浦和フットボール通信

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今季初完封試合までの想いとは。西川周作【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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様々なことをこの手で掴むことができた仙台戦の初完封

今シーズンのリーグ戦、初の完封勝利を告げる笛が、埼玉スタジアムの夜空に鳴り響いた。その瞬間、西川周作選手は拳をグッと握りしめた。この瞬間をどれだけ待ち望んでいたか計り知れない。

4月7日、仙台戦でやっと無失点で試合を終えることができた。ホッとした安堵の表情と完封勝利の喜びを噛み締めていた。

失点は、チーム全体の責任である。ボールの失い方や相手に対してのプレスの掛け方など様々な要因が重なり失点に繋がる。だが、ゴールを守る最後の砦としてGKである西川選手は、開幕戦から続く、失点の責任を人一倍背負ってきたのだ。

日本代表に招集はされてはいたが、今シーズンに入っての浦和での失点の多さで、3月に行われたワールドカップ最終予選の日本代表戦では、ゴールを守る機会すら巡ってこなかった。

西川選手は「新たな刺激を受けながらやれていた。自分がやらなきゃいけないことは、(浦和)チームでの結果だと思う。無失点で終われるようにしたい」と笑顔を見せていた。

だが、それは代表戦でベンチを温めている悔しさを笑顔の奥に隠しているようにも見えた。

「結果で示し続けなければいけない。浦和での活躍が、延長線にある代表のアピールになる」と西川選手は気合いを入れた。

開幕からリーグ戦5試合で7失点。今シーズンから、DFラインを5mほど高くしているとはいえ、リーグ最少失点を誇っていた時期もあった浦和にしたら、あまりにも多い失点数であった。

周囲からも失点に対する声は、西川選手の耳にも届いていた。選手として当然、気にする。どんなに、苦しかっただろうか・・・。失点を重ねてしまった西川選手のことを思うと息が詰まった。

槙野智章選手は「毎試合、最後のところで1点獲られたり、後ろの安定感をもたらすために何回も話し合いをしてきた。何度も守備陣だけ集まって、ビデオを見たりした。お互いにこうして欲しいとか、ポジショニングのこととか話してきたが、結果として失点してしまった。その都度、腹を割ってミーティングをしてきた」と試合のたびに何度も繰り返し無失点を目指してミーティングをしてきた。

そして「代表チームでも失点のところは言われてきた。西川選手だけのせいではない。そういう意味では、代表から帰ってきて、二人でクラブで与えられた環境で結果を残さないといけない」と話していた。

話し合うことは、本当に大事なことであった。特に、守備のところ、失点のところを槙野選手と西川選手は重点的に話し合っていたのだ。

そして、ようやく開幕から6試合目で実を結んだ。「良かったです!!」と西川選手は、声を弾ませた。そして「相手というよりも、自分たちが貪欲に点を獲り続けた結果だ。4点入れば守りにはいってしまうことも考えられたが、自分たちはとにかく点を獲り続ける気持ちで、日頃からそういう意識でやっていた。あとは後ろが、しっかりゼロで守れた頑張りが一番大きかった」と笑顔をみせた。

そして「自分は、常にボールを持っていないときは、フィールドプレーヤーの一員。ビルドアップでも、自分が一番良いところで受けて繋ぐ、あるいは繋ぐだけでなく縦へのパスを常に狙いながら相手が嫌がるようなことを考えている」と話した。

「フィールドプレーヤーの一員」は、西川選手のモットーでもある。守備範囲が広く、正確なビルドアップは西川選手の一番の持ち味だからだ。その正確なキックは、味方の長所を生かすプレーに繋がっている。仙台戦で途中出場した菊池大介選手への1本のロングパス。得点には結びつかなかったが、阿吽の呼吸で見事であった。

菊池選手は「周作さんから狙っていけると思っていた。あれが通っていれば・・・。本当に良いボールだったので、続けていけばもっと精度を高めるし、自分はチャンスに絡めていけると思う」と話した。

西川選手は「芝生が濡れていなかったら、もっと良いところにいけたかな?大介(菊池選手)も、理解してくれて走り出してくれていた」と話し「本当にサイド選手は、良く特徴を理解して走り出してくれるので、自分のショートパスも生きてくる。サイドの選手は、勢いがあるので、個のところでも力はあるが、裏に抜けるタイミングとスピードはわかり合えている」と嬉しそうであった。

1本の西川選手からのビルドアップは、浦和の武器となり相手に脅威を与えるのだ。そして、この1本で試合の局面を一気に変えることができる。浦和でGKとして西川選手に求まられるプレーの1つでもある。

とは言え、やはりGKとして一番求められることはゴールを死守することである。

「自分の中では、毎試合無失点で終えたいと目標にしている。ようやく1つできた。GKは失点で言われることは、普通のことだ。言われないためには、結果で示すしかないと、自分に言い聞かせていた。自分がやってはいけないことは、今までやってきたことを簡単に無駄にしてしまうことだ。積み上げてきたことの継続で、トライした中でのミスは、自分の財産になっている」とこれまでの7失点は、決して無駄な失点では無かったのだ。GKであれば、誰もが持っている失点の責任と悔しさ。それを、自ら財産へと変えたのだ。

西川選手は、無失点に拘りながら相手に隙を与えない気持ちで声を枯らして集中を保っていた。そして、自らの手で掴んだ仙台戦の完封勝利!!

西川選手が、その手で掴んだのは、完封勝利だけでなく、代表へと繋がる道であり、チームメイトや浦和を愛する人々の信頼であり、自分がやってきたことが間違えでは無かった証しであった。

Q. 冬場にスポーツをするときに気をつけることはなんでしょうか。

A. 最近は身体が冷えないようにヒートテックなどで防寒しましょう。ただ、アップして身体を温めて汗をかいてしまいます。出番がなく待っている間に汗が冷えてしまうので、血液の循環が悪くなります。冷えないように防寒して、待ちながらストレッチをすると良いでしょう。あと、末端に行くほど血行が悪くなるので手足が冷えないのように手袋やスパッツなどで防寒しましょう。腰を温めるためにカイロを下着の上に貼るのも効果がありますが、低温火傷しないように気をつけましょう。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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