浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】2016プレナスなでしこリーグ1部 第6節vs INAC神戸レオネッサ<長船、柴田、吉良、乗松、猶本コメントあり>

20160430-22-(C)Rimako Takeuchi

今日のポイント!!

なでしこリーグの中でも個人のスキルが高いテクニックとコンビネーションを持ち多彩な攻撃力があるINAC神戸に対して、浦和は守備ブロックを形成してゴール前を固めてカウンターを狙うやり方ではなく、今まで貫いて来た前線からのプレスで果敢に前に行き、闘う姿勢を見せた。

前半の神戸のビッグチャンスも身体を張った守備で良く耐えたと思うが、2失点目から崩れてしまった。神戸の4ゴールの内、CKからの流れのゴールが1つ、CK崩れからのゴールが2つと本当にもったいない失点であった。

長船加奈選手は「自分たちが前から守備に行く形は出来ていた。時間的にも続けたかったが、体力的にも落ちていった。守備しても攻撃に繋げずに苦し紛れのクリアーになっていた。CKの守備の集中力もあるし、上手いことに相手に零れてしまった。一回流れを切ってもう一度セットするやり方をしても良かった。失点したあとの立て直しが必要だった」と本当に悔しそうであった。

流れを切って、チームを落ち着かせることが出来なかったのが残念でならない。リードされてガックと崩れた流れを断ち切ることが出来なかったことが、大きく勝敗を分けてしまい、大敗に繋がってしまった。

吉田監督は「ゲームを落ち着かせる選手がいないが、みんなでやっていかないといけない」と話した。

柴田華絵選手は「勝たないと!」と気合いを入れ「みんな、気持ちが苦しい中で切り替えていく。戦術も大事だが、闘う中で前向きな姿勢をもっと出す!もっと、もっと走って、身体を張ってがむしゃらにやる」と気持ちを奮い立たせていた。その気持ちがあれば、必ず立て直すことは出来るだろう。

20160430-40-(C)Rimako Takeuchi

 

INAC神戸に無念の惜敗。初勝利が遠い5連敗

初夏の爽やかな日差しが溢れて新緑が眩しい中、なでしこリーグ第6節を迎え、浦和レッズレディースは奮起を誓いINAC神戸レオネッサをホーム浦和駒場スタジアムに迎えた。

浦和は、開幕の日テレ戦を引き分けて勝ち点1を獲得したものの、4連敗と最下位に沈んでいた。一方、対戦相手となる神戸は首位攻防の日テレ戦を落とし、前節は仙台と引き分けてはいるが、大野忍選手を初め、高瀬愛実選手、京川舞選手、川澄奈穂美選手などの多彩な攻撃陣に加えて、近賀ゆかり選手、田中明日香選手、鮫島彩選手など女子日本代表歴を誇る選手たちがスターティングイレブンに名を連ねていた。

なでしこジャパン高倉麻子新監督が視察に訪れ見守る中で、浦和のキックオフで始まった。

試合は、立ち上がりから浦和は前線からプレスを掛けてボールサイドにスライドした積極的な守備を見せていった。

12分には、浦和陣内でのパスミスからボールを失い、高瀬選手に強烈なシュートを放たれるも、高畑史帆選手が逃げずにヘッドで果敢にクリアーしていった。

21分、川澄選手のドリブル突破からエリア内の京川選手へ、京川選手のポストプレーで大野選手がシュートを放つもゴール上と逸れていった。吉田監督から「追え!」と檄が飛ぶ中で浦和は、神戸に押されながらもDFラインを高く保ち粘り強い守備を見せていった。

20160430-10-(C)Rimako Takeuchi

吉良知夏選手は「前半から前プレスで行こうと掛けていった。プレスは嵌まったが、セカンドを拾えない時間もあったので、1.5の位置に下りてボランチのケアをしてセカンドを拾って行こうと思った。前半、攻められたけど身体を張って0で押さえたのは大きかった」と話した。

柴田華絵選手は「前半、守備が嵌まっていたかどうか・・・。ただ、やろうとしたことは出来た。周りも見えていた。相手にボールを奪われた後が、今日のポイントだった。行くんだという共通意識が出来ていた。球際で奪えるところは行こうと思ったし、ゴール前でみんな身体を張っていた」と守備の手応えを感じていた。

