浦和フットボール通信

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河合貴子×椛沢佑一 浦和レッズ2015ライブディスカッション 「浦和がタイトルを得るために必要なこととは?」

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レッズ密着取材を続ける河合貴子氏に、本誌・椛沢編集長が浦和レッズの現状や選手達の思いを訊く「レッズ2015ライブディスカッション」。2015シーズンの浦和レッズは、ファーストステージ無敗優勝を果たしたものの、年間勝ち点2位。チャンピオンシップでは準決勝でガンバ大阪に敗れて3位と、結果的には失速と言われて然るべき結果で終えてしまった。悲願のタイトルを目の前にして何が足りなかったのか、河合さんにお話を訊いた。(浦和フットボール通信編集部)

優勝できなかったのは、実力がなかったということ

椛沢:今季は、ミシャ体制4年目の中で補強もしっかりと行われて、チーム力は向上はしていると思うのですが、最終的な結果は、今季も優勝を逃す形になってしまいました。

河合:確かにチームは熟成をされてきた。ファーストステージは、その熟成度の違いを見せて、他チームを圧倒して無敗優勝を果たすことができた。ただ、最初から全部が良かったわけではなくて、リーグの開幕前は、ACLとゼロックスの試合でつまづいた。

椛沢:ACL水原戦(1-2●)、ゼロックス・ガンバ戦(0-2●)、ACLブリスベン(0-1●)と、公式戦3連敗の中でリーグ戦が開幕しました。

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河合:あの3連敗によってチームが引き締まり、阿部選手が自分が引っ張っていくんだという気持ちが出て、すごく良いゲームができた。序盤は、興梠選手が怪我により欠けた状態でも、良い形が出てきたし、新加入の石原選手も大きな怪我をしたけれども、補強が出来ていて補うことができていた。特に、武藤選手は、すぐにチームに馴染んでいくことができたと思う。他チームが完成していない中で、いち早く完成度の姿を見せたのがレッズのファーストステージだったと思う。しかしレッズの問題は秋なんだよね……。

椛沢:終盤戦も成績だけを見れば、そこまで負けているわけではありません。セカンドステージ第14節のガンバ戦(1-2●)で、負けているくらいでした。しかし印象としては今年も失速をしたと言われてしまいます。

河合:シーズンを振り返っても、成績だけを見れば勝ち点72は素晴らしい数字だったと思うけれども、結果として広島の上を行くことができなかった。失速と言われてしまう部分は、そこにあるんじゃないかな。選手層とか選手のスキルは浦和の方が上。何が足りないのかという部分では、広島は守ってカウンターがしっかりとできたり、遅攻と速攻をうまく使い分けているのと、運動量が落ちない部分がある。それに比べると浦和は運動量が落ちてしまう。それによってパス、シュート、クロスの精度が落ちてしまう。だから決定機が生かせないことがあった。

椛沢:今季はACLがあったので、早めに実戦練習を行う必要があったために、フィジカル部分の準備が足りなかったのではないかという見方もあります。

河合:優勝した広島の話を聞くと、とにかく浦和に主力を持っていかれているということで、打倒浦和という気持ちをもって、自分たちはもっともっと練習をしないといけないと、激しい練習をずっと続けてきたらしい。だからこそ苦しい時に頑張れる。足が攣らない。それに比べると浦和は、後半はどっと疲れが出てきている。夏場の疲れが最後の方に出てきてしまったのかなと思う。

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椛沢:最後は、紅白戦が組めなくなるくらいに、コンディションが悪かったと聞きます。

河合:悪かったね。興梠選手も2年連続で最後の最後で出場できなかったことが不甲斐ないと話をしているし、武藤選手もCSのガンバ戦で、最後に自分が決めていればと嘆いた。運がないと監督自身も言っていたけれども、運は実力の内だから。それは興梠選手も話をしていた。リスクマネジメントや管理、コンディション作りにおいてもそうだし、戦術的なことや、選手交代の部分も含めて実力なのではないかと。興梠選手がはっきり言ったのは優勝できなかったのは、実力がなかったんだと言うこと。CSのガンバや広島の戦い方を見て、浦和が年間2位だったということを実感させられた。それは選手もサポーターも地元メディアもそうだったんじゃないかな。

