浦和フットボール通信

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<ハイライト動画付き>【河合貴子の試合レビュー】Jリーグ2ndステージ第12節vs鹿島アントラーズ<西川、梅崎、高木、宇賀神、興梠、青木、武藤、ペトロヴィッチ監督コメントあり>(2015/9/27)

今日のポイント!!「鹿島の27本のシュートを防いだ西川周作選手」

鹿島に試合の立ち上がりに先制点を許したとは言え、西川周作選手の気迫が溢れるプレーが鹿島に追加点を与えなかった。浦和が放ったシュートは、前半は3本、後半は7本であった。それに対し鹿島は、前半は12本、後半は15本であった。

枠外シュートもあったが、実に27本ものシュートを鹿島に撃たれた。それを1失点で凌げたのは、西川選手のファインセーブがあったからだ。前半20分のダヴィ選手のシュート、前半終了間際の金崎選手のシュートの大ピンチを西川選手が止めた。

「ダヴィ選手のシュートは、間合いを詰めて、股だけは抜かれないように足を閉じた。夢生のシュートは、ニアよりに立ってシュートコースを消させてファーに撃たせて、整理が出来ていた」と西川選手は冷静に対処していた。

「えっ!27本もシュート撃たれたんですか?!そんなに撃たれた気がしない。相手のシュートミスをみんなが誘ってくれたと思う」と驚いた。そして「無に(無心)なっていた部分もあり、頭を整理出来た中で止めたシュートもあった。みんなが、ハードワークしてくれているのを後ろから見て感じていたので、応えたいと必死だった。でも、凄い雰囲気の中でやれて楽しめた」と笑顔を見せた。

そして、西川選手は「鹿島は、上位にいるチーム。チーム力が、本当に強い。勝ったことに自信が付く。ここから5試合、昨年の経験を生かして失速せずに上がっていきたい」と話した。

浦和の守護神、西川選手が鹿島の前に大きく立ちはだかった。ピンチもあったが、ゴールを死守した西川選手の笑顔は最高であった。西川選手は、勝利と共に大きな自信も手に入れたようだ。2nd優勝を虎視眈々と狙いつつ、年間首位の座をガッチリとキープしていく。

激闘を征し、鹿島の夜空に浦和の歓喜の歌声が響いた

昨日から降り続いた雨はやがて止み、灰色の厚い雲が上空を覆っていた。どんよりとした曇り空は、浦和と鹿島の一戦を讃えるように試合開始前に爽やかな秋空へと変わっていった。リーグ戦の通算成績は、浦和の14勝9分け26敗と浦和が、鹿島に大きく負け越しているが、2010年3月6日のリーグ開幕戦アウェイの鹿島で興梠慎三選手とマルキーニョス選手の2ゴールにより0-2と敗戦をして以来、浦和は鹿島に5勝5分けと負けていない。

2ndステージは、本来鋭さを取り戻した鹿島は2位。浦和は、2ndステージを苦しみながらも、柏と清水を破り4位に浮上をして来た。2ndステージ優勝と年間首位を狙う浦和にとっては、申し分のない相手である。キックオフ前に鹿島のゴール裏は大旗が次々と入れ代わると浦和のゴール裏はチームカラーの赤白黒のビジュアルが出現し、大一番となるこの試合を象徴していた。

熱い魂がぶつかり合う好カードに、浦和は残念ながら、清水戦のイエローカードにより那須大亮選手を累積で出場停止となってしまった。しかし、浦和は前節の清水戦で槙野智章選手の出場停止により、宇賀神友弥選手を左サイドバックのポジションに、阿部勇樹選手と那須選手をセンターバックで起用にして、可変的な4DFのシステムを採用し4-1と結果を出した自信があった。

鹿島戦では、槙野選手と阿部選手のセンターバックとし、左サイドバックに宇賀神選手、右のサイドバックに森脇良太選手を起用して可変的なシステムで挑んだ。

鹿島のキックオフで始まった試合は、開始3分にゲームが動いた。左サイドでカイオ選手が金崎夢生選手へと送り、金崎選手がドリブルで持ち上がると、そのまま左のバイタルエリアに流れたカイオ選手へ、カイオ選手のクロスをゴール中央で左足で合わせたのは、遠藤康選手であった。試合の立ち上がりに鹿島の先制点を許してしまうこととなった。

