浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「夢の大舞台~伊藤涼太郎選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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野心と向上心を抱く伊藤選手が、夢の大舞台に立つ日は近い

プロの選手である以上、ベテラン選手だろうが新加入選手だろうが、新人の選手でも、誰もがJリーグ開幕を飾るスターティングイレブンを目指してしのぎを削る。スターティングイレブンに選出されないのなら、せめてベンチ入りを願う。

27名の選手を抱える浦和で、試合に関われるのはベンチを含めて18名で、4人のGKの存在を考えると、7人のフィールドプレーヤーが陰で悔し涙を流すこととなる。何とも厳しい下克上の世界である。

今シーズンのリーグ開幕戦となった2月27日、背番号26伊藤涼太郎選手の名前が、メンバー紹介で堂々と日立柏サッカー場に響き渡った。

柏戦の前日に伊藤選手は「ずっと目標にしていた舞台。メンバーに入る、入らない関係なくしっかりと準備はしてきた。埼スタでACLをスタンドで観て、悔しい気持ちがあった。自分が入ったら、こういうプレーをしてやるって思った。ゴール裏の熱い声援、あの中でピッチに立ってプレーしたい。しっかりとドリブル、パス、自分もゴール決める。アシストも魅せられたら良い」と臆することなく自信に満ちあふれ話していた。

伊藤選手は、高卒ルーキーながら戦える自信があったのだ。昨シーズン、夏休みを利用して練習生として浦和の練習に参加し、冬休みも参加し、練習試合やスタジアム観戦もして環境に慣れ親しんできた。

昨年、12月19日に行われたFC東京との練習試合でも「自分の持ち味も出せたし、まだまだなところもあった。A代表やオリンピック代表クラスがいるFC東京と公式戦では無かったけど出来た」と手応えを感じていた。

また、普段の練習から「プロは、球際が激しく、寄せも早い。ミニゲームで阿部選手とバチバチとやっていて、僕は攻守の切り替えが苦手なんでストロングポイントに変えていく。普段から盗んで、真似をする。僕のプレーは、他と違うんです。守備のところで戦う姿勢がA代表を経験している選手は意識が違う。ピッチに入ると目の色が変わる」と高い意識を持って練習に取り組んでいたのだ。

伊藤選手がメンバー入りしたのは、決して新人研修ではない。実力でメンバー入りを果たしたのだ。サブのメンバーとしてベンチ入りした伊藤選手であったが、途中出場をしていたら高卒ルーキーとしてJ開幕戦でピッチに立ったのは、あの小野伸二選手以来のことであった。しかし、残念ながら拮抗した試合展開で伊藤選手の出場機会は回って来なかったのだ。ピッチに立てなかった悔しさを噛みしめながら「大舞台に立つ!」と伊藤選手は、夢と希望に目を輝かせていた。

伊藤選手のプレーを観ていると、線の細い体型から考えられないような並外れたボディーバランスを持ち、スピードのあるドリブルや絶妙なタイミングで繰り出すパス、味方の動き見ての判断力に優れていると感じた。

伊藤選手をスカウトした山田暢久氏のルーキー時代を思わず思い出してしまった。だが、山田氏のルーキー時代と決定的な違いがあった。それは、メンタル面である。伊藤選手には、野心と向上心と言うものがあった。伊藤選手の野心と向上心は、高校に進学する時に味わった大きな挫折から生まれたものであった。

「セレッソのJrユースに上がって、ユースに上がれなかった」悔しさを噛みしめて伊藤選手は話した。この先の進路を決める中学3年生の夏に突き付けられた現実であった。「このままでは終われない。終わりたくない」悔しさをバネにしてきたのだ。

野心と向上心を抱いた伊藤選手は「浦和に行ったら試合に出られないとか選手層が厚いから大変だって周りからいろいろと言われたけど、僕にとってはそういう環境が大事だ。A代表の選手や代表経験者が沢山いる。いっぱい学びたい。浦和でレギュラー掴めれば、A代表の道も見えてくる」と浦和加入の道を選んだ。

そして伊藤選手は「僕が目指すのは、オリンピック出場、A代表だ。そして、世界に出てプレーすることだ!」と力強く断言した。

伊藤選手が選んだ道は、そう簡単に進めるものではない。伊藤選手自身も分かっている。浦和にとってユース出身でない高卒ルーキーは、実に5年ぶりとなった。プロの一員になることも大変なことである。

「世界に出てプレーすることだ!」恐いもの知らずのルーキーが発言したものでは決して無いことは、練習に取り組む姿勢を観ていれば分かる。

伊藤選手は「僕は、新人ではなく、普通のJリーガーだ。ピッチに立つにためにやるべきことをやっていく!食らいつき、追いついて、ポジションを奪う!!」と息巻いた。

この先、挫折を味わうこともあるだろう。だが、そう簡単には挫けない。挫折を味わい、悔しさをバネに伊藤選手は成長していくだろう。世界に向かって、まずは浦和で試合に出る。野心と向上心を抱く伊藤選手が、夢の大舞台に立つ日は近い。

Q. 疲労を溜めないためのストレッチを教えてください。

A. ストレッチには、静的と動的があります。例えば、運動前に行うストレッチは筋肉を起こしてあげて怪我の予防になります。しかし、運動前に静的なストレッチを行うと筋肉がダランとしてパフォーマンスが上がらなくなります。運動直前のストレッチは動的ストレッチ、運動直後のストレッチは筋肉をほぐして緩める静的なストレッチで疲労を溜めないようにしましょう。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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