【河合貴子の試合レビュー】今日のポイント「FC東京の守備的なシステム変更が逆に優位に働いた」
今日のポイント!!
前半からかなりのハイスピードで飛ばして来たFC東京。前線からのハイプレス、浦和がバックパスをすると一気に統率が取れた4DFラインを押し上げてコンパクトにしてきた。
まさに、浦和の後方からの攻撃組み立ても狙い、浦和のパスコースを潰し、浦和の良さを消すサッカーをしてきた。前半の危ないシーンを堪え抜き、後半勝負と切り替えて入った矢先のPKでFC東京に先制されてしまった。
1点をリードしたFC東京だが、追加点を奪いに来ると思いきや、58分の早い段階でシステムを3DFへ変更して、ワイドの選手を下げて5DFとしブロックを作り1点を守る守備的な闘い方をして来た。
西川周作選手は「守備的にしてきて、チャンスだと思った」
森脇良太選手は「自分たちにとっては、プラスに働いた。相手の戦術や監督の思うところはあるが、僕らにとっては有り難かった。崩さないといけないと思っていたし、システムを合わせて来て、マッチアップするんで相手には慣れている。サイドから崩す自信はあった。守備的にブロックを作っていく中で、チャンスは多くなると思った。僕ら的には、ネイサン・バーンズ選手とか出て来た方が恐いなぁって感じだった。システムを3DFにしたところは、自分たちがポジティブに運ぶのに非常に助かった」
青木拓矢選手は「同じシステムなら、突き詰めてやっている僕たちが間違いなく優位。逆に、嵌まるチャンスだとベンチで話していた」
浦和に取っては、このFC東京のシステム変更が優位に働いた。前半から、飛ばしていたFC東京の選手たちは、既に身体に限界が来ていて足が止まり始めていた。PKで獲得した1点を守ろうなんて、浦和の攻撃力をなめていると思ってしまった。浦和の攻撃力は、甘くはない!!
李忠成選手の相手DFとの見事な駆け引きから決めた同点弾!ズラタン選手の斜め右のスペースに走り込んだクロスに、オウンゴールを誘った関根貴大選手の動き!そして、苦しい時間帯にも関わらず軽快なステップワークを魅せた駒井善成選手のクロスに、タイミングをドンピシャ合わせる興梠慎三選手のクオリティー高い動き出し!見事な逆転劇であった。
だが、何故に篠田監督は1点を守ろうとしたのだろうか?喉に魚の骨が引っかかったような疑問が残った。
2ndステージ第11節を終えた段階でFC東京は5勝1分け5敗と10位。年間成績も10位。FC東京にとって、狙う栄光はYBCルヴァンカップのみだ。YBCルヴァンカップ準決勝で対戦するのは浦和だ。FC東京は、浦和にYBCルヴァンカップ準決勝で勝つために、何が通じて、どこがダメでなのか試すための試合だったのではないか・・・。
試合終了後には、オーロラビジョンに10月5日に開催されるYBCルヴァンカップのFC東京VS浦和の告知がされていた。そう考えると全てが納得出来てしまう。
しかし、どんなに浦和を研究してFC東京が策を練って来ても最後に笑うのは浦和だ!!勝って兜の緒を締め、YBCルヴァンカップもFC東京を下して決勝の舞台へと進む。目指している物の違いを魅せつけたい。