浦和フットボール通信

MENU

河合貴子のレッズ魂ここにあり!「美しきチャレンジャー~レッズレディース」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

RT3_8195-(C)Rimako TAKEUCHI

レギュラーシリーズ最終戦となるINAC戦は、浦和にとって失うものは何もない。ならば、美しきチャレンジャーとなって、勇気を持ってINACに襲い掛かれ!

昨シーズン、なでしこリーグの頂点に輝き女王の座を手に入れたのは、浦和レッズレディースだ。2013年、なでしこリーグ2部に降格の危機に晒された浦和を、シーズン途中で率いた吉田靖監督が、チームの立て直しを図った。

まず最初に取り組んだことは、自信を失くした選手たちに、球際強く走り負けずに闘う姿勢から自信を取り戻すことであった。その甲斐があり、自信を取り戻した選手たちは、昨シーズンの快進撃を見せ恐れを知らずにINACだろうが日テレだろうが立ち向かって行ったのだ。

だが、吉田監督は「若い選手たちが中心だから、波に乗れば若さの勢いで行ける。しかし、それは本来の強さとは言えない。若い故に、メンタル的に崩れやすい」と警鐘をずっと鳴らし続けていた。

ゲームの流れが悪い時や1点差を追う展開の時など、若さ故に「何とかしないといけない」という気持ちが強すぎて、冷静さを見失ってしまうことがある。チームに百戦錬磨の経験豊富な選手がいれば、その選手が核となってチームのメンタル的な部分を支えて、上手く行かない時でもチームに落ち着きをもたらしてくれる。

今シーズンの浦和は、レギュラーシリーズの開幕戦となったINAC神戸戦を先制しながらも、ちょっとした経験の差でゲームコントロールをINACにされてしまい2-3と敗戦し、続くジェフ市原・千葉に0-1で敗れ痛い2連敗を喫した。

昨シーズン優勝に輝いた浦和を倒そうと、今まで女王に輝いて来たINACも日テレも女のプライドに火が点いたように思えた。INACと日テレには勝ち点差を離されてしまい、レギュラーシリーズの序盤を浦和は波に乗れずに苦戦を強いられてしまった。

レギュラーシリーズ上位6チームが、エキサイティングシリーズでリーグ優勝を掛けて闘うことが出来る状況の中で、浦和はギリギリのボーダーラインの6位を僅かな勝ち点差で、新潟と湯郷ベルで争うことになってしまったのだ。

しかし、FIFA女子ワールドカップカナダ大会の中断期間に、代表選手が不在の浦和にとってチーム全員が揃い建て直しに向けて練習が行なわれたのは、大きなことであった。中断された41日間を吉田監督は「中断期間が有り難かった。若いチームなので勢いがあれば良いが、負けると落ちる。闘い方を整理して、守備から始めた。良い奪い方からどんどんゴールに向かうことをして来た。外も中も使い分けて攻撃を仕掛ける。人数を掛けないと点が獲れないので、サイドバックが上がる時は、中に入ってくるようにした」と振り返った。

吉田監督が「彼女がいると守備が安定する」と絶賛するほど長船加奈選手が、この中断期間に長期離脱から復帰を果たせたのも大きかった。中断明けから、浦和は伊賀くノ一を2-0で下し、続く湯郷ベルと直接対決を1-0で征すると、レギュラーシリーズ優勝争いをしている日テレにくらいつき0-0の引き分けに持ち込むことが出来た。

そして、9月22日の大阪高槻戦では、不運な形で失点したがすぐに清家貴子選手のゴールで同点に追い付いた、主導権を握りながらも追加点が奪えずに1-1の引き分けで終えた。

だが、この勝ち点1が大きく浦和のレギュラーシリーズ6位以内を確定付けるものとなったのだ。レギュラーシリーズも残り1試合、13勝2分け2敗と首位に立つINAC戦のみとなった。

INACは、レギュラーシリーズ優勝が掛かっている。2位に付けている日テレとは、勝ち点が僅か1点差である。浦和に勝って、レギュラーシリーズの優勝を決めて続くエキサイティングシリーズで勝ち点6を手に入れて優位な状況で望みたいだろう。

だが、そうは問屋が卸さない!長船選手は「最終戦で、上位か下位リーグで闘うことが決まらなくなった。思いっ切りチャレンジ出来る。いろんなことをINAC相手に試して行けるチャンスだ。相手が嫌がるところを見て行ける。それが、エキサイティングシリーズに繋がる」とニヤリと笑いながらも楽しそうであった。

清家選手は「上位リーグの勢いに乗るために、INAC戦は、大事な試合。勝って、勢いに乗りたい。前線からプレスを掛けて、奪ったあとの切り替えをしっかり遣れば、勝てない相手ではない!」と意気込み、岸川奈津希選手は「INACは、強い相手だが、日テレ戦みたいに遣れば勝てるチャンスがある。ボールを奪ったあとの精度を高めて行きたい」と話した。

エキサイティングシリーズは、レギュラーシリーズ優勝チームは勝ち点6が与えられてスタートする。2位は勝ち点5、3位は勝ち点4となり6位は勝ち点1となる。ギリギリ上位リーグに滑り込んだ浦和は、勝ち点差をひっくり返すために勝ち続けなければいかない。

吉田監督は「最終戦のINACを相手に、どれだけ出来るかが今後の試金石になる」と厳しい口調で話した。

レギュラーシリーズ最終戦となるINAC戦は、浦和にとって失うものは何もない。ならば、美しきチャレンジャーとなって、勇気を持ってINACに襲い掛かれ!試金石を踏み台として、エキサイティングシリーズに向けての反撃の狼煙を上げろ!美しきチャレンジャーは、浦和の女の意地である。

●追記
レギュラーシリーズ最終節INAC戦は、9月27日ノエビアスタジアム神戸にて午後1時キックオフで開催される。BSフジで生中継とインターネットのニコニコ生放送で見ることが出来ます。また、エキサイティングシリーズは、10月10日から開催され11月8日まで6チームが総当たり5試合の成績で、優勝チームが決まる短期決戦となっています。レギュラーシリーズ終了後に対戦カードが、近日中に発表される予定となっています。

Q.スパイク障害について教えて下さい。

A.子供が踵が痛くなる踵骨骨端症があります。踵の先の成長軟骨が炎症を起こして痛くなってしまいます。昔のスパイクは、丸いポイントでしたが、最近はUの字型のポイントのスパイクがあります。踵にUの字型のポイントが当たって痛みが強くなってしまいます。また、足に合わないスパイクにより疲労骨折を起こす要因にもなります。子供は、見た目の格好良さでスパイクを選んでしまいがちですが、ちゃんと自分の足形にあったスパイクを選ぶことが大事です。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
http://www.kawakubo-clinic.jp/

パートナーサイト

ページ先頭へ