西川周作選手は「鹿島のスローインから上手くやられてしまった。遠藤選手の左足は、注意していたのに・・・」と悔しがり「でも、早い失点でもリスタートの前に、みんなで落ち着いてやろうと確認した。高木選手のゴールが早かったから助かった」と安堵の表情を浮かべた。

1点を追いかける浦和は、その3分後の6分に柏木陽介選手から左の梅崎司選手へとパスが通り、梅崎選手が一瞬溜めを作りながら武藤選手へとパスを送ると同時に、後方から猛ダッシュで宇賀神選手が絶妙なタイミングでオーバーラップを仕掛けてきた。武藤選手は、冷静に宇賀神選手の動きを見てエリア内に進入した宇賀神選手へ、宇賀神選手はそのままゴール前に走り込んだ高木選手へマイナスのクロスを入れると、高木選手がフリーでシュートを放ち1-1と試合を振り出しに戻した。

梅崎選手は「あのシーンは、凄く綺麗に連動した。上手く連動出来たのは、あのシーンだけだ。チーム全体で同じイメージだった」と振り返り、武藤選手は「しっかりとサイドを3人で崩して良いボールだった。すぐに決めてくれて、僕達の気持ちを取り戻せた」と笑顔を見せた。

アシストをした宇賀神選手は「本来、サイドを2対1の数的優位に持ち込みたくて、走りながら相手の出方を感じていた。そしたら、相手DFが2枚来た動きを見て、武藤が3人目の動きをしてくれて、トシにドンピシャのタイミングでパスが出せた」と満足気な表情を浮かべた。

同点打を叩き込んだ高木選手は「早い時間に失点して、その後の同点打が早かったので、試合の流れを持って行かれずに済んだ。チームで良い形で獲れたゴールだった。最終的に決めたのは、自分だが、チーム全体で獲れたゴールだと思う。あの位置から外すことは、流石に無いと思う。出してくれたウガ君に感謝したい」と話した。

移籍初ゴールを決めた柏戦から2試合目で自信の2ゴール目が決まり、高木選手は「次のゴールが早ければ、早いほど良いなぁ~って思っていた。実行出来た。獲れたのはラッキーなゴールだったが、もっともっと次のゴールを狙っていく」と自信を深めた。

試合が振り出しに戻ると、鹿島はボランチの柴崎岳選手と小笠原満男選手が上手くコントロールをし始めて、20分にはダヴィ選手が抜け出してシュート、22分には前プレスを掛けられて小笠原選手にゴールを脅かされてしまった。23分には、遠藤選手の左CKのこぼれ球から金崎選手がシュートを放ち、決まったかに思われたがノーゴールの判定。

浦和は、興梠慎三選手にボールが収まらずに厳しい展開となった。興梠選手は「前線で、自分がキープ出来ず、壁を作った守備で攻撃は上手く行かなかった。守備だけでも頑張ろうとおもった。たぶん、僕には激しく来ていた。そこを打開出来なかった。でも、鹿島は良いチームだ。今日は心の底から凄いなぁ~と思った」と鹿島のDFを褒めた。

梅崎選手は「ハードなゲームだった。相手のプレッシャーを掻い潜れず、相手の攻守の切り替えに着いて行けなかった。我慢して行こうと声を掛け合った。ビルドアップも拾えず、高さが無い状況でセカンドも拾えなかった。相手の切り替えが早く、置いて行かれた。相手は、攻撃力があるので、割り切ってしっかりした守備の意識だったが、思った以上に強い印象でかなりハードでタイトだった」と悔しさを滲ませた。

球際に激しい中で、お互いがヒートアップして一発触発になりかねない状況に浦和はパスを繋ぐことが出来ずに鹿島に主導権を握られてしまった。しかし、浦和はなかなか攻撃のリズムが作れない中でも、前半の終了間際に関根選手のクロスに飛び込んだ宇賀神選手がエリア内で倒されるもノーファール。

45分+2分には、金崎選手のシュートを西川選手が好セイブ。鹿島に主導権を握られながらも、前半を1-1で折り返した。

前半の反省を踏まえて、梅崎選手に代えてズラタン選手を投入しズラタン選手のワントップへ、前線でマークが厳しい興梠選手をシャドウで起用した。そして、高木選手に代えて青木拓矢選手を投入し、鹿島のボランチ2枚のポジションをケアさせて、本来のシステムへと戻して後半に挑んで行った。

