浦和フットボール通信

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天皇杯4回戦、川崎戦に敗退。柏木「今年、一番酷かった試合と言っても過言ではない」。

天皇杯4回戦・川崎に対して3度のリードも生かせずPK戦の末に敗退。

ポッカリと月が浮かび穏やかな秋の夜となった11月12日。浦和は、天皇杯初戦となる4回戦を等々力陸上競技場にて川崎に挑んだ。Jリーグ年間1位と2位の対決の行方を約2万人の観客が固唾を飲んで見守った。

浦和は、代表で西川周作選手と槙野智章選手が不在であったが大谷幸輝選手がゴールマウスに立ち、宇賀神友弥選手が左のストッパーを任された。対する川崎は、怪我人を抱えているため若手の19歳の板倉選手と三好選手をスタメンで起用して来た。

浦和のキックオフで始まった試合は、立ち上がりから浦和が積極的に仕掛けていった。

8分には武藤雄樹選手が強烈なミドルシュートを放つも決まらず。13分には、駒井善成選手がドリブルでペナルティーエリア内に切れ込み倒されるもノーファールの判定。

対する川崎は、前線からプレスを掛けパスコースを限定し、大久保選手や三好選手が浦和のギャプ突く動きなかからボランチのネッド選手からエウシーニョ選手へと展開して仕掛けてきた。

すると、少しづつ浦和の攻撃のリズムが狂いだし始めた。攻撃の狙いを意図が分からないようなパスミスが多くなり、川崎のショートカウンターを受ける展開となってしまった。

柏木陽介選手は「今年、一番酷かった試合と言っても過言ではない。前半に限っては、チームも悪かったし、個人としても一番悪い試合になった」と意気消沈していた。

駒井選手も「前半、後ろからのパスが引っかかり良いペースにならなかった。前線3枚で相手のプレスは外せていたが、単純なミスが多かった」と悔しそうであった。

浦和が攻撃のリズムが作れない中、川崎は223分に板倉選手が勢い良くドリブル突破してエリア内で倒れるもノーファール。更に、田坂選手や長谷川選手がゴールを狙ってきたが決めきれないでいた。

ミシャ監督は「ミスが多く、ここ最近の試合では最も悪い前半だった。あれだけミスをすれば、本来ならば2~3点獲られてもおかしくなかった。川崎も奪ってからの質が悪かった」と振り返った。

前半に浦和が放ったシュートは3本に対し、川崎が放ったシュートは7本であった。苦しい展開となった浦和であったが、川崎のシュートミスなどに助けられて0-0で折り返した。

そして、攻撃を立て直すために後半の頭から高木俊幸選手に代えて李忠成選手を投入。更に58分には、柏木選手に代えて青木拓矢選手を投入。少しずつ浦和の攻撃に変化が生まれ始めた。

待望のゴールが生まれたのは、71分。武藤選手に代わってズラタン選手が投入された直後のことであった。森脇良太選手からのロングパスにDFの裏に抜け出した興梠選手がしっかりとゴールへと流し込んだ。

李選手は「前から相手が来ていて、裏がスカスカだった。みんな足下になっていて食われてからカウンターになっていた。自分が入って裏、裏って自分が動くことによって『あっ、ここ空いているんだ』と思って、慎三に「裏が空いてるぞ!」って言ったら点が入った」と嬉しそうに話した。

先制点を叩きだした興梠選手は「シャドーに入ると2列目のからの飛び出したらDFが付いてきずらい。でも、あれはGKが取れるボールだったと思う」と苦笑いしながらも「ハイボールに出て来ないGKなので、タッチが上手くいって流し込んだ」と話した。

これで試合展開が楽になると思いきや、86分に大久保選手が放ったミドルシュートが森脇選手の手に当たり、ハンドの判定。大久保選手のPKは、大谷選手の手を弾いてゴールへと吸い込まれた。

大谷選手は「PK、触っていたのに・・」と悔しがった。森脇選手は「明らかに腕を出して、ボールに触っていたらハンドだと思うけど・・・」と納得のいかない様子であったが、気持ちを切り替えて試合に集中していった。

遠藤航選手は「PKは微妙だった。でも、ハンドになる前のボールの失い方を次ぎに生かすべきだ」と話した。

1-1の同点に追いつかれた浦和であったが、その2分後の88分興梠選手のクロスに李選手がヘディングシュート!GKが弾いたボールが登里選手のオウンゴールを誘い、浦和が再びリード。

このまま試合終了と思いきや、90+1分に登里選手のクロスをエドゥアルド選手が空振りしたボールが途中出場した森本選手へ。森本選手がゴール左隅へと決めて再び同点とされて仕舞い、試合は延長戦へともつれ込んだ。

一進一退の攻防の中、先手を取ったのは浦和であった。97分、青木選手がドリブルで持ち上がり、李選手とワンツーで抜け出してゴールを決めて3-2。

等々力での意地を見せる川崎は、諦めずにパワープレーで押し込んで来た。そして、117分に三好選手のアーリークロスをファーサイドで板倉選手が折り返し、エドゥアルド選手に決められて三度同点にされてしまった。

大谷選手は「クロスが上げる選手にプレッシャー掛けられていなかった。自分が、声を掛けるべきだった」とグッと唇を噛んだ。

選手たちは足が攣り、疲労度が濃い中でも懸命にゴールを目指した。120分には、カットインから森脇選手がシュートを放つもゴールネットを揺らすことが出来なかった。「踏み込んだ瞬間に、ピリッときた。もう少し良いシュート撃てたのに・・・。最後パワーがなかった。情けないですね」森脇選手の足も限界に来ていたのだ。

120分、死闘を尽くし両チームの決着はPK戦となった。先行は、川崎。まずは、大久保選手が決めた。阿部選手は、一端は右ポストに弾かれるもGKがゴールラインを越えて早く動いたので蹴り直しとなり、その後はしっかりと決めた。

川崎は、2人目の三好選手も3人目のエドゥアルド選手も大谷選手の逆を突き、冷静に決めた。

浦和は、2人目のズラタン選手はGKに止められ、3人目の興梠選手は左ポスト直撃!

興梠選手は「自分が外した・・・。悔しい。GKが早い段階で飛ぶので、GKをずっと見ていた。その前に阿部ちゃんとズラ(ズラタン選手)が蹴ったのを見てたら、飛んだときにサイドポストまで届くからギリギリを狙わないといけないと思っていた。GKを良く見れば、コースが甘くても逆突けば入る。逆突いたんだけど、ボールを見ていなかったから、変なところに当たった。技術の無さです」と下を向いた。

川崎の4人目、ネッド選手のPKを大谷選手はコースを読んでいたが、ボールの勢いに押し込まれてしまった。PK戦を5人目まで蹴ることなく、1-4で敗戦。浦和の天皇杯が終わった。

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