浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】AFCチャンピオンズリーグ第4節vs広州恒大<西川、遠藤、柏木、宇賀神、武藤、興梠コメントあり>(2016/4/6)

今日のポイント!!「お金ですべてが買えないことを見せた」

埼玉スタジアムの夜空に「WE ARE REDS」の勝利の雄叫びが響き渡っていた。試合中、選手を鼓舞する浦和のゴール裏から聞こえて来る声は、この一戦に掛ける思いが伝わる迫力があった。

ミシャ監督が試合後の記者会見で「お金で全てが買えないことを見せた!3人の素晴らしい外国人選手だが、チームで上回れたことを示した」と話した。選手、ファン・サポーターが一丸となって闘った結果だと思う。

2点目、3点目を獲れるチャンスで決めきれなかったことに悔いが残る。やはり、1点リードした中で広州のパウリーニョ選手、リカルド・グラル選手、ジャクソン・マルティネス選手のスキルの高い一発は脅威であった。そこを、阿部勇樹選手を中心に槙野智章選手、遠藤航選手、西川周作選手が良く止めていた。

後ろから飛び出して来るパウリーニョ選手にゴールを脅かされたが、広州の得点源であるジャクソン・マルティネス選手にはシュートを1本も撃たさなかった。

西川選手は「集中切らさずに、何かあるなぁ~と考えながらやれた。気持ち的に今日は余裕があった。メンタルでプレーが変わると思った」と話し、槙野選手は「甲府戦の失点で、ロッカーでも帰りのバスの中でもみんなが反省した。失敗から学んだ。一寸したミスに対してこうした方が良いと話し合えた」と話していた。

遠藤選手は「1対1に負けない意識をした」と話した。相手の個人技をしっかりと押さえることが出来たのが、今日の勝利に繋がった。

そして、柏木陽介選手が「自分たちの強さを示せたと思う。Jのクラブでも球際に強く闘えることを示せた」と誇らしげに話した。そして、身を引き締めるように「監督は今日の勝利を喜んでいたが、まだグループリーグを突破したわけでは無い!より質の高いものを求めて行く」と決意を新たにした。ACL予選も残すところあと2試合!最後まで気を抜かず突破を一丸となって目指して行く!!

浦和を愛する全ての人々が一丸となって、広州を撃破!!

ACL予選リーグ突破を掛けた両者譲れない闘いを目前に、今にも雨が降り出しそうであった。街灯の明かりに照らし出された埼玉スタジアム周辺の桜は、妖艶な輝きを放って両者を迎えていた。決戦の舞台となった埼玉スタジアムには、平日の夜にも関わらず3万282人の人々が試合の行方に固唾を飲んでいた。

浦和は、週末に控えているJリーグ横浜FM戦を視野に入れて、前線をズラタン選手のワントップに武藤雄樹選手と梅崎司選手をシャドーに置き、右のワイドを関根貴大選手に任せて、浦和の得点源である李忠成選手と興梠慎三選手をベンチスタートとして挑んだ。ミシャ監督は「ファイナルだと思って闘え!」と選手を鼓舞し、浦和のサポーターは「威風堂々」の歌声で選手たちを迎えた。

浦和のキックオフで始まった試合は、立ち上がりから広州が積極的に仕掛けてきた。4分、左CKをファン・ボーウェン選手がショートCKで意表をついてミドルシュートを放って来たが、西川周作選手のファインセーブで立ち上がりの失点を許さなかった。ゲームの入りこそ広州に主導権を握られたが、徐々に浦和も落ち着きを見せ始めて行った。

柏木陽介選手は「前半、恐がらずにボールを繋げていたが、いろんなところで動きすぎた。球際の闘いは、みんな出来ていたと思う。パウリーニョが前に出て来てつき切れなかったが、シュートを跳ね返してくれていた分、良いポジションが取れた」と疲れた表情を浮かべながらも嬉しそうに話していた。

宇賀神友弥選手は「前回、アウェイで対戦した時に、広州の守備が構築されていないと感じだ。むやみに楔のパスを入れるのでは無く、ボールを回しながら前線の外国人選手を動かして、チャンスがあったらと意識していた」と話した。

