浦和フットボール通信

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【選手ミニコラム】果たしてバナナ効果は・・・~駒井善成選手

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(Report by 河合貴子)
随分と昔の話であるが、オシム監督が「ライオンに追われたウサギは足を攣ることはない。選手が準備不足だから足が攣るのだ」と厳しく両断した話しは有名である。

川崎戦で両足がボロボロの状態になった森脇良太選手は「最後まで闘えない自分がいました」と恥じていた。確かに、オシム監督の話しのように足が攣ったウサギを見たことはない。

だが、一概に準備不足と言ってしまうは、ピッチで全力を出し切り闘っている選手に申し訳ないように思えてしまう。特に、必要以上に汗をかく夏場は、足が攣る選手が多い。汗と共に、筋肉の収縮に関わるマグネシウムやカリウムが排出されてしまうからだ。

浦和の場合、攻守の切り替え早く上下運動や中へ切れ込む動きなどワイドの選手に掛かる負担は大きい。8月27日ノエスタで行われた神戸戦でのトラッキングデーターを見ると、走行距離11,838㎞で両チーム通して一番走っていたのが駒井善成選手であった。

フル出場した駒井選手であったが「リーグ戦は、足が攣ってパワーダウンした。ペース配分を考えないといけない。前半、良かったが後半続けることが出来なかった。しっかりと身体をケアする」と足が攣りながら後半の終盤プレーをしていたことを明かした。

そして、90分足が攣らずにベストパフォーマンスを維持するために、ペース配分を考えていた。たが、すぐに思い留まり「変に中途半端なプレーをするよりも、全力を出し切る!足が攣るには、自分の限界を出し切ったからだ。あとから出ても先に出ても、全力でプレーする」と如何にも駒井選手らしく全力で闘う姿勢を見せた。

そんな駒井選手に「試合前にバナナ食べてる?」と尋ねると、駒井選手は「バナナですか?!」と不思議そうな顔をした。Jリーグ開幕当初の1993年駒場スタジアムで試合前に横浜マリノスの選手たちが、バナナを食べていた。当時、横浜マリノスの選手だった水沼貴史氏が「バナバ食べると足が攣らないんだよ」と自慢げに話していたのだ。確かに、マグネシウムやカリウムが多く含まれているバナナには、足が攣る予防としては良いかも知れない。

その話しを聞いてから、浦和の選手で試合中に足が攣る選手がいると、必ず「バナナ食べている?」とバナナを推奨してきた。以前、良く足が攣っていた岡本拓也選手にも勧めたことがあった。岡本選手の場合は、効果抜群で「バナナ凄いですよ!本当に足が攣らなかった」と嬉しそうに話していたのだ。もちろん、駒井選手にもバナナを勧めた。「本当ですかぁ~?」と疑心暗鬼の駒井選手に、「試合のロッカールームとかにバナナ置いてない?」と尋ねると「ロッカールームには無いけど、試合前の食事のときにバナナが置いてある!」と目を輝かせた。そして「次の試合から試してみます。効果があったかどうかは、報告しますよ」と駒井選手は話した。

足が攣る要因は、水分不足や血行不良、またオシム監督と言うように準備不足など様々である。バナナ効果があるので有れば、食べることも試合で闘う準備の1つである。

駒井選手は、神戸戦の前にバナナを食べて、万全な準備を整えて持てる力をフルに出し切りピッチを走る。バナナが効果を発揮したか、しなかったのか、神戸戦の駒井選手を観れば分かる。バナナ効果の答えは、闘うピッチの中にある。

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