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求められるミシャのマネジメント力

椛沢:何が足りないんでしょうか。この3年くらい、同じ結論になってしまっています。

河合:ミシャ監督の勇気ある采配が欲しい。結果論かもしれないけれども、ここ一番になると監督の信頼を勝ち得ない選手が選択肢の中に入ってこれない。ミシャ監督にはベンチにいる選手をもっと信頼をしてほしい。監督批判になってしまうのかもしれないけれども、このタイミングだったらこの選手だという判断が足りないんじゃないかと思う。

椛沢:選手交代において、状況や適性以上に判断する材料は、監督の信頼する度合いが強いように見受けられますね。

河合:それを越えるくらいのパフォーマンスを練習から選手が見せていかないといけないのだと思う。例えば、足を攣った那須選手よりも違う選択ということがない。今の段階では、彼を代えるとしたら誰を代えるという選択肢が見えない。

椛沢:去年も興梠選手が怪我をしていても、無理に使ってしまったという反省があります。練習を取材していて、その序列は仕方ないものなんでしょうか。特に今年補強された、橋本選手や加賀選手は全く使われませんでした。

河合:加賀に関しては時間が掛かったけれども、ようやく理解が出来てきたと言っていた。試合から離れてしまったということがあるのかもしれないけれども、これから機能し始めるんじゃないかという期待はある。

椛沢:これだけミシャ監督が使いやすい選手を連れてきて勝てないとなると苦しい所があります。

河合:その意味では、武藤選手、高木選手などは、ちゃんと答えを出してくれていると思う。

椛沢:高木選手はまだ主力とは言えないので、武藤選手が唯一の選手ではないでしょうか。あとは関根ですかね。

河合:宇賀神選手もチャンスを掴んだ。ミシャ監督が来た当時に比べたら全然違う。槙野、宇賀、武藤はコンビネーションが抜群だからね。槙野選手が上がった時にフォローの動きを、宇賀はよくやっていると思う。

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椛沢:槙野選手を生かすサッカーを買われているんでしょうね。その意味で橋本は攻撃的すぎるのかもしれません。

河合:槙野選手も今までに比べると試合の流れを見極めて、無闇には上がらなくなった。監督が上がれと言っても、それは違うだろとドイツ語で選手はこのように考えていると言い合うこともあったくらいだった。

椛沢:ファーストステージはその狙いが強くて、我慢が目立つ試合をしましたが、セカンドになって、さあ、ここから俺たちのサッカーをやろうという感じで、派手なサッカーになっていったように思いました。

河合:セカンドに入って、攻守の切り替えも遅かった。FC東京戦の打ち合いにも表れていたかもしれないね。なんで相手に合わせてしまうんだろうと思う。強かさがあまりないのかもしれない。ファーストステージでは夢を見たよね。

椛沢:今季の初黒星は、セカンドステージのホーム広島戦でした。

河合:あの時もしっかり守られたら、何度も何度も動きなおして、スペースを作る動き、埋める動きをする必要があった。選手たちはローテーションの動きというのだけれども、それがうまくはまるとレッズらしいリズミカルパスワークから崩して、相手のディフェンスを面白いように崩せるのだけれども、焦ってしまうと逆手に取られてします。その意味で後半に目立ったのは、今ここで入れたら思う壺だというところや、相手がプレスをかけてきたところで慌ててバックパスをして、そこを狙われたりした。それはCSのガンバ戦がそうだったよね。

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椛沢:あのミスはシーズン中はなかったのに、突然出てしまいました。

河合:あのようなミスはそれまでにはなかったよね。メンタル的に弱いのかなと思わざるを得なくなってしまう。でも1ステージ制だったら、プレッシャーが掛かって大変だということがあったけれども、今年は2ステージ制になったわけだし、年間1位を取りたいという思いは選手たちは持っていたけれども、セカンドステージも激しいプレッシャーの中でやっていたわけではなかった。プレッシャーという部分では今季はそこまで受ける環境ではなかったと思う。毎年毎年、広島から主力を抜いて、広島に上に行かれしまって、クラブワールドカップにも行かれてしまうと、こんな情けないことはない。浦和がバルサとやりたいんだから。

