今日のポイント！

横浜FMに０－４と手も足も出ないほどの完敗であった。柏木陽介選手は試合後に「逆に気持ちが良い！嵌らなかった。何も・・・。フォーメーションを変えて後半、工夫してやって良かったけど、そこから点も入らずセットプレーとカウンターでピンチになってしまった。後半、前目のポジションで気持ちも乗って、個人的にはプレーの質も悪く無かったと思うけど、どうしようも無かった。誰が悪いとかじゃない。今日は、みんなが悪かった。ブロックを嵌められて厳しかったし、ゆっくり攻撃する部分とサイドを上手く使う部分をもっと有効的に使えればよかった。相手の思うツボだった。相手の戦略に対して、そのまま終わった」と悔しいが負けを潔く受け止めていた。

本当に横浜FMは、攻守に渡り素晴らしかった。特に、中村俊輔選手がトップ下で存在感を見せ付けていた。横浜FMはリードしてからの守備ブロックもしっかりしてことごとく浦和のクロスを跳ね返していた。後半、興梠選手とズラタン選手のツートップで挑んだが、３失点目でミシャ監督は「今日の出来では、このままリスクを負って攻撃しても４、５失点する」と青木拓矢選手を入れて元のシステムへと戻した。

浦和も崩そうと工夫は見られたが、ペナルティーエリアの中で横浜FMのDF陣が嫌がるドリブルの仕掛けからのシュートなどがあっても良かったのではないかと思ってしまう。しかし、そのスペースすら横浜FMのDF陣は与えなかったのだろう。終了間際に高木俊幸選手を投入したが、もう少し早い時間に起用して欲しかった。

浦和をそこまで苦しめたチームは、今シーズン今までいなかった。2013年７月13日川崎戦以来となる０－４の完封負けとなった。リーグ戦はワールドカップ予選のために中断となり、来週からナビスコカップがスタートする。西川周作選手、興梠慎三選手、槙野智章選手、ズラタン選手は不在となるが、チームの立て直しを図る良い機会にしていきたい。

最後まで横浜FMの堅い守備を抉じ開けることが出来ず、０－４と完敗

夏休み最後の土曜日となった８月29日。梅雨に逆戻りしたように蒸し暑くぐずついた天候となった日産スタジアムに、３万3467人の観客が訪れた。前節仙台に逆転勝利を収め２ｎｄステージ４位に浮上した浦和は、前節鳥栖に逆転勝利を収め９位に浮上してきた横浜FMと対戦。両チーム共に３連勝中と波に乗り出しただけに、相手を叩きのめして本調子を示したい。

しかし、誰がこのような試合展開になると予想出来ただろうか？！横浜FMのキックオフで始まった試合は、開始２分に那須大亮選手が挨拶代わりのような強烈なロングシュートを放ち攻撃的な姿勢を示すと、その直後には槙野智章選手のクリアーボールを拾った齋藤学選手からのパスでアデミウソン選手がシュートを放って来た。

お互い譲らない緊迫した試合になるのかと思いきや、徐々に主導権を握ったのは横浜FMであった。横浜FMの伊藤翔選手のワントップに中村俊輔選手を中心に齋藤学選手、アデミウソン選手のトップ下３枚を捕まえ切れずに浦和は翻弄されてしまった。

９分にはアデミウソン選手が伊藤選手とワンツーで抜け出した左足シュートは枠の外。13分には中村選手の右CKからファビオ選手のヘディングシュートを西川周作選手がファインセーブでゴールを死守。19分にはまたアデミウソン選手がゴールを狙って来た。
浦和は、マイボールになっても奪う位置が低く前線との距離が空いてしまい興梠慎三選手にボールが収まらず、攻撃のリズムが作れないでいた。

興梠選手は「今日は、今年一番悪かったと思う」と開口一番話し出した。「全員が間延びして、近いポジションにいなかった。自分にボールが入っても、周りに相手の選手が10人ぐらいいるように感じた。自分のところでボールがキープ出来たら良かったが、上手く守られてしまった。自分のところでボールが収まれば、攻撃の起点が出来たのに、後ろからの持ち運びで相手のDFを２、３枚剥がした持ち運びが出来ず、ゆったりと回しているだけで、前に行く力が無かった。今日に関しては、上手く守られた。非常にやり辛かった。ボランチとの距離も遠く、僕の後ろに人が入って来られなかった」と興梠選手は前半シュートを１本も撃てずに終わるぐらい厳しい状況下で闘っていた。

横浜FMは浦和ボールになると攻守の切り替えが早く、しっかりとしたブロックを形成して、ボールの奪いところを明確にしていた。そして27分、アデミウソン選手から中村選手へとカウンターになりかけたところを止めに入った阿部勇樹選手のファールを取られ、ゴール正面、約25ｍと絶好のポジションでＦＫを与えることになってしまった。

