浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「武器を磨く~福島春樹選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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選手達から驚きと称賛の声が上がるロングキック

選手たちは、それぞれ自分の得意とするプレーを持っている。その得意とするプレーは、ボールを扱うテクニックや身体能力など人並み外れたものである。だからこそプロとして成り立ち、人々を魅了していく。選手たちが得意とするプレーは、相手の選手の脅威を与える武器となる。その武器は、正確なFKやパスのセンス、長身を生かした空中戦、フィジカルコンタクトに強いパワーやスピードなど上げれば切りがないが、個々の得意とするプレーが絡み合ってピッチで華麗なハーモニーを奏でる。

練習が終わると選手たちは、得意とするプレーに磨きを掛けたり、不得意なプレーを克服しようとそれぞれが自ら課題を持って居残り練習をしている。居残り練習を見ていると、思わぬ発見することがある。

ある日の居残り練習のことである。ハーフウェイラインを越えたハーフコートの真ん中にいきなりロングボールが飛んできたのだ。その飛距離は、目算でおよそ90mは越えていた!

風向きを思わず確認したが、ほぼ無風状態であった。そのキック力に我が目を疑った。ロングボールを受けた駒井善成選手や見ていた他の選手からも「すげ~!」と驚きと称賛の声が上がるほどであった。蹴ったのは、福島春樹選手であった。

しかも、飛距離が出やすいパントキックではなく、ピッチにボールをセットして蹴るゴールキックで福島選手は飛距離をだしたのだ。GKが、試合の時にゴールキックを蹴るシーンをイメージして欲しい。大抵のGKのゴールキックは、無風の状態であればセンターサークルを越えた付近である。

福島選手は「小学校の時は、凄く飛んでるって言われたけど良く分からなかった。高校時代は、キックが下手でゴールキックの質が良くなく、ダフったりしていた。当たれば飛ぶが、成功率が低かった。大学時代にしっかりと練習したお陰で、距離も長く、精度も高いキックが蹴れるようになったと思う」と照れながら話した。

そして「ゴールキックはセットしたボールなので、人それぞれの蹴り方があると思う。僕の場合は左利きなので、右足の踏み込みに大きな力が掛かっているのだと思う。足でしっかりとミートすれば筋力が無くても飛距離がでる」と蹴り方を話していたが、実際にゴールキックを蹴る福島選手は、右足の踏み込みを力強く、左足は柔らかくしなるような振りからボールにミートする瞬間は、まるでゴルフクラブのドライバーのようであった。

更に、福島選手のゴールキックの驚くべき点は、飛距離だけでなく正確に狙ったところに飛ばす精度の高さであった。飛距離が出るボールは、正確性に欠けることが多い。GKからの正確なキックと言えば、西川周作選手の代名詞のように思われている。その西川選手に引けを取らないほどであった。

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流通経済大学との練習試合で、福島選手の凄さを見せつけられるシーンがあった。福島選手のゴールキックから、ペナルティーエリア少し手前の右のスペースにポジションを取った石原直樹選手に綺麗な弾道を描いてボールが渡りチャンスを作ったのだ。

「距離が出なければ、サイドバックに引っかかる。距離が出ることで裏のスペースを狙い恐れずに蹴れる。攻撃の起点になれる」と自信たっぷりに話した。

福島選手の飛距離がでる正確なゴールキックは攻撃の起点となり、相手は無闇にDFラインを押し上げることが出来なくなる。相手に脅威を与えることが出来る研ぎ澄まされた武器だ。

試合前日の居残り練習では、大谷幸輝選手や岩舘直選手はゴールマウスに立ちシュートの相手をしているが、福島選手はいつも西川選手にベッタリとくっついている。

「確かに、試合前は一緒ですね。一緒に蹴ろうって言われていつもやっている。試合前のフィーリングを調整しているのだと思う。本当に良い環境にいると思う。どんどん吸収していきたい」と照れながら話し「シュウ君(西川選手)の凄いところは、右足でも左足でも同じような蹴り方が出来る。僕の場合は左足に持ち替えて蹴るところを、シュウ君はそのまま右足で流れの中で蹴れる。シュウ君の落ち着きを生んでいる1つ要因だと思う。僕も右足が蹴れれば、もう少し落ち着いてプレーが出来ると思う。今は、左足に頼りすぎている」と先輩の西川選手から刺激を受けて成長しようとしている思いが伝わってきた。

浦和には、日本代表でもゴールを守り浦和の正GKとして君臨する西川選手を追いかけて、ベンチに入っている大谷選手、そして今シーズンから完全移籍となった岩舘選手、新加入の福島選手がいる。練習のミニゲームで、主力組となるGKは西川選手が不動である。サブ組のGKは3選手で順番に任される。

福島選手は「自分的には3番手だと意識を持ってやっていかないといけないと思っているし、一番良いプレーをしているって思いで常にやれる。今の段階では、シュウ君と幸輝君にはかなわないと思っているが、ゆくゆくは越えていく。もっともっとひとつひとつプレーに拘りたい」と目を輝かせて話していた。

福島選手は「絶対に負けない。負けたくない。自分がゴールを守る」という思いを秘め、飛距離がでる正確なゴールキックと言う武器に磨きを掛けながら、先輩たちの背中を追って虎視眈々と正GKの座を狙っていく。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

川久保整形外科

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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