椛沢:ACLについては今年もそうですし、2012年に出た時も現状の戦力では太刀打ちできないと感じたことですが、それでも改善が見えないのは、クラブはACLに視点はなくて、リーグ制覇だけに視点があるのかなと思ってしまいますね。

河合:セカンドステージで鳥栖戦に引き分けたあたりに、槙野選手が怒っていたのは、監督がまた浦和の失速が始まったとメディアに書かれると言っていたけれども、それは違うだろと言っていた。ミシャ監督も学んでいるとは思うけれども、このままじゃ終われないという思いもあると思う。自分が抜けた広島に優勝をされて、選手を引き抜いて3回も優勝されたら、監督にも忸怩たる思いはあるはず。ただ、浦和のプライドの方がもっと重いけどね!

椛沢:浦和のプライドはズタズタにされていますよ……。

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河合:ここ一番だよね。ファーストステージは無敗優勝できたのは本当にすごいことだったのに、その貯金を使い果たしてしまった。普通のリーグ戦だったら勝ち点72はすごい数字。広島とも僅差だった。勝負強さを持つには、気持ちの強さと、冷静な判断力とゲームの流れを読む力、気持ちの部分、動ける身体、周りとのコンビネーション。同じ絵をみんなで描き切れることが問われる。

椛沢:その意味で、広島は戦い方に型が見えましたよね。

河合:怪我人が出てボロボロな状況でも同じ絵が描けている。

椛沢:森保監督の切るカードは、尽くはまりますからね。

河合:ベンチにいる選手たちも監督の要求と一体化しているような気がしている。レッズだと、どうせ出番がないかもしれないという思いが見え隠れする。李忠成選手のように見返してやるという思いをもっている選手はいるのだけれども、空回りになってしまう。

椛沢:森保監督は2チームを作るマネジメントをしてきたと聞きます。チームの統一感はそこにあるのかなと思います。ミシャ監督はどちらかというと1チームを中心にしてチームを作る監督なので、それはマネジメント方法なので良し悪しはあるのですけど、選手が欠けた時に、他の選手が同じ絵を描ききれないのかなと思います。

河合:練習の中で前線の3人をそのまま入れ替えたり、ワイドの選手を入れ替えたりして、少しずつそのようなことにも着手はしている様子は窺える。ズラタン選手や興梠選手が広島のワントップだったら嫌。けど、レッズのワントップが佐藤寿人選手だったとしても別に?と思えるくらい。もちろん佐藤選手がすごい選手ではないと言っているわけではないけれども、それだけ浦和の選手は能力が高いと思う。その選手を抱える中で、少しずつだけれども、ミシャ監督もチーム作りの部分でチャレンジをしている。武藤選手も最初はスタメンではなかったからね。監督の信頼を勝ち取って上がっていかないと、栄光は手に入らないのかもしれない……。

椛沢:ずいぶん時間が掛かっています。5年も待っているクラブも珍しいですよ。

河合:レッズはずいぶん我慢強くなったと思う。でも来年はもうないと思う。

椛沢:それは去年も同じことを言っていましたよ。

河合:でも”勝ち点72の監督”は切れないでしょう。チームが成長をしているのは認める。ただ、選手の年齢が段々上がっていくことを考えると、阿部選手も平川選手も那須選手もどこまで持つかわからない。そこでうまく中堅や若手をうまく組み込んで行く必要があるし、それに今、着手しているように見える。特に中断期間の今にやっているように見える。永田選手がビブ組にいたり、阿部選手が3バックの真ん中に入ったり、橋本選手が3バックの左に入ったり、いろいろなことを試している。そう考えると今季は、シーズンの始まりが早かった分、しっかりとした準備期間がなく見切り発車で行ってしまった中で戦術を全体が理解をしていく必要がある中でも、結果も残さなければいけない中で、戦力が固定されてしまったのかもしれない。