中村選手の得意なFKは浦和の壁を越えて弧を描きゴールへと吸い込まれていった。西川選手は「俊さんだったし、壁の裏に来た時に流石だと思った。壁の２枚目と３枚目を通して落として来る技術はワールドクラスだ」と中村選手の技術の高さを褒めた。

７月の月間ベストゴールは、Ｇ大阪戦で直接ＦＫを決めた中村選手のゴールであった。試合開始前に表彰式が行われ、その時の中村選手のＦＫがオーロラビジョンに流れていた。実は、西川選手の脳裏にはその映像が残っていたのだ。

西川選手は「ベストゴールのＧ大阪戦の俊さんのＦＫ見て、助走の入り方からファーでもニアーでもどちらでも蹴れるから・・・。ＦＫを決められたのは久しぶりだ」と話した。

武藤雄樹選手は「ミスばかりで後悔している。相手４DFに対して慎三さん１人になってしまったし、右サイドの小林選手が上がった時に、ウガさんか僕がみるのか中途半端になり、そこにアデミウソンが来るし、中村選手が顔出すし・・・。修正する前に失点してしまった。中村選手に上手くやられた。那須さんが、そこまで前に行けないし、シャドーが下がって５－４－１で守るぐらいの気持ちでも良かった」と守備面について悔しそうに話していた。

１点を追う展開となった浦和は、更に厳しい状況へと追い込まれた。33分、アデミウソン選手から左に流れた伊藤選手へと縦パスが入り、伊藤選手がＤＦの裏を狙って浮球に齋藤選手が宇賀神友弥選手に競り勝ち左足でゴールへと流し込み０－２。

39分には、零れ球を拾った宇賀神選手がシュートを放つも枠を捉えることが出来なかった。浦和が前半に放ったシュートは、僅かに２本。楔のパスを狙われたり、攻撃のリズムが作れずにコンビネーションも合わず苦戦を強いられてしまった。

ミシャ監督は「マリノスが、より走り、球際とセカンドを上回った。セットプレーで失点し、我々の選手が競り負け、チームの出来が悪い中で先に２失点は難しい。イージーミスが多く、これまでには無いぐらいだ。ボールを前に運べなかった」と前半を振り返った。そして、２点のビハインドを跳ね返すために宇賀神選手に代えてズラタン選手を後半の頭から起用し、阿部選手をワンボランチとして柏木選手を前目のポジションへと代え、興梠選手とズラタン選手のツートップへとシステムチェンジで反撃を試みた。

すると後半の立ち上がりから、浦和らしい攻撃の形を見せ始め主導権を握り始めた。49分には興梠選手、51分には武藤選手がシュートを放つが飯倉大樹選手に阻まれてしまった。58分にも柏木選手からのスルーパスにズラタン選手がエリア内でシュートを放つも惜しくも枠を捉えることが出来なかった。

浦和が前掛りに攻め込む中、横浜ＦＭは守備ブロックを作りがっちりとゴール前を固めて、カウンターを狙って来た。59分、中村選手が起点となりアデミウソン選手へと素早い展開から、マイナスのクロスをゴール正面に走り込んで来た斉藤選手が冷静に決めて０－３と突き放した。

那須選手は「１失点目のＦＫはしょうがない。２失点目はもったいない。しっかりやろうと思って、我慢して後半の入りは良かった。セカンドも拾えて来て流れが浦和に来ていたのに、相手のカウンターのバランスの欠如で３点目が決まってしまった。退いた相手だからこそ、クオリティーを重視しないといけない。退いて来て、仙台みたいだった。ボールの入れ所が無く、ボールの動かし方が遅くなった。ボールを奪えるところで、奪えずに後手に回ってしまった」と下唇を悔しそうに噛んだ。

興梠選手は「後半、良い感じで押していたが、失点してズルズルした感じだった。ツートップになって久しぶりに楽しみながらやりたかった。あれが上手くいくと良いコンビネーションが出来ると思う。だけど、今日は決定機と言う決定機も無かった」と話した。

そして64分、中村選手の左ＣＫを見事に中央でファビオ選手が頭で合わせて、４失点目。浦和は、興梠選手に代えて青木拓也選手を投入して、ズラタン選手のワントップとし通常のシステムへと戻した。

青木選手は「みんなが守備に戻れていなかった。攻撃に比重を掛け過ぎておろそかになっていた。退かれた相手を崩すのは難しいが、クロスまでは行くけどもうひと捻りが必要で、良いポジションに入って行くしかないと思っていた。１点を取りたい気持ちはあったけど、上手くいかなかった」と何とかチームを立て直そうとしていた。

関根選手は「守備も上手く嵌められず、ボールも奪えなかった。自分の良いところにボールを預けてくれて、１対１には自信があったが、クロスを中に如何合わせて良いか分からず、抉ってもパスコースが無かった。３点目が入った時は、正直、辛かった。１点でも取り返すことが大事だった」と話した。

しかし、最後まで横浜FMの堅い守備を抉じ開けることが出来ず、０－４と完敗した。