浦和フットボール通信

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荻原拓也が虎視眈々とチャンスを狙う「とにかく埼スタでの試合に出たい」【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

2年目のジンクスを撃ち破れ!

試合に帯同するメンバーの中には、万が一のことに備えて予備選手がいる。スタメン11名、ベンチ7名以外の選手だ。ハプニングが起こらない限り、試合は観客席で見ることになる19番目の選手だ。ACLグループステージの全北現代戦のアウェイで、この19番目の選手になったのは荻原拓也選手であった。

「練習の感じでは、メンバーに入れるなと思った」と試合前日の練習では良い感触があった。だが、荻原選手に告げられたのは、スタジアムに入ってからメンバー外であった。

「見ているのはもっと上だが、帯同できた。ちゃんと自分の現実を認めないといけない。そういった意味では、進歩だ。俺自体、やれるよという姿を見せることが大事。腐ったらダメだ。チームの状態が悪くて、自分が試合に絡めない。その中でメンタル的に高い目標をもってやれば良い」とベンチにも入れず悔しい気持ちがあるにも関わらず、澄んだ目をして前を向いた。そして「もし試合に出たら、中盤のところでトップ下あたりで出る。相手も疲れているし、1、2枚(DFを)剥がせると思った。オープンな展開なら点に絡む仕事ができる」とイメージを膨らませて帰国していたのだ。

昨シーズンYBCルヴァンカップ初戦となった名古屋戦で、ピッチで躍動し2ゴールを決めてセンセーショナルなプロデビューをした荻原選手。興梠慎三選手からの浮き球をペナルティーエリア内に斜めに走り込んで得意の左脚でダイレクトにシュートを放った。さらにDFの背後を狙い、スピードに乗ったドリブルシュートも圧巻であった。荻原選手のスピードに乗ったドリブル突破と利き足の左からの正確なパスやクロスは、浦和を愛する人々の心をわしづかみにしたのだ。ただ、プレーに波が出てしまいレギュラーを獲得するところまでは残念ながらいかなかった。でも伸び代の大きい選手であることは間違いない。

「1年目とは違った雰囲気でシーズンが始まった。今シーズンは、レギュラーをつかむ!それでタイトルに貢献するんだ」と意気込んでシーズンが始まったが、荻原選手が思い描いていたような開幕を飾ることができなかったのだ。横浜FMから荻原選手と同じ左足を得意する山中亮輔選手、更に山形からドリブル突破を武器する汰木康也選手が加入した。激化するポジション争い。

「練習から見せないといけない」と必死になる荻原選手の中に、少々焦りがあるようにも感じるシーンが練習中から見え隠れしていた。「活躍したい」「活躍しなければいけない」とまるで2年目のジンクスに陥ってしまったようにも思えた。

3月の代表ウィークでは、内転筋に痛みを抱えながらもU-20日本代表の欧州遠征に向かった。しかし、痛みがある中で最高のパフォーマンスを見せることが出来ずに「怪我をしながら行って、結局ダメで・・・。帰ってきてやれなかった」と悪循環になってしまった。

荻原選手は、悔しそうに「もちろん代表に選ばれることも大事だが、浦和が一番なんだ。チームで試合に出ていなくて、代表に行くのもチャンスだと思うけど、まずは、チームだ。浦和で試合に出ることだ。とにかく埼スタでの試合に出たい。その気持ちがメチャ強い!」と話し「選ばれるものであって、俺が出たいと言って出れるものではない」と、とにかく浦和で活躍するために、何とかメンバー入りすることに躍起になっていた。しかし、はやる気持ちを必死に抑えた。メンバー外で一緒にやっていた鈴木大輔選手や山中亮輔選手、岩波拓也選手の活躍する姿が荻原選手の励みになっていたのだ。

「刺激になっている。うれしかった。俺もそういう風になりたい。急に怪我をして出番が回ってくるとか・・・。チャンスは必然的に来る」と意気込んだ。試合に出場チャンスが来たら、得意のドリブルでスタジアムを湧かしてくれるだろう。想像するだけでも心が躍った。

荻原選手は「相手がバランスを崩して倒れちゃうぐらいのイメージ。良いドリブルした時、相手がこんな感じで」と後ろに重心をもっていきのけ反る仕草を身振り手振りで説明し「参考にしている選手は、ないんだよ。ベイルみたいな感じも良い。ダーンって感じで、相手が疲労していたらダーンで行ける。あれができたら、味方は楽だ」とうれしそうに笑った。

時速36.9㎞と世界最速のドリブラーであるレアルマドリードのFWギャレス・ベイルのプレーもイメージしていた。荻原選手のスピードに乗った独特なドリブルは、キュキュッと左右に切れのある動きからだ。体幹が優れていないと難しいし、脚力がないとできない。軸がズレない。しなやかで、かつスピードがある。そうかと思えば、ベイル選手のように一気に駆け抜けることもできる。

2年目のジンクスを撃ち破る強烈な武器を荻原選手は持っている。その力を発揮する機会は、必ずやってくるはずだ。そして、浦和を愛する人々の心を魅了してくれるだろう。

Q. 「反復性脱臼」にならない予防法はありますか?

A. 「反復性脱臼」を予防するのは、なかなか難しいです。ナバウト選手も脱臼して手術していますよね。関節は、靱帯や関節の袋で押えられています。それを周りの筋肉で補強するのは難しいです。基本的には、腕立て伏せで腕の前側の筋肉の大胸筋を鍛えたりしますが、本当に脱臼した初回の治療が大切なのです。肩を脱臼して3週間ぐらい固定をしますが、それを怠り「もう大丈夫だから」と言って動かしていると関節が弱くなります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科
http://www.kawakubo-clinic.jp/

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