椛沢:ミシャ監督のサッカーは基本的にメンバーを固定しないとできないんじゃないですかね。サッカーがシステマチックなだけに、それを完全に理解をしていることが求められる。ちょっとでもずれると、色々なものがずれるから、理解度のレベルが一定に達していないと出られない。

河合:ローテーションはそういうことだよね。それを分かっていないと動けないし、誰かが動けないとチーム全体のバランスが崩れてしまう。そういうこともあったと思う。それを組み込む時間がなかったのかもしれない。シーズンの初めに加賀選手は、ACLの試合でワイドで起用された。でも、それでうまくいかなくて、すぐに森脇選手をワイドにおいて、後ろに下げるという変更を余儀なくされた。それだけ難しさがあるんだと思う。

椛沢:ミシャサッカーを見てきて、その難しさは感じますね。

河合:その中でも、最近の練習で岡本選手がボランチに入っていたり、選手を試している部分はある。本来、やりたいけれどもシーズン中はできない。だから良く分かっている梅崎選手をワイドやシャドーに使ったりしているのだと思う。ミシャのサッカーでは一つのポジションにこだわらずに、臨機応変にやる。ボランチだってマイボールになったら阿部選手が下がるというのは分かり切ったこと。それをやることで前めの選手はどうやって動くのか、作るかということが必要になってくる。シーズンの後半になって相手に研究をされて、レッズにはこうやって守れば良い。そうすれば勝手にミスをしてくれる。それが明確に丸裸にされた部分もあった。相手の力関係によっては、対策をされても、勝てる試合もあった。しかし、ガンバ、広島のレベルのチームになると通じなかった。

椛沢:ノーマルな所でも色々と考えないといけないのに、相手が対応をしてきたら、ベースを生かして応用編をやらないといけない。だからレベルが積みあがらないと新しく入ってきた選手はベーシックができても、応用編ができないということがあるかもしれないですね。この4年で対策されても出来てきた部分があるのは、そういうことなのではないかと思います。

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河合:鈴木啓太選手もミシャ監督が来て、勉強になったし、成長できたと思うと言っていた。そう考えると武藤選手は優秀なんだろうね。最初の頃は本当に戸惑っていて、考えて走るのが難しかったと言っていたけれども、それをやり続けることによって身体に刷り込まれていった。さらに結果を出すことによって監督の信頼を得たということもあったんじゃないかと思う。

椛沢:石原選手がケガをしてしまった、アウェイの川崎戦まではほとんど使われていなかったのですが、そこでチャンスを掴みました。

河合:練習を見ていても、常に人の動きを盗んでいたからね。ミシャサッカーでは、サッカー頭が必要とされる。

椛沢:森保監督は同じようなサッカーをしていて、2チームもできるようなマネジメントができるのは、何か違うんですかね。

河合:広島は、練習量、走り込みが違うと聞いた。シーズン中から、ずっと2部練習をしてきたらしい。対して、浦和は戦術理解度が低いままシーズンに突入して、結局固定メンバーになって、ファーストは乗り切れたけれども、ちょっとした無理が積み重なっていって、さらに相手に研究をされて、思うようにいかなくなったのが、セカンドステージだったのかなと思う。

椛沢:それは毎年一緒ですよね。

河合:ねぇ・・・。ただ、これを続けていくことで、試合に出られる選手が増えて余裕が出てくると思いたい。そうであれば、山田直輝選手とかも手元において、我慢をしろと言って、出れるようにしてもらいたい。

椛沢:起用できる選手を増やしていくのは明らかな課題ですね。

河合:今季の補強は良く出来たと思うし、評価をしたい所だと思う。でも来年はないよ。

椛沢:繰り返しますが、それは今年も言ってましたよ(笑)。クラブがどう思っているかわからないですよね。優勝を本気で狙うつもりだったら、こんなに監督が続いているかと思う部分もある。それなりの成績であれば、及第点という判断もあるのかもしれないですね。

河合:成績は及第点だとは思う。今年もミシャ体制で一番勝ち点を取っているわけだからね。

椛沢:確実にチームは成長はしていると思うんですよね。

河合:もっと急激な改革をしなければ、広島を越えることはできないかもしれない。若手だって広島は育ってきているし、良い補強もしている。あとは外国人枠だよ。そこに頼りたくないという思いもあるけれども。

