浦和フットボール通信

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高木俊幸、苦い復帰戦を糧に【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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公式戦復帰、次はリーグ戦での出場を狙う

高木俊幸選手は、今シーズンチームが始動する前の1月10日に、右足第5中足骨疲労骨折と診断を受けて手術した。全治は約3ヶ月の見込みと言われていた。怪我が完治しても、怪我で長期離脱すると闘う身体やサッカー頭脳を取り戻すためにはさらに時間が掛かる。

高木選手の松葉杖が取れたのは2月の下旬であった。それから、西が丘にある国立科学スポーツセンターでリハビリを行ってきた。

そして「そろそろ、サッカーをやりたくなるスイッチが必要だ」と高木選手は話して、チームメイトの待つ大原練習場にリハビリを始めた。

春まだ浅い3月の中旬であった。ずっと室内でのリハビリ生活を過ごしてきた高木選手は、沖縄キャンプなど日頃の練習で日焼けしている他の選手と比べて、色白で草食系美男子と言った感じであった。

チームメイトがミニゲームで激突するのを横目に、ゆっくりと芝生の感触を確かめるように歩く日々から、軽いランニング、スパイクを履く、ステップワークを取り入れる、ボールを蹴るなど少しずつできることが増えていき、チームに完全合流を果たしていった。

高木選手の今シーズン初の対外試合は、4月17日に行われた流通経済大学との練習試合であった。後半45分だけであったが「ピッチってこんなに広かったんですね。快感だけど、こんなに動くんだ」と久しぶりのフルコートに戸惑いながらも嬉しそうであった。

練習試合では、得意なドリブルで仕掛けるシーンも豪快なシュートでゴールを狙うシーンもあって水を得た魚のように生き生きとフルコートの試合を楽しんでいた。

しかし、約2ヶ月も地面に足を着けていなかっただけに、対人プレーやボールを蹴る恐さや違和感があったのも事実だ。その恐さも違和感もチームに完全合流してからは、徐々に無くなっていた。ペトロビッチ監督からお呼びが掛かれば、いつでもピッチに立てる準備をしてきた。

そして、連戦でもありACLグループリーグ突破が決まっていた状況の中で、遂にペトロビッチ監督からACL・アウェイソウル戦へのお呼びが掛かったのだ。今シーズン、初のスタメン起用であった。「気負いはしなかった。余計な感情はなかった」と高木選手は、至って冷静にピッチに立っていた。

高木選手は「ボールを持っていた時の感覚っていうか、相手のプレッシャーの掛かり方が多少まだ試合勘がないないなって前半は感じた。でも、試合時間が経つにつれて無くなっていた。時間の経過と共に、ちょっとずつ良くなってきた。90分通して、ずっとバタバタしていたわけではないと自分の中で感じた。少しずつ前の選手が間で受け始めて、回し的にも相手のプレッシャーをいなせなくって、前の後ろの距離が遠く前に付けられずに下げて、結構苦しかった。けど、後半は落ち着いて繋げるようになった」と試合の経過と共に試合勘を取り戻していたのだ。

そして「後半、オフザボールの動きだしは良かった。あとは、ボールが入った時に落ち着いてボールを処理できれば良い。イージーミスがなくせたら良いな」と自分自身の課題もあげていた。

セットプレーでも高木選手の見せ場はあった。「中の入りも分かりやすく、かなりサイドで良い位置でFKを蹴った。1本ぐらい入っても良かった」と悔しそうな表情を浮かべて話した。

高木選手個人としては、まずまずの復帰戦であった。しかし、ACLグループリーグ突破は既に決まっていたが、ソウルに勝って1位通過を確実なものにしたい気持ちが強かった。

高木選手の中で、決して消化試合では無かった。自分の力量が試される試合で、しっかりと勝利を収めて1位通過をしたかったのだ。そして、リーグ戦2連敗中のチームに勢いを付けたかった。しかし、結果は0-1でソウルに敗戦。1位通過は絶望だと思われた矢先、上海がシドニーに敗戦したことで浦和の1位通過が決まったのだ。

高木選手は「より結果が欲しかった試合だった。リーグ戦でチームが苦しんでいたので、そこは結果で普段試合に出ていない選手たちでチームを盛り上げることができれば・・・。残念だ。やっぱり、結果は1位通過で良かったと思うけど・・・。ちょっと、スッキリしない感じ。本当は、勝ってリーグ戦を気持ち良く迎えたかった。自分は、復帰戦で90分できた。だけど、チームとしては全然達成した感じではなかった」とモヤモヤしている胸中を話した。

だが、勝利を収めることができなかったが、今シーズン初の公式戦で90分間、闘えた手応えは感じていた。不安はない。次のリーグ戦に向けて行けと言われたら、闘う準備はできている。「試合をやった疲労は、多少あるけど、今までみんなは連戦を熟してきている。自分は、早く馴れて連続して試合ができるような身体にしていきたい」と目を輝かせた。

高木選手にとって苦い復帰戦であったが、この経験を糧にしてリーグ戦出場を狙う。

怪我明けのころは色白の草食系の美男子だったが、今ではすっかり日に焼けて闘う男の姿になっていた。リーグ戦のピッチが、高木選手を待っている。

Q.精神的な疲労について教えて下さい。

A.運動をし過ぎることにより精神的に疲れると、身体の中のホルモンのバランスが崩れて筋肉の回復を遅らせてしまいます。オーバーユース症候群中には、精神的疲労もあります。意欲が落ちれば、ホルモンの分泌が悪くなりパフォーマンスが落ちてしまいます。軽いトレーニングをしながら、リフレッシュすることが大切です。トレーナーさんたちが、メニューを作り食事管理し、乳酸値を図ったりケアーをしていきます。40℃ぐらいのお風呂にゆっくりと浸かりリラックスして疲れを取ると良いでしょう。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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