浦和フットボール通信

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宇賀神友弥が、雑草魂と根性で掴んだ代表入り【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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反骨精神でここまで這い上がってきた

キタ~!キタ~!遂に来た!!思わず飛び上がるぐらい嬉しい知らせが届いた。それは、宇賀神友弥選手の日本代表初選出であった。

宇賀神選手は、水上マネージャーから代表入りを知らされて「嘘だろうなあ。全く予想すらしていなかった。得点をいっぱいして、アシストをいっぱいしているような選手ではないが、見てくれているんだと嬉しかった。ハリル監督の言う『誰にでも扉は開かれている』は、まさにこのことだ」と驚きながらも嬉しそうに話した。

初めて日本代表に選出された宇賀神選手には、田中達也選手や山岸範宏選手など元チームメイトからもお祝いのメールが届いていた。

「達也さんは、ずっと代表に入らないといけない選手だって1年目から言ってくれていた。気にしてもらっていたのは嬉しいですし、達也さんもずっと見ていてくれたんだ」と目を細めて笑った。

宇賀神選手は、今シーズン開幕してから「ここまで、間違いなく自分のキャリアのベストなプレーができている自負がある」と手応えを感じていた。記憶に新しいプレーと言えば、新潟戦で魅せた興梠慎三選手のアシストとなった絶妙なタイミングのクロスだ。本当にクオリティーの高さを魅せ付けたクロスであった。

ただ、今シーズン宇賀神選手が魅せたプレーが、代表に繋がるとは本人も思っていなかったのだ。狙いはあくまでも、12月に国内組中心に招集されると言われている東アジア選手権であった。

「この調子でいければ国内組には入れるんじゃないか。これをどれだけ12月まで継続できるかと考えていた」と宇賀神選手は話した。

以前から「日本代表なんて、考えたこともない」と言っていた宇賀神選手は、これまでのキャリアの中で全く代表とはご縁が無かった選手である。浦和の下部組織で育ち、トップ昇格ができずに流通経済大学へと進学した。しかし、流通経済大学のサッカー部ではサテライトからのスタートであった。そこから努力を重ね這い上がり、2009年フィンケ監督に呼ばれて、特別指定選手として浦和へと舞い戻ってきたのだ。

宇賀神選手は、決してサッカー界のいわゆるエリートではない。浦和の下部組織出身でトップチームへとストレートに昇格し、代表に招集されたことがあるのは、原口元気選手と山田直輝選手だ。原口選手や山田選手の存在を宇賀神選手は「二人は、ずっとスーパーで誰もが手に届かない存在で、そのままプロになって代表までいった。僕は、そうではなく、違った意味で代表までいけることを見せられた」と話した。

そして「今まで自分は、小中高と県選抜にも入ったことがない選手だった。そういう(選抜に選ばれた)選手たちだけには、負けたくないとずっと思っていた。プロになってからも、自分が上手いと思ったことは一度も無い。負けず嫌いなのかな。実績が無い分、そういう気持ちが自分をプロにさせてくれた」と反骨精神を剥き出しにしてやってきたのだ。

自分のことを「僕は雑草」と表現するぐらい、何度も挫折を繰り返しながら自らの力で大きな壁を越えてきた選手である。

「自分の人生の中で、カテゴリー年代別の代表に入ったことも無かった。プロサッカー選手としてプレーしている以上は目指していたものですが、相当遠くに置いていた目標だった。浦和に来てから、啓太さん(鈴木啓太氏)、阿部さん(阿部勇樹選手)だったり、闘莉王さんやギシさん(山岸範宏選手)が代表入っている時に、一緒にプレーしていると1個上のレベルでやりたいなっていう思いはあった」と話した。それは、正直な宇賀神選手の気持ちであった。

背中を追い続けてきた平川の存在

しかし、今から2年も前に宇賀神選手の日本代表入りを望んでいた二人の日本代表OBがいた。それは、北澤剛氏と中山雅史氏だ。2015年のゼロックススーパーカップG大阪戦で、宇賀神選手のプレーを見た二人は「今の日本代表に必要な選手だ。浦和で結果を残して、代表に入って欲しいね。周りを活かして、自分も生きるプレーができる。ほら~槙野の穴を(槙野選手が上がったスペースを)埋めるし、チャンスだと思ったら行くし、気が利くね」と大絶賛していたのだ。

二人の見立て通りに、宇賀神選手は浦和でしっかりと結果を残して代表入りを果たしたのだ。さすが、経験豊富な北澤氏と中山氏だ。先見の明があった。

初の日本代表に招集を受けて「行ってみないと、まだ実感は湧かない」と話す宇賀神選手は、「今回が、間違いなくラストチャンスだと思う。少ない合宿期間でどれだけハリル監督に『お~』って思わせるようなプレーを見せられるかだと思うので、このチャンスを掴めるかだ。ハリル監督も『宇賀神選手のプレーを見てみましょう』って言っていたので、まあ見てみましょう。戦術理解度で、監督が求めていることをピッチで表現することが、自分の特徴だ。短い練習期間の中でどれだけできるかのかなと思う」と少し照れ笑いを浮かべた。

そして「あとは、世界で活躍している選手と一緒に練習できるだけでも成長に繋がる。楽しみながらやりたい」と目を輝かせていた。宇賀神選手が、どれだけ自分のプレーを初招集の日本代表で出せるか、そして世界を知っている選手たちから何を学んでくるか楽しみである。

また、ずっと同じポジションである平川選手の背中を追いかけてやってきた宇賀神選手は「自分にとってヒラさん(平川忠亮選手)の存在があったからだ。本当に、ヒラさんの存在が大きいと思う」と先輩である平川忠亮選手の名前を上げて感謝の思いを話していた。いかにも、宇賀神選手らしい。代表に招集されたからと言って、驕れることなく謙虚な姿勢をみせた。

そして、襟を正すように「ただ、ここまできても何一つ満足することはないですし、代表で試合に出ることに意味がある」と気合いを入れ、「今は、代表の前の浦和での2試合だ!!」とACL・ラウンド16のホーム済州戦と暫定で首位に立つ柏戦との上位対決に集中した。

まずは、代表に行く前のこの2試合で、日本代表に選出されるだけのプレーをしっかりと魅せて、浦和を勝利に導きたい。ロシアへの扉を開けて前進できるかは、宇賀神選手本人だ。宇賀神選手は、必ず浦和の雑草魂と根性をピッチで魅せてくれるはずだ。

Q. 疲労を溜めないためのストレッチを教えてください。

A. ストレッチには、静的と動的があります。例えば、運動前に行うストレッチは筋肉を起こしてあげて怪我の予防になります。しかし、運動前に静的なストレッチを行うと筋肉がダランとしてパフォーマンスが上がらなくなります。運動直前のストレッチは動的ストレッチ、運動直後のストレッチは筋肉をほぐして緩める静的なストレッチで疲労を溜めないようにしましょう。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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