椛沢:結果を決めている部分では、広島にはドウグラスがいるし、ガンバにはパトリックがいます。これは免れない事実。メンタル的にも外国人選手の存在は大きいですよね。

河合:そこは強いよね。悔しいけど。ただ、外国人選手は安い買い物ではないからね。ミシャ監督の下で馴染むのは時間が掛かるし、日本に馴染むのにも時間が掛かるし、そう考えると厳しいよね。

椛沢:それでも勝負を決めることが出来る外国人選手の存在があると、勝ち点を積み上げられる試合も増える可能性はある。タイトルに手が届かないのは、その部分もあるとは思いますね。

河合:あと、気になるのは、ちょっとした隙を突かれるよね。

椛沢:それが勝負ですからね。ガンバとのCSでの試合でも内容ではレッズが上だったけれども、勝負所でやられてしまった。

河合:強かにやられた。武藤選手が今でも気にしている。最後に僕がゴールを決めていればと。あの試合後も、この世の終わりのような顔をしてロッカールームに帰ってきたからね。この前、体調不良で2日間休んだ時に、燃え尽き症候群になったんじゃないかとすごく心配したけれども、「自分はそんなに軟じゃありませんよ」と笑っていたので安心をしたけれども(笑)

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スタジアムが埋まるほどの魅力作りをいかにしていくのか

椛沢:本当に今年も僅差の所でタイトルを逃しているんですよね。

河合:ただ、今季を振り返って、今季もまたかと思う人は多いよね……。

椛沢:最後の見え方が一緒になってますからね。いくらチームが上昇曲線を描いてきたと言っても、最終的に結果が一緒じゃんと言われたら何も言えないですね。

河合:日本の昔からの謂れで「終わりよければすべて良し」というじゃない。

椛沢:終わりダメだとみんなダメみたいになってしまいますからね。

河合:そうなんだよね。だからこそ、天皇杯は獲るよ!山的には獲れる山なんだし。

椛沢:その見方もどうかと思いますけど(苦笑)。天皇杯に負けてしまい、広島、ガンバ以外のチームが優勝した場合、来季はACLプレーオフから始まることになっており、2月9日という早い時期にシーズンインをしないといけないことになります。これになると大変ですよ。

河合:スケジュール的な問題を感じる。Jリーグ自体も2ステージ制にするのであれば、一番最初の頃のように、J1の10チームがホーム&アウェイで闘い、ファーストステージ、セカンドステージでやって、CSはファーストの優勝とセカンドの優勝で決めるべきだと思う。そして、しっかりとしたピラミッド型を作って、J1が10チームだったら、J2が18チーム、J3、J4と作る。

椛沢:クライマックスを5試合にやりたいというのがあって、あのシステムみたいですね。試合が増えないと中継枠が増えないという事情もあるようです。結果的に3試合しか出来なかったんですけど、ステージ優勝チーム同士だけだと、ビジネス的に物足りないということがあるのだと思います。

河合:結果、お金主義に走っているように見える。

椛沢:それはある意味、そうなんじゃないですか。お金がないとリーグが存続できない。じり貧状況だと。お金がないとどうにもならないというのはありますからね。今はそういう時期なのかもしれないです。レギュレーションが完璧ではないことはリーグ側ももちろん理解していることだと思いますから、根本的にJリーグがどうやったら盛り上がるのか、という所までをしっかりと考えないと解決ができない問題なのかもしれません。

河合:まず各クラブが努力をするのが大前提だよね。応援してもらえるような魅力あるクラブ作りをしていく。今は何か違うんだよね。

椛沢:20年経ってもちゃんとできているクラブは少ないかもしれませんね。

河合:20年前の方が地域密着をしていた気がする。Jリーグバブルにのって努力をしないクラブもあったかもしれないけれども、レッズは地元にということですごく努力をしてきたんだけどね……。悔しいよね。

