浦和フットボール通信

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【河合貴子の試合レビュー】今日のポイント「勝敗を分けた駆け引き」<中村(川崎)、柏木、槙野、武藤コメントあり>

今日のポイント!!

一進一退の死闘を征したのは、川崎であった。浦和の敗戦を告げる笛が埼玉スタジアムに鳴り響くと、中村憲剛選手はボールを高良に蹴り上げて嬉しそうに抱きしめた。確かに、先制したのも川崎だし、突き放したのも川崎であった。だが、追いつくチャンスはあった。決定的なチャンスが多かったのは、浦和であった。決めきれずに敗戦。決定機を逃した武藤雄樹選手の表情は暗く、敗戦の責任をもの凄く感じていた。

しかし、勝敗を分けたポイントは駆け引きだったと思う。駆け引きに負けたのだ。

中村選手は「フォーメーションはミラー。前半、慣れるのに時間が掛かった。浦和の方が運動量が多かった」と話し「駆け引きの世界で、ポジションを固定して動かないで嵌まるより、行くところで数的優位を作る。向こうは(浦和は)、前から行きたがっていたがやらせなかった。モリ(森脇選手)がどこまで着いてくるか・・・。ボランチとセンターバックの間に動いたりした。那須さんが嘉人(大久保選手)を見ていた。先制してペースダウンしたが、後半は修正して前から行けた」と嬉しそうに話していた。

全ては、駆け引きであった。3-4-3と一見は同じフォーメーションであるが、左のシャドーのポジションであった中村選手は、トップ下にポジションを取ったり、逆サイドに流れて数的優位を作り、捕まえずらかった。

柏木選手は「憲剛さん(中村選手)が自由で、モリが着いて行って、嘉人さんがDFの裏を狙っていた。サイドに行ったときにもっとプレッシャーを掛ければ良かった」と悔しそうに話していた。

ピッチの中での駆け引きで中村選手は上手であった。中村選手がフリーに動くことで、ボランチの大島僚太選手とエドゥアルド・ネッド選手が攻守に渡り生きた。

1点を追う展開の中で、ミシャ監督は最後の切り札として78分に宇賀神友弥選手に代えて青木拓矢選手を投入し、前への推進力とパワーがある槙野智章に左のワイドを任せた。

槙野選手は「エウシーニョが足を攣っていたのに・・・。効果的な攻撃の引き出しをしないといけなかった。あまり良い攻撃の起点が出来なかった」と本当に悔しそうに唇を噛んだ。

本来、槙野選手の推進力と攻撃力が生かされるのは、左サイドのコンビネーションからである。ベンチには、川崎戦前日練習で左のワイドを任せて練習していた梅崎司選手が控えていた。途中出場を果たした青木選手もここ数試合良い動きを見せていたが、梅崎選手の切れのあるドリブルやクロス、槙野選手への落としなど期待を掛けても良かったのではないだろうか。ベンチの駆け引きにも負けたような気になってしまう。

決定的なチャンスが多く、内容も悪くは無かった。どこか釈然としない。しかし、川崎に負けた。ピッチでの駆け引きとベンチでの駆け引きに負けたような気がしてならない。悔しさが募る。

川崎に敗戦を喫したが、これで全てが終わった訳ではない。選手たちを鼓舞するように、浦和レッズコールが巻き起こり、浦和のゴール裏には「年間勝ち点1位は覚悟と情熱で掴み獲ろう」と横断幕が掲げられていた。

武藤選手が「負けた後に背中を押してくれた。残り8試合。年間と2nd優勝が狙える。下を向かないで、次に生かす」と前を向いた。浦和の正念場はまだまだ続く。台風の影響で大荒れとなった日中と違い、虫の音が響く静かな夜が首位攻防戦に敗れた心を癒やし、悔しくて眠れぬ夜の子守歌となった。気持ちを切り替えて、また浦和の明日がやってくる。

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