浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「過去を刻んで、前へ、前へ」西川周作

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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過去を刻んで、無失点を目指す。

「誰もが思っているんじゃないですか・・・。一番、僕が思っている」と甲府戦で完封勝利を飾ることが出来なかった無念を西川周作選手は口にした。

2月18日のゼロックス杯・鹿島戦から始まって、Jリーグ第3節甲府戦まで全6試合。そのうち完封勝利をしたのは、2月21日のACL・アウェイのシドニー戦だけであった。6試合で10失点。ゴールを守る最後の砦であるGKとして、悔しさの一言では片付けられないものがあった。

西川選手は「無失点で終わりたかったと強く思う。まだ、リーグ戦では、無失点がない」と唇を噛んだ。「笑門福来」をモットーしている西川選手からは、スマイルが消えていた。それでも、心を奮い立たせるように「90分通して後悔のないゲームをしたい。したいなぁ・・・。自分がしっかりと守れるかだ」と気合いを入れ直して笑った。

失点は、GKだけの責任では決してない。ボールの失った瞬間から守備が始まる。ボールの失い方、ファーストDFの掛け方、相手FWのマーク、DFのリスク管理など様々な要因が重なって失点する。チーム全体の責任である。

それでも西川選手は、この10失点の全てを自分の胸に刻んでいたのだ。一番、西川選手が問題視していたのは「同じような失点が続いているのは、反省しないといけない。自分たちがやられるとしたら、セットプレーか失い方が悪くてカウンターだ。そこをやらせなければ、我慢強く闘える」と話した。

今シーズン、ペトロビッチ監督は「攻撃は最大の防御」と言わんばかりに、DFラインを高く設置してワンサイドゲームを試みている。昨シーズンよりは、正直5mほどDFラインが高くなったような気がする。

たかが5mかもしれないが、この5m上げることでGKに掛かる負担は倍増した。足技があり守備範囲が広い西川選手でなければ、これだけ高くDFラインを設定することは出来ないだろう。ワンサイドゲームになると西川選手のシュートストップの見せ場は、ほとんどない。

「嬉しいのは、なかなかボールが来なくて勝ったゲーム。やっていて楽しいのは、シュートがバンバン飛んで来るゲーム。でも、チームとしては良くない状況だよね」と笑っていた。

西川選手が好セーブをした時に、オーロラビジョンに現われる埼玉スタジアムの名物となっている『文化シヤッター』も、今シーズンはあまりりお目にかかれない。それだけ浦和が、主導権を握りDFラインを押し上げてコンパクトに保った試合展開を魅せているのだ。

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だが、DFの裏の膨大なスペースは、対戦相手にしたら狙いところである。一気に前線へとボールを送る。一番の狙いは、浦和の3DFの脇のバイタルエリアだ。

西川選手がいくら足技に飛び抜けたGKでも、このバイタルエリアへの飛び出しは危険が伴う。このバイタルエリアを使うカウンターから、マイナスのクロスを入れられての失点も、DF陣含めてみんなで話し合い修正をした。

そして、西川選手は「ボールが来ないときに、DFラインの背後の出る、出ないの判断をしっかりやらないといけない。僕が中途半端なプレーをすると、流れが変わると思う。良い流れが、すぐに相手に持って行かれる。ワンプレー、ワンプレーを拘りながらやっていきたい」とよりリスク管理の意識を高めた。

自分のプレーに拘りを持っている西川選手は、試合後のロッカールームで何がダメだったのか、どうしたら防ぐことが出来たのか、必ず失点シーンの映像を見ている。

例えばC大阪戦のCKから失点シーンを「ボールは、縦回転で凄い落ちてくるボールで、出来るとすれば青木選手がほんのちょっとだけ早い段階で前に行った。次からは、ステイさせて出たボールに対していく。そこの駆け引きなんですよ。でも、これは嵌まっていく自信はある」と話した。

また、甲府戦のスローインからの失点を「スローインからのスライドが遅れてしまって、クロスを上げられてしまった。僕も中の状況を見ていたが、森脇選手がニアの選手にズレてくれて、ドゥドゥ選手がフリーな状況も自分の中では整理出来ていた。自分が前に寄せることが出来れば、どこかに当たっていたと思う。そこの追求は自分の中でしていく」と振り返った。サッカーにおいて同じシーンは、二度と来ない。けれども、試合直後に映像を見て、頭に叩き込むことでその経験を生かした危機察知能力を上げることが出来る。

「フィールドプレーヤーとして、後ろで守っていかないといけない」と西川選手は力強く話し、「ミシャだから自分がそういうプレーが出来る環境でもあり、自分のプレーの幅が広がったと思う。だからこそ、より確実なものにしていきたいんだ」と目を輝かせた。

本来なら目を背けたくなる全ての失点シーンを、西川選手はしっかりと胸に刻んで前へ、前へと勇気を持って進んでいく。過去を刻んで、無失点を目指す。それが、浦和のゴールを守る使命だから。

Q. フィジカル的な身体は、どのくらいで落ちますか?

A. 1週間もオフがあれば、試合を出来る筋力はありません。一般的には、1日から2日ぐらい身体を休ませてあげてまたトレーニングをして超回復現象させます。オフ明けの走り込みをやっていても何日間のうち1回は休みが必要です。その休みは大切です。続けてしまうと当然筋肉は疲労して怪我をしやすくなります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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