森脇良太選手のクロスから、24分武藤選手がミドルシュート、25分梅崎選手がボレーシュートを放つも相手のGKとDFが身体を張ったブロックにあってしまった。

関根選手が積極的に仕掛けてクロスを上げたり、中に切れ込みシュートを狙うも広州の粘り強いDFに引っかかってしまった。

お互い譲らない展開の中で、35分に武藤選手が相手陣内でボールを奪い、切れ込みミドルシュートを放つも決まらず、逆に縦に早い展開から広州は、37分リカルド・グラウ選手にゴールを脅かせれてしまった。42分にリカルド・グラル選手を森脇選手が深いタックルで倒してしまい次節出場停止となるイエローカードをもらってしまった。前半終了間際に獲得したFKを柏木選手が直接狙うもゴールポストを僅かにかすめて決まらず。ミシャ監督は「両チーム共に、攻守の切り替えが早く、テンポの速い攻撃をしていた」と話していた。拮抗したゲーム展開となり前半は、0-0で折り返すこととなった。

後半も立ち上がりに猛攻を仕掛けてきたのは広州であった。リカルド・グラル選手がヒールで流したところにパウリーニョ選手が飛び込み放ったシュートはクロスバーに直撃!埼玉スタジアムを安堵のため息が包み込んだ。

クロスバーに救われた浦和は、52分に阿部勇樹選手から大きく右のバイタルエリアの関根選手へと展開し、関根選手がドリブルからクロスを上げると、ファーサイドで宇賀神選手がシュート!こぼれ球を狙って飛び込んできた武藤選手がヘディングで押し込み、浦和に待望の先制点が生まれた。

宇賀神選手は「パスと言いたいところだが、シュートです」と苦笑いしながら「自分が決めないといけなかった。武藤がもし、オフサイドだったら・・・。関根からボールが来て、入りすぎて無ければ良い形で押し込めた」と悔しそうに話した。そして「前日の記者会見でアジアで一番面白い試合を見せると豪語したから、球際や気持ちの部分で見せられたと思う。平日なのにサポーターが来てくれた。観に来てくれた人と一緒に勝利を味わいたいと思った。やっていてやり甲斐があった。相手の外国人選手3人は強烈だったけど、個だけだと上回ることは出来ない。コンパクトにすることでチームとして闘えた」と笑みを見せた。

貴重なゴールを決めてMVPに輝いた武藤選手は「相手も強いチームだし、90分、選手が集中し続けた。走る、球際に負けていなかった。90分、ゴールを狙い続けていた。自分の良さが出たゴールだと思う。今日は、行ける!って良い感覚があった。宇賀神さんがシュート撃つのでこぼれ球を決めようと狙っていた。僕がいるポジションに飛んで来たので、詰められると思って押し込んだ。サイドチェンジしてからのクロスは常に狙って居たし、中に戻って来て完全に相手は見えて居なかったと思う」と自分らしい泥臭いゴールに嬉しさを噛み締めるように話した。

1点を追う広州は、56分にジャクソン・マルティネス選手からDF裏を狙って飛び出したパウリーニョ選手がシュートを放つもゴールを捉えることが出来なかった。広州は63分にジョン・ジー選手に代えてガオ・リン選手を投入してくると、浦和も追加点を狙い64分に梅崎選手に代えて李忠成選手、68分にはズラタン選手に代えて興梠慎三選手を投入。しかし、ビックチャンスを作ったのは広州であった。

ファン・シャオティン選手のクロスに合わせたパウリーニョ選手のシュートを西川選手が動じずに、膝でブロックしてゴールを死守した。西川選手は「パウリーニョがドフリーで誰も行けてなかった。間違いなく枠に来ると思った。後ろに下がるのではなく、前に出て重心がずれていたので、手が出なかった。パウリーニョも地面を蹴ってシュートミスになって無回転のシュートだった。ズドンって嵌まった」とニヤリと笑った。

浦和も80分過ぎから、チャンスを作り続けていった。槙野智章選手が「先制していたが、ゲームプランで興梠と李が投入されたことが、攻撃を仕掛けるサインだった」と話していたように、相手の足が止まりかけた後半が勝負であった。

81分にDF裏を抜けた興梠選手であったがGKと1対1の決定機を生かせず、興梠選手は「途中交代でゲームの流れに乗れず、1対1のシーンは時間がありすぎた」と頭を掻いた。そして「広州は一発があるから、DF陣が耐えてくれて助かった。2点目獲る力がないと厳しくなる。1点獲ってて、スペースがあったのに~」と悔しがっていた。

そして、87分には武藤選手に代えて青木拓矢選手を投入。トリプルボランチかと思いきや、青木選手はそのままシャドーのポジションに入った。青木選手は「はっきりしたプレーをしようと思った。あの状況で相手に点を入れられたら・・・責任を感じていた。ピッチに入る前に、誰が落ちてくるとか言われていたし、ゼロで押さえられて良かった」と緊迫した様子だった。

浦和は、最後の笛が鳴るまで集中を切らさずに1-0で広州を下し、勝ち点7でグループリーグ2位に浮上した。

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