浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「男の価値はピッチで決まる~遠藤航選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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遠藤選手はピッチで浦和の男としての価値を示してくれるはずだ

世界有数の経済誌の一つ「Forbes」は、世界一資産価値の高いサッカークラブは、レアル・マドリードで日本円に換算して約3700億円であると2015年に位置付けた。クラブ経営状況を考慮し、広告収入や入場者収入、放送権料などの収益に基づき選出していく。

2位がFCバルセロナ、3位がマンチェスター・ユナイテッド、4位がバイエルン・ミューヘン、5位がマンチェスター・シティーとベスト5にはサッカーファンのお馴染みの名前が連なる。

だが、今年になって株価の変動や中国経済の発展に伴い「国営新華社通信」は、広州恒大の資産価値が約3800億円となったと伝えた。浦和の資産価値とは比べ物にならない。

だが、本当の資産価値とはなんだろうか?!大富豪がクラブを支えて収益をもたらすものではなく、そのクラブを愛する人々が収益をもたらして初めて資産価値と言うものが生まれるのではないかと思えてならない。人々は、そのクラブの街だったり、選手を含めてそのクラブが持つ魅力や環境など全てを含めて愛情を注いでいる。金額には換算出来ないほど、尊いものである。

広州恒大は、コロンビア代表のジャクソン・マルティネス選手を移籍金約55億円でアトレチコ・マドリードから獲得とした。ACL広州恒大戦でのマルティネス選手は、随所で浦和のゴールを脅かし、スキルの高さを見せつけたのは事実である。

しかし、移籍金55億円の資産価値に値するプレーをしたかと言えば、そうではなかった。移籍してまだ間もないためにマルティネス選手が生きるチームの連携が出来ていなかったのだ。いくらスキルが高い選手でも、他の選手と噛み合わなければ資産価値など生まれてこない。また、ピッチで最後の笛がなるまでチーム一丸となって闘う姿勢など人々の心を打つものがなければ、価値あるものにはならないのだ。

確かに、マルティネス選手は素晴らしい選手であるが、浦和に移籍して間もない遠藤航選手だって移籍金55億円に引けを取らないほど素晴らしい選手だ。U-23日本代表で、遠藤選手はボランチのポジションを任されている。浦和デビューとなった2月24日に開催されたACLシドニー戦では、75分に青木拓矢選手に代わりボランチで起用され、Jリーグ開幕となった柏戦では右のストッパーで起用、続く磐田戦では後半から3バックの真ん中を任された。
3つのポジションをこなせるポリバレントな選手である。おそらく、身体能力や攻撃力、守備力、判断力などのスキルを示すサッカーグラフがあれば、マルティネス選手の方が凄い。

だが、チームの浸透度で言えば遠藤選手の方が優れている。浦和のボランチとセンターバックを任されてきた那須大亮選手も永田充選手、阿部勇樹選手の年齢を考えると、いつまでもベテラン勢に頼ってばかりではいられない現状がある。それを見越しての補強であった。

しかしながら、期待の新外国人イリッチ選手はコンディション不良のために公式戦デビューは出来ないままである。ミシャ監督は、苦肉の策で槙野智章選手をセンターバック、左のストッパーに森脇良太選手を起用した。槙野選手のセンターバックは悪くはないが、チームのバランスや連携を考慮すると槙野選手が左で森脇選手が右の方が安定する。

そこでミシャ監督は、高さはないが判断力や守備力がある遠藤選手をセンターバックにしたのだ。遠藤選手にとって不慣れなポジションではあったが、その役割をきっちりと熟した。

遠藤選手は「ボランチだったら、相手を背負って受ける。センターバックをやるとボランチの気持ちが良く分かる。だから、センターバックで「ターン」「来てる」と声が出せるし、その周りに対しての声掛けの工夫が出来る。今は、センターバックの方がやりやすい。このサッカーで(浦和のサッカー)ボランチがどうやるか理解できる。守備では、攻めているときに後ろのリスクマネジメントを考える。攻撃では、フリーになるから持ち運んで縦パスやサイドチェンジを考える」と話していた。

ボランチ1枚がDFラインに降りてくるなど可変的な浦和のシステムは、非常に難しく慣れるのには時間が掛かるものである。湘南も3DFでだが、浦和とは違う。なのに、移籍して間もないのに何年も浦和でプレーをしていたかのようにチームに溶け込んでいった。

また、違うポジションをやることにより、ポジション別の動きや連携の理解を深めていった。
遠藤選手は、サッカーの知能指数が非常に高い。だが、それだけでチームに馴染んだわけではない。今シーズン、浦和に移籍して来た選手のなかで「浦和を優勝させる!」と断言したのは、遠藤選手だけであった。その思いは、資産価値として計り知れないほど尊い。その思いが強いからこそ、チームの浸透度が高く、ピッチで輝くことが出来るのだ。

次節は、遠藤選手の古巣である湘南戦である。初めての古巣との対戦に下手なプレーは見せられないプレシャーがあるだろう。だが、遠藤選手はピッチで浦和の男としての価値を示してくれるはずだ。男の価値は、ピッチで決まる!!

Q. オフシーズンに西川周作選手が、膝の遊離体の除去手術を行いました。遊離体について教えて下さい。

A. 軟骨が剥がれて落ちた遊離体は、関節の中で動き俗にネズミとも言われています。空間に居れば邪魔になりませんが、たまたま関節に挟まってしまい膝がロッキングを起こして動かなくなったり、半月板の下に潜り込んでしまうと痛みが出ます。恐らく西川選手は、膝の怪我により軟骨が損傷し、それが膝の関節の中に落ちていたのを除去したのでしょう。軟骨が剥がれ落ちて遊離体となった除去手術は、内視鏡で取るだけですから簡単な手術です。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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