浦和フットボール通信

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終盤戦に向けて大槻毅監督が抱える思い【河合貴子のレッズ魂ここにあり!】

J開幕から浦和レッズを追いかけている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

浦和を勝たせる重責を背負って

季節外れの厳しい残暑が休息し、各地に大きな被害をもたらしたスーパー台風19号が駆け抜けると、一気に秋が深まった。深まる秋とともにリーグ戦の終盤で失速したペトロヴィッチ監督時代が懐かしく思えてしまう。J1残留争いの渦中にいる今の浦和の現状を思うと心が痛くなった。

オリヴェイラ監督が浦和を去ったときに、興梠慎三選手や槙野智章選手をはじめ選手たちは「この夏で、どれだけ勝ち点を積み上げられるか」と再起を誓い身を引き締めていた。夏が来る前のことだ。

まさか8試合もリーグ戦未勝利が続くとは思ってもいなかった。10月6日に約3か月ぶりにリーグ戦で清水に勝利をしたとはいえ、決して良い状態に戻ったとは言い切れない。浦和にとって、今年の夏は残暑と同じように厳しいものであった。

7月20日に磐田戦で勝利を収めた後の、中断明けの鹿島・名古屋・札幌の3試合を勝ちきることができたら、選手たちは自信を深めて勝利のメンタリティーを持つことができ、大槻監督のサッカーも浸透していくことができただろう。シーズンの途中でチームを率いることは、本当に難しい。特に浦和の場合は、どこのクラブよりも結果を求められる。

就任当初に大槻監督に課せられたのは、ACL優勝・リーグ優勝・若手の育成の3つであった。チームの土台作りをしながら、この3つが重くのし掛かったのは言うまでもない。

大槻監督は「土台のところも含めてきちんと立てるような、しっかりとした分厚い土台を作りながら、立っている立ち姿を良く見せなければいけない。その作業をしている途中で、毎週試合があって、その試合でまず勝ち点3を目指して、取れたら一番良いし、取れても取れなくても、次に進むために戻るべきところを作り出しながら、選手と共有しながらやっていくことが大事だ」と話したことがあった。

そして「自転車にパッと乗れるようになったらずっと乗れるじゃないですか。でも速いスピードでカーブが曲がれるのか、加速を速くできるのか、きちんと止まれるのかということを僕たちはやっていると思うんですよ。できるようになったからといって、それでいいわけではなくて、その精度を上げたり強度を上げたりする作業だと思う。その提示したものをより高い強度だったり、時間の中でできる回数を増やしたりだとかというところ。自転車に乗るというところを、みんなで共有しなければいけない」とチーム作りを自転車に例えた。

自転車は1人で乗るものだが、ピッチに立ち11台の自転車に乗った選手たちがクオリティーやインテンシティなどが高く攻守において連動していくことをイメージすると、大槻監督が言わんとすることが良く分かる。

『ローマは1日にして成らず』という故事があるが、『浦和の栄光も1日にして成らず』なのだ。とにかく毎日の練習の積み重ねしかない。

ただ、練習はどのクラブでもやっていることで、当たり前のことだと思ってしまう。この当たり前のことを積み重ねながら、チームを勝利に導くのが監督の役割だ。監督は、現状の戦力を考慮し、戦術面はもちろん選手起用を含めて重責を担う。

大槻監督は、分析力に定評があり長けている監督だ。連戦が続く中で後方からの攻撃の組み立てを期待して、森脇良太選手の特長を生かし3バックの真ん中で起用したこともあった。結果が出ていない中でも、少しずつであるが大槻監督が求めるものが見え始めてきた。

敗戦を喫すると、「選手に闘う気持ちが見られない」などと浦和を愛する人々の心の叫びを耳にする。負けようと思ってピッチに立つ選手は1人もいない。しかし、勝ちたい気持ちだけではどうにもならないこともある。

そこをうまくコントロールして勝利に導くのが監督だ。夏のある日、大槻監督は「すべては、監督の責任だ。大槻が悪い」と書いて下さい」と言ったことがあった。しかし、その目は笑っていなかった。むしろ、ここから勝たせるチームにしてやるという強い意志を感じさせる目であった。

夏の終わりに試合前日のみの非公開練習へと変わった。練習を見ると大槻監督が求めるサッカーが見えてくる。前線からプレスを掛けてDFラインを押し上げてコンパクトにし、サイドは個人技の突破だけでなく、コンビネーションから攻撃のバリエーションを増やす。楔の縦パスも同じだ。DFの背後を突く動きも要求されていた。それを如何にチームとして同じ絵を描き具現化することができるかだ。

本当に浦和にとって、ここからが正念場だ。大槻監督としても腕の見せ所だ。J1残留争いの渦中から抜け出し、残された、ただ1つのタイトルであるACLを奪還する。

浦和が抱えている多くの問題は、シーズンが終了してから明確にして改善すれば良い。今は、目の前の試合ひとつ、ひとつに浦和を愛する人々と共に集中し勝利するのみだ。浦和が本来の強さを発揮するときは、浦和を愛する人々とひとつになれたときである。言いたいことは山ほどあるがグッとそれを飲み込んで、とにかく迷い無く突き進むのみだ。勝利に向かって!

Q.踵の怪我について教えてください。

A.踵は、ふくらはぎから後ろ側にアキレス腱がくっついています。アキレス腱が炎症を起こすアキレス腱付着部症の場合もあります。また、踵の裏には足底腱膜があります。例えば、足はアーチを作って弦が張っているから体重が掛かるときの支えになっているのです。この弦が、足底腱膜です。踵の裏で内側に痛みがある症状は、足底腱膜炎という病気が多いです。バスケットをしていて、踵で着地をしていて踵の疲労骨折をすることもあります。また、骨の中に傷がつく骨挫傷もあります。サッカー選手で多いのは、フットボールアンクルです。「アキレス腱が痛い」とい方の多くは、足関節後方インピンジメント症候群の可能性が高いです。踵が痛いといってもしっかりと検査をする必要があります。

川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。

川久保整形外科
http://www.kawakubo-clinic.j

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