【河合貴子の大原なう】甲府の厚い守備の壁を撃破せよ!!(2016/4/1)
甲府の厚い守備の壁を撃破せよ!!
春の陽気に誘われて、大原の練習場の桜も一気に開花した3月31日。甲府戦の前日練習が、午後3時から始まった。代表ウィークも終わり、U-19から伊藤遼太郎選手も戻り全員が久しぶりに揃った。また、春休みを利用してユースからGK山田晃士選手が練習生として参加していた。山田選手は、食い入るように西川周作選手や大谷幸輝選手の動きを見つめていた。
ランニング、ストレッチを行った後に、3グループに分かれて通称鳥かごのボール回しがリラックスした雰囲気で始まった。しばらくすると突然、梅崎司選手がうめき声を上げて倒れ込み悶絶するシーンがあった。しかし、一緒にボール回しをしていた選手は心配しながらも笑顔を見せていた。どうやら、男の急所にボールが当たったようだ。基本のアップが終わると伊藤選手は、ミシャ監督に呼び止められて話しをした後に、別メニューでコンディション調整をしている阿部勇樹選手と森脇良太選手と一緒にランニングを行った。
恒例のハーフコートのミニゲームでは、ビブなし組はやはり甲府を想定して両ワイドがDFラインに入り、シャドーも落ちる5-4-1のシステムであった。
ビブ組は、GK西川、DF槙野、遠藤、永田、MF宇賀神、青木、柏木、高木、石原、FWズラタン。ビブなし組は、GK大谷・福島・岩舘、DF関根、橋本、イリッチ、加賀、平川、MF武藤、駒井、那須、李、FW興梠。
1本目、立ち上がりに主導権を握ったのは、ビブ組であった。ビブなし組GKからの攻撃の組み立てのところで連携ミスが生まれ、高い位置で高木俊幸選手が見逃さずにそのままシュートを放ちゴールを決めた。流れは一気にビブ組みに傾くかと思いきや、ビブなし組の堅い守備に手こずり始めた。
しかし、攻守の切り替えが実に良いビブ組みが、主導権を握りズラタン選手が決定的なチャンスを決めきれずにいた。縦に早い攻撃を見せるビブなし組は、豊富な運動量で平川忠亮選手や切れのあるドリブルで関根貴大選手が持ち上がるサイドからの攻撃が目についた。
2本目は、前線の3選手を入れ替えて行われた。始まる前にミシャ監督から「お互いの動き出しの意識」が要求されていた。2本目の立ち上がりから主導権を握ったのは、ビブなし組であった。いきなり関根選手が、左サイドを縦から中へと切れ込むドリブルでゴールを狙って来た。また、引き気味のポジションでズラタン選手が楔のパスを受けると斜め右の石原直樹選手へ、石原選手からオーバーラップして来た平川選手へと流れるような展開から、平川選手のクロスをファーサイドで高木選手が見事に合わせてヘディングシュートをゴールへと叩き込んだ。
さらに、イリッチ選手がドリブルで持ち上がったり、加賀健一選手や橋本和選手もチャンスを見逃さずにビブ組の意表を突く強烈なミドルシュートを放って来た。
ビブなし組のボランチの駒井善成選手のボールキープ力も優れ、チャンスを作り続けていた。ビブ組みも攻撃に出るものの、前線にボールが収まらずにいた。するとミシャ監督が声を荒げて「サポート!!!」と檄が飛んだ。「ラストゴール!」の声が掛かるとお互いの攻守の切り替えが早くなり拮抗した展開となり、なかなかラストゴールが決まらなかった。
最後は、石原選手から逆サイドの関根選手へと展開し、関根選手のクロスが流れたところで練習が終わった。
全体的に、ビブ組は途中から攻め急いでしまったようにも見えた。DFラインを押し上げるも中盤のバランスが悪く、5DFで守備を固めるビブなし組に苦戦してしまった。
ペトロヴィッチ監督「難しい試合になる」
練習後の記者会見で、ミシャ監督は「甲府は、非常に難しい相手だ。昨年、一昨年とホームでドローだった。下位とのゲームの取りこぼしが、タイトルに手が届かなかった」悔しそうに話し、「甲府は、アウェイの戦いで守備的に戦ってくる。ボールを持って仕掛けないといけない展開になると負けている。明日、皆さんもどういう展開になるのか想像出来るだろう。守備的にブロックを作り、隙をうかがって速攻をしてくる。皆さんが思っている以上に難しいだろう。だが、トレーニングで狙いを持ってやって来た。我慢、判断、ボールのないオフの連動、質、ファンタジスタではないけれどもアイディアを持ったプレーが必要になる。相手が、低い位置で人数を掛けて守る。我々は、7人の選手が攻撃的に戦う。リスクを掛けなければ、相手の守備を崩すことが出来ないだろう。全員で全力を尽くし、相手の壁を打ち破る!」と熱く話した。
また、「クリスティアーノはJリーグの中でもトップレベルの攻撃だ。彼は、どこのチームでもスタメンを獲れる。ブラジル人のニウソンも新しく加入したオーストラリア代表のビリーセレスキーも質の高い選手だ。選手のクオリティーが無いから、守備的な戦いをすると言うのは言い分けだ。もちろん、同僚である監督をリスペクトしている。それぞれの考えで戦っている。もしかしたら、いつか我々が全く仕掛けない試合をするかも知れない。だが、我々はサッカーをしないといけない」と甲府の佐久間悟監督を挑発しているようにも取れることを話していた。だが、甲府は守備的な戦いから浦和の隙を突いてカウンターを狙って来ることは想定出来る。退いた相手を崩すのは至難の業であるが、甲府が想定通りに来るのであれば、死力を尽くして甲府の壁を打ち破り圧倒的な強さを見せつけてやりたいところだ。