川澄選手が中央をスピードに乗ったドリブルで切り裂き、大野選手へとスルーパスが出され、高畑選手がシュートコースを切り、北川選手がファーサイドでクリアしたり、CKの零れ球を狙った大野選手のシュートがポストに直撃するシーンもあったが、浦和は何とか耐え抜き、虎視眈々と反撃のチャンスを狙っていった。

20160430-14-(C)Rimako Takeuchi

34分には、柴田選手とワンツーで抜けでした北川選手の放ったシュートのこぼれを吉良選手が狙った。

37分には柴田選手のドリブル突破から吉良選手へ、吉良選手は左から走り込んできた加藤千佳選手へと良い攻撃の組み立てを見せるが、加藤選手のシュートはゴール右へと逸れてしまった。

お互いチャンスを生かすことが出来ずに0-0で前半を折り返した。

20160430-23-(C)Rimako Takeuchi

後半立ち上がりに神戸の連続FKのチャンスを凌いだ浦和は、ペナルティーアーク付近でDFの裏を突く吉良選手の動きに合わせるように猶本選手からのパスが通り、吉良選手がDFと競り合いながらも執念でゴールへと流し込んだ。

吉良選手は「気持ちで押し込んだ。嬉しかった。本当に嬉しかったです。光(猶本選手)が左足で撃つと思って、自分が後ろに下がったのが、反動で前に行けた。GKの位置も見えていた」と嬉しそうであった。

だが、急に悲しげな表情を浮かべ「1点獲って、もう1点行こうと思ったが、早い時間に同点にされた」と話した。神戸に同点にされたのは、56分のことであった。

CKのクリアーボールを鮫島選手が拾ってゴール前へとアーリークロスを入れると田中選手が上手く合わせてきっちりと決めてきた。

吉田監督は「後半に得点を決めたあとの失点が悔やまれる。失点を食らって最後に崩れた」と悔しそうに話していた。

乗松瑠華選手は「前から積極的な守備をしてFWに起点を作らせないようにしていたが、先制したことで受け身になってしまった」と悔やんでいた。

20160430-19-(C)Rimako Takeuchi

 

試合は振り出しに戻ったが、61分に栗島朱里選手がボールを奪うと攻守の切り替え早く、白木選手、猶本選手へと展開し、猶本選手の左バイタルエリアからのクロスに吉良選手が飛び込む合わず、68分に猶本選手のFKの零れを拾った栗島選手がDFの裏を狙い、高畑選手が放ったシュートも枠を捉えることが出来なかった。

試合の流れが浦和に傾きかけると、神戸はすぐに疲れが見え始めた高瀬選手と川澄選手に代え、中島依美選手と増矢理花選手を投入して攻撃の活性化を図り、主導権を握り始めた。

79分には、またもやCK崩れのゴール前の混戦から増矢選手がボールを引き出してマークが外れた三宅史織選手へ、フリーとなった三宅選手が冷静に2点目を叩きだした。

20160430-33-(C)Rimako Takeuchi

リードを許した浦和は、栗島選手と加藤選手に代えて塩越柚歩選手と筏井りさ選手を投入して立て直しを試みるが、84分には中島選手の左CKを京川選手がニアで逸らし、田中選手に決められてしまった。

猶本選手は「3点目のニアで逸らされたのは、私のマーク。悔しい」と唇を噛んだ。そして「100%の自分の良さが出せるコンディションまで戻っていない。後半は、球離れを早くして味方を生かすようにと思った。白木が前で動いて、DFラインの裏を取ってくれた。前のふたりが時間を作ってくれた時に、前に絡める回数を増やしていきたい」と悔しさを噛み締めながら話した。

20160430-13-(C)Rimako Takeuchi

浦和は、最後の切り札として88分に足が攣った吉良選手に代えて後藤三知選手を投入するも、90分には途中出場した仲田歩夢選手のシュートの零れを増矢選手に詰められ、だめ押しの4点目が決まってしまった。

神戸にリードを許してから、浦和はガラガラと音を立てるように崩れてしまい1-4で敗戦。初勝利が遠い5連敗となってしまった。

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