【ミニコラム】大事な時間と空間を生み出す秘密めいた小部屋「ミシャの小部屋」
(Report by 河合貴子)
思わぬ計らいで出来た小さなスペース
大原練習場のクラブハウスの改修工事も着々と進んでいる。芝生管理倉庫も新しく建てられた。以前あった芝生管理倉庫もトレーニングルームも見る影が無くなるほど解体が進んでいる。白いシートで覆われた向こう側では、重機の音だけが聞こえて来る。
トレーニングルームとクラブハウスを繋ぐ通路に置かれていた机と椅子を囲んで、よくミシャ監督とクラブスタッフや選手たちがミニ会談をしていた姿が懐かしく思える。練習前も練習後もミシャ監督は、気がかりな選手を呼んでコンディションや戦術的なことを話してコミュニケーションを図っていた。今では、跡形も無くなってしまった。
しかし、思わぬ計らいで白いシートの壁を上手く利用して、凹みをつけてシートで覆った屋根もあるミシャ監督専用の小さな小部屋が出来上がった。
本当に小さな小さな小部屋で、大人が3人入れば満杯である。そこで、サッカーに関する各新聞や記事などを杉浦コーチが読み聞かせしている光景は、改修工事が始まる前と変わらない。だが、凹みなのでどんな表情をしているのか覗き見ることが出来ない。どこか秘密めいたものを感じてしまう。
新潟戦を前に、ミシャ監督が小部屋に呼んだ選手は2人。阿部勇樹選手と柏木陽介選手であった。ミニゲームの1本目で主力組と言われるボランチコンビだ。だが、2本目で柏木選手
は主力組でシャドーを務め、ボランチは遠藤航選手と青木拓矢選手のコンビに変わった。おそらく、阿部選手のコンディションを確認していたのだろう。ひょっとしたら、新潟戦で阿部選手がベンチスタート?あり得るが、寂しいものを感じてしまう。見えない小部屋だけに、勝手にいろんなことを想像してしまう。
ミシャ監督の小部屋。そこで監督は、選手とコミュニケーションを図りながら試合に勝つための策を練っているのだろう。大事な時間と空間を生み出す秘密めいた小部屋であった。