椛沢:Jリーグ元年の時は選手も冬の時代を知っている選手でしたから、これが途絶えたら大変なことになると責任感があったと聞きます。今の選手は当たり前に生まれながらにJリーグがあるから、選手一人をとっても環境が違うかもしれない。

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河合:高木選手にしても武藤選手にしても、埼スタにはこんな人が入るんだ、この雰囲気は最高だね、と言ってくれるけれども、私からするとレッズサポーターはこんなもんじゃない。6万人入った時はもっとすごいんだからと思う。あの雰囲気を知っている人からすると、現状は、すごく寂しい気分になる。ビジュアルをスタジアム全体で出来ない寂しさ。あれがもう一度できるように、レッズが魅力的に輝くためにタイトルは絶対に欲しい。監督さん頼みます。

椛沢:魅力的になるために必要なことは、タイトルだけなのかなと思いますけどね。今年も優勝争いをした時に、浦和の街にいて盛り上がりを感じることは正直ありませんでした。

河合:それは昨シーズンもそうだったら、ガンバとの大一番に向けても、盛り上がりはイマイチだった。以前は街の色々な所が真っ赤だったのに……この何年間はずっとだね。

椛沢:年々そうなってしまっているかもしれないですね。

河合:だから、この結果なのかもしれない。監督、選手だけの問題ではなくて、全てにおける総合力が問われているのかもしれない。レッズは、魅力あるコンテンツじゃないと言われたらそうなのかな?応援したいと人に思わせるコンテンツじゃないのかな。レッズの選手はみんな応援をしてあげたいと思える選手ばかりだと思うのだけれども……。

椛沢:選手だけの問題ではないでしょうね。

河合:浦和の古くからのサポーターでも、こんなのはレッズではない。みんな借り物じゃないか、俺たちのレッズじゃないと。今のスタメン組で、純粋な浦和がいるんだという話になる。確かに理想ではあるけれども、私は一回浦でも和のユニフォームに袖を通した選手は浦和だと思って応援をしてほしい。

椛沢:それを否定するサポーターはいないと思うんですけれども、違う部分でそう思わせているんじゃないですかね。2006年のメンバーは、助っ人選手が数多くいるチームの中で、伸二がいて、長谷部がいて、啓太と、浦和の生え抜き選手が軸にしっかりといた。浦和出身では堀之内もいて、助っ人がいるというバランスだった。今の作り方は、全て借り物で、軸になる選手にも生え抜きの選手がいない。

河合:今のチームに長谷部とか細貝とか山田直輝が戻ってきたら違うんだろうね。

椛沢:雰囲気は相当違うでしょうね。その辺のイメージ作りが、ミシャに任せてしまっているんでしょうと言わせてしまっている所が、俺たちのチームじゃないと思わせてしまっているんじゃないですかね。

河合:確かに、2006年は何を言われても突っぱねれたけども、今は言い返せない自分たちがいる。それが結果に出ているのかもしれないね。

椛沢:やるならもっと突き抜けないといけないんでしょうね。2006年は突き抜けていて、浦和が一番人気があってお金があるんだから問題ある?という感じで、伸二がいて、ワシントンがいて、ロビーがいて、大型戦力を実現した。ただ、今思い返せばリーグタイトル、アジア制覇をした後に、結果だけじゃないかという所につき返せなかったのかもしれないですね。あの後にサッカーの内容を求めていったのがどうだったのかと考えると、結果が出ていれば良いじゃないかと開き直れば良かったのかもしれない。

河合:アジアチャンピオンにもなったチームが、今ではアジアでも戦えない。でもミシャさんがやっているローテーションでみんなが考えて走りながら、同じ絵を描いていくことが本当に突き詰めて究極的に出来るようになって、誰が出ても同じような考えをもってやれるようになったら、こんな強いチームはない。誰かが欠けた時に、ノッキングが起こしてしまう状況ではいけない。それにミシャ監督も気付いて、やっているとは思うのだけれども……。

椛沢:厳しい言い方にはなりますが、年が経てば経つほど、サポーターの信頼度は落ちてしまっているように思います。

河合:広島が勝ち点74で優勝したなら、浦和は75を取らないといけないということなんだろうね。

(後編に続く)

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