浦和フットボール通信

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10日間の沖縄一次キャンプ取材を終えて【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

順調な仕上がりを感じることができた

肌を切り刺すような凍りついた風が、10日間の沖縄一次キャンプ取材を終え帰路についた私を出迎えた。前日に関東地方を襲った寒波は、都会を銀世界へと変えていた。

10日間だけの沖縄一次キャンプ取材であったが、晴れた日には20℃を越え、半袖でも過ごせるぐらい暖かな日があった。暖かな沖縄でJリーグだけでなくプロ野球もキャンプを行う理由が良く分かる。今シーズンは、Jリーグ24クラブが一次・二次キャンプを含めて沖縄に集結することになっている。

浦和が沖縄一次キャンプを行った金武町フットボールセンターは、南北に細長い沖縄の中央付近の東海岸側にある。那覇から車で90分ほどの人口約1万1千人の本当に長閑なところだ。金武町フットボールセンターは、約半世紀にわたり米軍基地として使用されてきたギンバル訓練場が返還された跡地に2016年に建設されたのだ。

道路を挟んで、病院やリハビリセンターもあり、近々に外資系の温泉スパリゾートホテルが建設される予定である。キャンプを行うのには、最高の環境が整備されつつある。

ただ、金武町の中心部には米軍用地キャンプ・ハンセンがあり、そのため演習の音がまるで花火大会が行われているかのように聞こえてくる。また、浦和が練習している上空を、低空飛行で米軍のヘリコプターが轟音とともに旋回したのは驚かされた。沖縄が置かれている現状を目の当たりして、複雑な感情になってしまった。

さて、1月14日から始まった浦和の沖縄一次キャンプだが、初日からかなり身体を追い込む2部練習であった。

神戸から移籍してきた岩波拓也選手は「初日が一番キツかった」と話すほど、体幹・筋トレなどのかなり過酷なフィジカルメニューであった。野崎アスレチックトレーナーは「選手のコンディションが、バラバラなので早めに揃えれば戦術的な練習に入れる」とニヤリと笑っていた。

その中でも軽快な動きを魅せていたのは、柏木陽介選手や興梠慎三選手、宇賀神友弥選手たちであった。かなり、オフシーズンで自主トレをやってきたことを感じさせられる動きであった。

ただ、一番この時期に気を付けなければならないことは『怪我』である。シーズン初めということもあり、どうしてもポジション争いを意識してアピールしたくなる。その気持ちをグッと我慢して、体幹・筋トレをしながら身体の張りや痛む箇所など自分の身体と向き合い、無理をしないで練習量を減らしたりするなどコンディション調整が大事になってくる。

キャンプ序盤に遠藤航選手と平川忠亮選手、ラファエル・シルバ選手(キャンプ4日目に中国へ)が別メニューで調整していたが、しっかりとキャンプ終盤には戻ってきた。逆に、序盤で動きが良かった柏木選手と興梠選手が、終盤は別メニューでコンディションを調整することになってしまった。

また、岩舘直選手が腰痛、榎本哲也選手も張りを訴えるなど二人のGKが別メニューとなり、森脇良太選手は無理が祟ったのかキャンプ6日目の午後練習での紅白戦で右ハムストリングの肉離れをおこしてしまった。森脇選手は、幸いな軽傷であった。
李忠成選手は「このキャンプでは、離脱しないことが一番の目標だ」と話し、自分の身体としっかりと向き合いながら仕上げていた。

キャンプ3日目は、フィジカルを上げながらサッカー頭脳を呼び起こす4つのゴールを使ったゲーム形式が行われた。そして4日目になると、午前はフィジカル中心の練習で、午後はキャンプ初となる戦術的な練習へと移行した。

堀監督が一番最初に取り組んだのは、後方からの攻撃の組み立てと前線の選手が3人一組になってトライアングルを作りながらDFの裏を狙ったり、お互いの動きを意識して空いたスペースへと走り込む動きから、シュートまで持ち込むことであった。昨シーズンの攻撃での課題を一番最初に取り組んだのだ。

そこから、堀監督はドンドンと攻撃を重視した反復練習を繰り返していった。

野崎アスレチックトレーナーは「フィジカル面の7~8割までは僕の仕事。残りは、サッカーをしながら作り上げていく。順調にきている」と笑顔を見せて「階段を上って、更に上に行くためのちょうど階段の踊り場に来ている」と表現するほど選手たちの身体は仕上がってきていたのだ。

キャンプ終盤に差し掛かり戦術的な練習が増えていくと、アンカーを任された遠藤航選手とインサイドハーフの武富孝介選手や長澤和輝選手のトライアングルの距離感が非常によく、特に長澤選手のクオリティが高い豊富な運動量が目に付くようになってきた。

同じように豊富な運動量を魅せる山田直輝選手であったが、前線に飛び出したり、前プレスを掛けても連動性が見られず「アレ?」と戸惑うシーンがあった。周囲との連動には、少し時間を要するようだ。

また、ルーキーの橋岡大樹選手は、序盤の動きは素晴らしく存在感を魅せていたが、終盤になると疲労が溜まり動きが重たく感じられた。同じくルーキーの荻原拓也選手は、終盤に徐々に頭角を現わし、持ち味のスピードと左足の精度の高いクロスなどを魅せ、初の対外試合となった沖縄SVとの練習試合では1ゴール1アシストの活躍であった。

堀監督は、センターバックを槙野智章選手と阿部勇樹選手、槙野選手と岩波選手、岩波選手とマウリシオ選手など、組み合わせを少しずつ代えながらチームを作り上げていた。

フィジカル中心となる沖縄一次キャンプであったが、戦術的な練習にも早々に取り組むことができ順調な仕上がりを感じることができた。

沖縄一次キャンプの締めくくりとして、1月27日にはペトロヴィッチ監督が指揮を執る札幌との練習試合が行われる予定だ。後ろ髪を引かれる思いで、金武町フットボールセンターを後にした。

Q. 足の付け根の肉離れの予防を教えてください。

A. 内転筋などトレーニングで筋肉を強化したり、スポーツを行う前は動的なストレッチで筋肉をほぐし、クールダウンをしっかりとしてストレッチをしましょう。疲れを溜めないように心掛けると良いでしょう。また、体質的に左右のバランスが悪い人は、肉離れになりやすいので、バランスを良くすると良いでしょう。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科がリニューアル開院しました。平成28年5月6日(金)より新クリニックにて診療を開始しています。MRIなど最新施設を備えて、より良い環境の下での医療とサービスをご提供していきます。http://www.kawakubo-clinic.jp/

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