浦和フットボール通信

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【レディース試合レビュー】プレナスなでしこリーグカップ1部 Bグループ第3節vsアルビレックス新潟レディース<高橋、平尾、筏井、白木、加藤、吉田監督コメントあり>

新潟にリベンジを果たし、なでしこリーグカップ2連勝を飾る

小雨がパラつきそうな曇り空となり、風が雨の気配を運んできた6月19日。なでしこリーグカップ初戦となった岡山湯郷Belle戦を征した浦和レッズレディースは、リーグ戦で2連敗を喫している苦手意識があるアルビレックス新潟レディースをホームに迎えた。

猶本光選手をはじめ、吉良知夏選手、後藤三知選手などチームの中心選手を怪我で欠く中、吉田靖監督は「後藤がまた軽く怪我をして、その穴埋めでトレーニングで良い感じだったのは高橋だった」と浦和の下部組織に所属する高橋はな選手(16才)を初スタメンで起用し、白木星選手(19才)と共に10代の若手に前線を任せた。試合開始前には、高橋選手を勇気付けるコールが沸き起こっていた。

高橋選手は「練習の時に試合を想定して白木選手と組ませてもらって、合わせていく難しさがあった。スタメンが決まって、緊張もあった。FWとして点を決めたかった。憧れていたピッチだし、今まで声援を送っていたのに自分のコールをされていることが有り難く嬉しかった」と感謝の思いを口にした。

風上となる右のエンドを浦和が取り、新潟のキックオフで試合が始まった。立ち上がりから積極的な姿勢を見せる浦和であったが、左サイドバックの渡辺彩香選手から大きく逆サイドの上尾野辺めぐみ選手へと展開とすると、上尾野辺選手のクロスを大石沙弥香選手がヘッドで逸らしたところを阪口萌乃選手がヘディングで押し込み先制点を許してしまった。

平尾選手は「試合開始5分でやられた。浮き球が3~4回ポンポンって続いて、ポジショニングが曖昧になってしまった。上尾野辺さんがトラップした瞬間に、フネさん(長船加奈選手)にアプローチに行かせればよかった」とプレスの掛け方が甘かったと悔しそうに話し「でも、この失点でまだ80分以上もあると切り替えられた。球際に強く行くようになったし、アプローチも共通認識でやれた。シュートコースをみんなが切ってくれるし、守りやすかった」と笑顔がこぼれた。

吉田監督は「失点して、精神的に不安定になることなく出来て良かった。トレーニングでやっていることをピッチの中で意識してやれている」とチームの成長を感じていた。リーグ戦では、失点から崩れてしまうことが多かった浦和であったが、今日は違っていた。

柴田華絵選手が倒されて獲得したFKを筏井りさ選手が直接決めて9分に同点に追いつくことが出来た。FKのボールをセットしたのは、北川選手であった。

筏井選手は「得意のレンジから少し遠目だった。北川とどちらでも蹴れるようにと思ったが、あっち側(ゴール向かって左側)はだいたい自分が蹴るんですが、北川が蹴る雰囲気を出したので相手も北川を警戒して居る状況で、蹴るよと声を掛けた。もうちょっと左に蹴るつもりだった。距離もあるし、いつも通りだと弱いと思い強めに蹴った。パワーをしっかり乗せてあたった」と嬉しそうに話した。

試合を振り出しに戻した浦和は、選手同士の距離感が良く攻守の切り替えも早く、当てて落としの展開からチャンスを作っていった。12分には、相手DFのこぼれ球を拾った加藤千佳選手からパスを受けた柴田華絵選手がドリブルで持ち上がり白木選手が強烈なミドルシュートを思いっ切り良く放った。

白木選手は「ミドルは、良い感じで行ったかなと思った」と蹴った感触は良かったものの枠を捉えることが出来なかった。その後、主導権を握りながらリズム良く攻め続けた。24分、北川選手が直接狙ったFKは、GK福村香奈絵選手の手を弾きクロスバーに直撃!追加点を奪うことが出来ずにいた。始終浦和のペースで試合を運ぶ中、1-1で前半を折り返した。

前半の流れのまま、後半の立ち上がりから主導権を握ったのは浦和であった。50分、長野風花選手からオーバーラップしてきた塩越柚歩選手へと展開すると、塩越選手はカットインからゴールを狙っていった。そのシュートのこぼれ球を拾った加藤選手がトラップして左足を振り抜いたシュートは綺麗な放物線を描いてゴールへと吸い込まれていった。

カップ戦2試合連続ゴールを決めた加藤選手は「自分のところにこぼれて来て、運が良かった。柚歩(塩越選手)がボールを持ったときに、タイミングでDFの裏に抜けようと思い横を見たら柚歩がパスを出せそうに無かったので、我慢した。まさかこぼれてくるとは・・・」と驚きを隠せなかった。そして「ゴールの位置も見ていたし、こぼれて来たときに右に切り返すか、前にトラップだと思った。左にトラップしてシュートまでのタイミングを逃さなかった。GKに弾かれると思っていた。あれは、何で出来たんでしょうか?」と自身の業ありゴールにも驚いていた。

浦和にリードを許した新潟は、すぐに高橋悠選手に代えて斉藤友里選手を投入して中盤をケアーしてきた。しかし、全体の距離感が良い浦和のリズムを変えることは出来なかったが、当てて落としの展開から主導権を握る浦和は崩し切れずにいた。

中盤からチームをコントロールしていた筏井選手は「中盤に関わりながら、サイドハーフのポジションを取って、そこからパスを組み立てた。個々の能力でターンしてシュートが出来た。後ろからのビルドアップからボランチを経由してもっと厚みのある攻撃をしたかった」話した。

すると、徐々に試合の流れは新潟へと変わっていき、浦和の前線との距離が空いてしまいボールが収まらない展開になってしまった。

白木選手は「後半になって、新潟に攻め込まれたときに、もう少しチームとして落ち着けば良かった。前線でのボールキープが難しかった。今日は、ゲームを支配したが崩して入った訳では無い」と厳しい表情を浮かべた。

64分には上尾野辺選手のマイナスのクロスを阪口選手が放ったシュートは枠を捉えることが出来ず、73分には阪口選手の左CKがファーサイドへと流れたクリアーボールを中村楓選手がシュートを放つも平尾選手は死守。最後は、高畑志帆選手を入れて5-4-1と守備を固め、ワントップに浦和デビュー戦となった下部組織の小嶋星良選手に任せて逃げ切りを図り、2-1で逆転勝利を収めた。

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