古巣相手に意気込む坪井慶介選手と山田直輝選手をベンチに置いていた。

試合は、フットボールスタイルを確立させている両チームの対戦で、運動量が鍵となる。予想通り、湘南は前半立ち上がりから積極的に前から嵌めこむ守備を仕掛けて来た。

4分、柏木陽介選手のバックパスが弱く、自陣で菊池大介選手にボールを奪われ、ピンチを招いてしまった。6分には、阿部勇樹選手の縦パスを受けた柏木選手がドリブルで持ち出し、興梠慎三選手へスルーパスを送るがタイミングが合わない。お互い攻守の切り替えが早い中で、浦和のちょっとしたミスでチャンスを生かすことが出来ず、またピンチになってしまうシーンもあった。

阿部選手は「バックパスとか、危ないシーンはあったが、シンプルに前を向いている選手を使うのであのようになってしまった。下が(ピッチ)いつもよりも濡れていなかった。得点には、ならなかったけど気をつけないといけなかった。恐がらずに繋いで、相手をいなして行けたら良かった。相手も前に前に来ていた。シンプルにやることと、後ろから繋いで遊びのパスを入れたりして相手を走らせれば良かった。後ろからのビルドアップが重要で、運ぶ、相手に来させる、ことの使い分けをしても良かったと思う。前半は、セカンドボールが拾えずに、競れる選手の菊池君(俊介)だったり、大槻君の背後を高山君が狙っていた」と反省しながら前半を振り返っていた。

しかし、徐々に浦和の鋭い攻撃が牙を剥きだした。11分、梅崎司選手のFKを阿部選手がゴール前でヘディングシュートを放つも枠の外、21分にはゴールライン際をドリブルでえぐった関根貴大選手のマイナスのクロスを興梠選手が反転してシュートを放つが枠の外。

29分には梅崎選手のクロスを武藤雄樹選手がダイレクトで得意な形で狙うが撃てず、良い形を作りながらも決めることが出来ないでいた。

武藤選手は「あそこは、得点パターンの1つ!ウメさんから良いボールが入って来てくれた。イメージとしてはあっていた」と悔しがっていた。梅崎選手は「落ち着いて、相手のプレスを外していく狙いだった。前半は、捕まるシーンが多かったが、良い感触でやれていた。自分がドリブルで相手を抜いた後のパスの精度がしっくりと合わせていかないといけなかった。パスがずれることが多かった。相手のプレスが早い中で一瞬の判断だ。如何に冷静に見極めるかだ。判断が遅れるところもあった」と悔しがった。

湘南も永木亮太選手を中心に攻撃を組み立て、チャンスを作っていった。31分には永木選手が大槻周平選手からリターンを受けてミドルシュートを狙って来り、前半終了間際の43分には、三竿雄斗選手の右CKを菊池俊介選手が合わせたヘディングシュートが左ポスト直撃!!ポスト跳ね返りを大槻選手がヘディングシュートを放つもゴールネットを揺らすことが出来ずにいた。

お互いチャンスを生かせずに、前半を0-0で折り返した。前半、浦和の放ったシュートは6本、湘南は7本と五分の闘いであった。

後半、ミシャ監督は「もっとアグレッシブにプレーしよう。相手より走ること」と選手たちをピッチへと送り出した。しかし、いきなり先制パンチを放ってきたのは湘南であった。石川俊輝選手から菊池大介選手へとパスが通ると、菊池選手のスルーパスに抜け出した高山選手がシュート!だが、西川周作選手がファインセーブでゴールを死守した。

その後、浦和はボールを保持して主導権を握り始めた。そして0-0の均衡を破ったのは浦和であった。58分、柏木選手からエリア内の深い位置で縦パスを受けた興梠選手が、右サイドから走りこんで来た関根選手に落とすと、関根選手が冷静にゴール前に顔を出した槙野選手へとマイナス気味のクロスを送り、槙野選手も少しバックステップを踏みながら上手く合わせてシュート!!待望の先制点が生まれた。

槙野選手は「関根の前に、陽介と目があった。上手くボールが収まった。何度も言いますが、自分はFWですし、久しぶりに流れの中でゴールを決めた」と嬉しそうに笑った。

追いかける形となった湘南は、64分に古林将太選手に代えて藤田祥史選手を投入し攻撃の活性化を図って来たその直後、相手の連携ミスを武藤選手が見逃さなかった。

武藤選手が尽かさずボールを拾って興梠選手へとスルーパスを送ると、興梠選手がDFの裏に抜け出しドリブルシュートを放つが、秋元陽太選手のファインセーブにあってしまった。疲れが見えだした興梠選手の動きに対し、ミシャ監督はズラタン選手をピッチに送り込んだ。

何とか追い付き、逆転勝利を目指すチョウ監督は、76分に永木選手に代えて山田直輝選手、大槻選手に代えて可児壮隆選手を入れて一気に2枚の交代枠を使ってきた。一方、青木拓矢選手が交代の準備をしているが、少しバタバタとしてしまい青木選手は78分に宇賀神選手と交代することとなった。

浦和は、湘南に決定的なチャンスを作らせずにいたが、84分には柏木選手のクロスを良い形でズラタン選手が受けたが、シュートはゴール上に逸れてしまった。

ズラタン選手は「キープすることも大事だと思うが、もう1点追加点が獲れれば楽になった。追加点は重要だった。リトリートして守りになれば、試合の流れは難しくなったと思う。何よりも大事なのは、無失点で抑えることが出来た」と話しながらも「陽介からパスを受けて、ダイレクトで戻して、陽介からDFの裏に抜けたボールをダイレクトで撃とうと思った。バウンドしたボールを撃ったから、ゴールの上に行ってしまった。瞬間的な判断だった。反省している」と決定機決められず悲しそうに振り返った。

だが、ズラタン選手は気持ちを切り替えるように「アクションは、問題ない。いつも一番、難しいのはチャンスを作ることだ。良い場所にはいる。あと、数ミリの調整が必要だ」とゴールを決める執念を見せた。

柏木選手は「相手の運動量が落ちて来るからチャンスが出て来た。前半は良くなかったが、前に出て行く力も出てきた。走れているけど最後の最後に疲れている。でも、勝っていることが大事」と話した。

湘南は最後まで諦めない姿勢を貫いたが、追い付けず1-0で浦和が無失点で勝利した。ゴールを死守した西川選手は「久々の無失点は良かった。今日は、駆け引きをして勝った。ここぞと言うところで止めるGKは強い。攻め込まれても、中のDFの整理が出来ていたので心配は無かった。久しぶりにホームで勝てたのは自信になる」と嬉しそうだった。

また、前半に接触から膝を傷めた阿部選手は「痛いですよ~。やった瞬間、今シーズン終わったと思った」と話しながら安堵の表情を浮かべていた。

試合後、ミシャ監督は「勝つべきして勝利した試合」と話し、真っ向勝負を挑んだチョウ監督は「浦和さんの技術の高さ、熟練度には及ばないが、彼らを慌てさせる時間があった。スリリングな展開であった」と敗戦はしたが、浦和を苦しめた手応えを感じていた。

浦和は湘南を下しJ1通算350勝目を飾ったと共に、年間順位1位に返り咲いた。

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