浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「浦和の赤き血潮~矢島慎也選手」

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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「シャドーよりもボランチとしてやっている時の方が、手応えがあるし全部が楽しい」

「浦和に来る時点で、自信がなかったら帰って来ない!」。

矢島慎也選手は、ハッキリと言い切った。久々に選手から、浦和の煮えたぎる赤き血潮を感じることが出来る言葉であった。

2年ぶりに岡山から浦和へと復帰を果たした矢島慎也選手には、間違いなく浦和の魂が宿っている。思わず胸が熱くなり、涙がこぼれそうになるぐらい嬉しかった。

沖縄キャンプ中からも居残り練習に人一倍も取り組んで来たと聞いた。その姿勢は、キャンプを終えて大原の練習場に戻って来てからも変わらなかった。

沖縄の2次キャンプから休みなく稼働している選手たちの疲労は、かなり追い込んでいるようでピークに達していた。練習を取材していても、身体の重い選手が多かった。ここまで、コンディションを目一杯上げて、一端落として、また試合に向けて上げていくのは当然のことだと思って選手たちを見守って来た。

だが、矢島選手は練習中のミニゲームでの課題を身体と頭に叩き込むようにシュート練習やサイドチェンジをイメージするようなロングボールなど居残り練習で約40分以上も掛けて取り組んでいたのだ。

居残り練習後、矢島選手は「別に・・・」と自分がやらなければならない当然のことだと話し始めた。「岡山と比べたら練習量が少ないが、その分、個人練習が多く出来る」と笑い「ロングキックは納得してなかったし、ミドルシュートが上手くなりたい。ボランチをやるからには、欠かせない。筋トレもしたい。早く新しいクラブハウスが出来上がって欲しい」と話すほど自分自身のスキルアップに取り組む意識が高かった。

そして「シャドーとボランチをやっていて難しい。シャドーは、落ち着けずに我慢で点を獲りにいく感じ。ボランチは、サイドチェンジを求められる。縦につけることも意識する。ボランチでコンビを組む相手によって、メリットとデメリットはあると思う。でも、走れるところはチームで一番走れる。カウンターもプレスバックも岡山でやってきたから出来る。シャドーよりもボランチとしてやっている時の方が、手応えがあるし全部が楽しい。DFの裏に散らすのだったり、見えているけどキックでどこに出すのとか」と自信たっぷりに声を弾ませながら話した。

2015年に試合出場の場を求めて岡山へとレンタル移籍した矢島選手は、岡山でボランチにコンバートされてチームの中心選手へとなっていった。岡山へ行く前の矢島選手と言えば、カットインから果敢にゴールを目指すイメージが強かった。だが、岡山では豊富な運動量と視野の広さや矢島選手が本来持っていたパスセンスに磨きをかけて、昨シーズンは岡山の10番を背負い闘った。岡山での著しい活躍が評価され、リオデジャネイロオリンピックサッカー日本代表でもチャンスメーカーとしても活躍した。

恐らく、レンタル移籍の道を選択せずに浦和にいたら、矢島選手はここまで成長していなかっただろう。浦和で活躍出来なかった悔しさが、大きなきっかけとなったはずだ。

J2と言えども試合出場で得られる経験は、何とも代えがたい物がある。昨シーズンの活躍から他のJ1クラブからも引き合いがあった。矢島選手は浦和復帰にあたり「正直、凄く悩んだ」と少し沈んだ表情を浮かべた。

やはり、試合に出場出来なければ、プロ選手としての存在が全く無意味に思えてしまう。復帰にあたり不安があるのは当然のことである。

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ペトロビッチ監督は「昨年の結果を見ても分かるように、昨年のチームを上回る選手を連れてくるのは難しい。クラブ全体の世代を考慮して、比較的、若い選手を獲得した。若い選手たちが、1つ2つ成長することでチームが成長する。今年入って来た選手たちは、どの選手に関しても時間と我慢が必要だ。昨シーズン、74ポイント獲得した。そういう中で、昨シーズンを闘って来た中心選手を上回っていくような選手は、なかなかいない。昨シーズン中心だった選手を中心に闘っていく。その選手たちが、昨シーズンと同じような仕事やそれより更に1歩前進していくプレーを見せることで、新しく入った選手たちが学び、チームは成長していく」と矢島選手を含めた新加入の選手に対して話していたのだ。

矢島選手に待ち受ける厳しいポジション争い。「特殊なサッカーだと思う。3年前、あまり試合に出られなかった」と悔しさを滲ませながらも「どこのポジションでも日本代表クラスがいる。だからこそ、そこで争わないと」と身を引き締めた。だが、ポジション争いに勝ち抜く勝算は、矢島選手の中にある。だから「自信がなかったら帰って来ない!」と言い切れるのだ。

浦和復帰を決めたひとつに「ルヴァンカップ決勝を観て、スタジアムの雰囲気やサポーターの雰囲気が凄くて、ここでやろうと思った」と矢島選手は目を輝かせて話していた。生まれ育った浦和地で、浦和を愛する人々と共に闘う血が騒ぐのだ。中心選手がなんだと言うのか。ペトロビッチ監督が、嬉しい誤算だったと頭を垂れるほどの浦和の赤き血潮を魅せて欲しい。浦和の赤き血潮でレギュラーへと必ずのし上がり、チームを栄光へと導くだろう。浦和を愛する人々のために・・・。何故か?答えは簡単である。ここが浦和だからだ。

Q.  オフ明けに怪我が多くなるのは、筋肉が落ちるからですか?

A.  休むことで疲労は取れるけれども、筋肉は固くなります。筋肉は、同じ運動を繰り返さないと3日で落ちます。だから、トレーニングで負荷を掛けないといけません。ただ、やり過ぎでしまうとパフォーマンスは落ちます。24時間ぐらい完全に休んで回復させます。回復させることで超回復でパワーアップさせていきます。休むことは重要ですが、筋肉のことを考えるとオフ明けは気をつけないといけません。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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