ミシャ監督は「前半は、長いボールを蹴ることの繰り返しだった。後半は、後ろからの攻撃の組み立てを3枚にして、比較的上手くいくことで、試合を我々のサイドで落ち着かせることが出来た」と早めに手を打った。

すると、後半の立ち上がりから浦和の攻撃にリズムが生まれ始めた。49分、ズラタン選手から縦パスを受けた興梠選手がDFの裏に抜け出しシュートを放つもオフサイドの判定。

浦和ペースになりかけた途端に、ピッチ上で小笠原選手と昌子源選手、西大伍選手が話し合うシーンが見られた。すると鹿島は息を吹き返し、56分に左サイドのバイタルエリアでFKを獲得。柴崎選手のFKを上手く合わせた金崎選手のヘディングシュートはクロスバー直撃!

66分には、山本脩斗選手に上手く身体を入れられてクロスを上げられると、先制点を叩き出した遠藤選手が左足を合わせてゴールを狙って来た。徐々に鹿島ペースになってしまった。

青木拓矢選手は「前半は、鹿島ペースで前に推進力がなく、しんどい闘いだった。ボランチが陽介君の1枚で、相当きつかったと思う。ビルドアップをし辛い所もあった。DFが3枚になり、最初の10分はそれなりに出来たが、相手のペースになって繋げなくなり、GKが蹴って弾かれて、セカンドが拾えない繰り返しだった。この厳しい状況で勝ち点3は大きい」と試合後に安堵の表情を浮かべた。

苦しい展開の中で、72分に青木選手からパスを受けた宇賀神選手が左サイドをドリブルで仕掛けてクロスを上げると、相手DFに当りコースが変化しキャッチングにいった曽ヶ端選手が思わずファンブルしたこぼれ球が、興梠選手の目の前!

興梠選手は、このビックチャンスを見逃さずに、豪快にゴールへと叩き込んだ。興梠選手は、照れながら「DFが被ったこともあると思う。落とせ~って思ったら、ポンって目の前に来た。あとは、触るだけだった。曽ヶ端と仲良くしていて良かったぁ」と安堵の表情を浮かべたが「今日は、攻撃がダメだったから、守備で頑張ろうと思ったし、唯一のあれがチャンスだった。出来の悪い自分に最後まで声援を送ってくれたサポーターに感謝したい」と話した。

2-1と浦和がリードとすると、鹿島の猛攻が始まった。75分には、金崎選手のシュートを西川選手がファインセーブを見せるが、掴み切れずこぼれ球を追って飛び出したところをダヴィ選手に拾われて、角度の無いところからゴールを狙われるが、ダヴィ選手のシュートはゴールライン上を撫でるように横切った。

79分にも、遠藤選手の左CKをカイオ選手が強烈なシュートを放ち、西川選手がファインセーブを見せるがこぼれ球をダヴィ選手が詰めて放ったシュートはサイドネットに突き刺さった。そのボールを西川選手が鹿島のゴール裏へと蹴り出し、場内は騒然となるが西川選手も鹿島サポーターに謝罪してその場を収めた。

また、槙野選手が接触で鼻血によりユニホームを着替えるハプニングもあったが、とにかくチーム一丸となってゴールを死守した。

ミシャ監督は「内容に関しては、あまり良い出来ではなかった。最後の最後まで良く身体を張って闘った。内容的に不満の残るゲームだった。今日のゲームに関しては、鹿島が勝利に値するプレーが出来ていたと思うし、我々は運良く勝利出来た」と話した。

武藤選手は「鹿島の前線は、強力で身体が強くキープされてしまい、攻め込まれるシーンが多くピンチを作られていたが、チーム全員が闘っていた。際どいシュートを何本も撃たれた。鹿島が勝ったと思っている」と逆転勝利をしながらも悔しそうに話していた。

押し込まれながらも、鹿島を2-1で下して浦和が貴重な勝ち点3を手に入れた。鹿島の夜空に浦和の歓喜の歌声がいつまでも響き渡っていた。

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