柴戸海が目指す場所は日本代表入り【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】
J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。
TMでもクレバーなプレーをみせる
チームの完成度の違いを見せつけられたゼロックス杯の川崎戦。川崎にポゼッションをされるのは覚悟の上だったとはいえ、ゲームの流れを変えようとピッチに入った途端にアグレッシブにプレスを掛けに行ったのは、66分に途中出場した柴戸海選手であった。
しかし、奮闘虚しく0-1で敗戦。ゲームの流れを引き寄せることができずに、悔しさをかみ締めていたのだ。
その悔しさを晴らすかのように、尚美学園大学サッカー部とのトレーニング・マッチで攻守において豊富な運動量をみせた。
「相手との力関係はあるが、やるべきことをやった」と手応えを感じていた柴戸選手。1本目のインサイドハーフでは「岩武がブロックしながら孤立していたので、そこへのサポートを早くし、FWに当たった時や自分が当てたときに、周りの選手の動きを見て自分が抜け出していくことを意識した。切り替えは、チームとしても一番求めていることだ。それは100%やり続けた」と話した。
そして2本目のアンカーポジションでは「アンカーの時は、ファーストディフェンスでいくよりも真ん中にスペースを空けたくないので、周りの選手を動かしながらタイミング良くプレスを掛けることを意識した。あとは、後ろでボールを受けて前に運んでいくことだったり、ボールをサイドに早く振って周りの選手をフリーにすることや楽に攻撃ができるように意識した。相手も改善してきて、自分たちの攻撃も単調になってしまった。もう少し動き出しを早くすれば、相手も捕まえづらくなったと思う。動きながらが、重要になると思った」と高い意識をもって練習試合に挑んでいた。
インサイドハーフでもアンカーでも、しっかりと試合の流れを把握して求められるプレーを瞬時に判断して実行できる安定したクレバーなプレーをしていた印象が強い。
見応えがあったのは、1本目のアンドリュー・ナバウト選手の落としのパスに対してゴールシーンであった。
柴戸選手は「アンドリューからのパスが見えて、自分がフリーだと分かっていた。あとは、ファーストタッチを意識した。左から相手が来ていたので、真ん中にストレートで撃つよりは、ちょっと右斜め前において巻いた方が獲りづらいと思った。右を向いて左に蹴ればGKは獲りづらいし、それを意識した」とゴールシーンを振り返った。すごく冷静でイメージどおりのゴールだった。
そして「(川崎戦)シュート1本だったし、攻撃という攻撃はなかった。練習試合で相手がどうであれサブのメンバーは、スタメンで出たい野心は強く持っている。そういった意味でゴールに向かっていく迫力は、今日のゲームで見られたと思う」と話し「去年、(試合の)メンバーに入れなかった時に、シュート練習は結構やってきた。自信も付いてきたし、やってきたことが試合にでるんだなと思った」と本当にうれしそうに笑ったのだ。
一番野心を抱いていたのは、ひょっとしたら柴戸選手だったのかもしれない。
「1年通して成長をし続けたい。レギュラークラスの選手ではない。代表に入り、代表でレギュラーを獲るために、浦和でまずはレギュラーを獲らないといけない。レギュラーを獲るためには、周りの選手たちよりもやらないといけない。もっともっと成長できる伸び代がある。周りの選手との距離を縮めながら追い越していきたい」と日本代表入りを視野に入れて、レギュラーをつかむ獲る姿勢を見せたのだ。
プロ2年目にして、柴戸選手から初めて聞いた日本代表を意識した言葉であった。しっかりとレギュラーをつかむ野心こそが、柴戸選手の大きな成長の肥やしになっていた。
Q. 昨シーズンの天皇杯優勝後に青木拓矢選手が、肘を剥離骨折していたことが明かされました。肘を剥離骨折をしていても激しくプレーができるのでしょうか?
A. 剥離骨折をした場所にもよると思います。衝突して小さな骨折がおきる場合や脱臼して骨が剥がれてしまう場合があります。サッカーの場合、肘を伸ばしたままで手を着いてしまい肘を脱臼してしまうことが多い。肘を脱臼してしまうと、内側側副靱帯が切れることがあります。そのときに、小さい骨が剥がれることがあります。靱帯が切れた時に、骨ごと剥がれてしまうのを裂離骨折といいます。また、橈骨頭(とうこつとう)が折れることもあります。ひょっとしたら、脱臼による裂離骨折だったのかもしれません。肘を曲げたまま固定をすれば、サッカーができないことはありませんが、かなり痛みをともないます。
川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
川久保整形外科
http://www.kawakubo-clinic.jp/