浦和フットボール通信

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【This WEEK】週刊フットボールトーク(11/10)

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:先週木曜日は、ジュビロ磐田との対戦がありました。リーグ戦も余すところ4戦。是が非でも勝利したい試合でしたが、完敗に終わりました。サポーターもこの一戦にかけて、ゴール裏にハートの12を描くビジュアルを展開して、最大限のサポートをして勝とうと試みましたが、想いはかないませんでした。

豊田:キックオフ前に甲府敗戦のニュースが客席にも広がっていて、「今日勝てば5ポイント差でラクになる」という気分はありました。こんな計算ずくの空気がピッチ上に流れ出さなければ良いなという思いも確かにあったけど……。でもこれはレッズ支持者として今季も応援を続けてきたファンにしてみれば当然の心理と思いますよ。逆にそういう場面で「安心しろ、俺たちだって必死なんだ」というメッセージが見える横浜戦みたいな試合がもうひとつ出来れば、レッズは一気に屈辱的な生き残りレースから抜け出せると思うんだけどな。

椛沢:ナビスコ決勝が直近にあったことでの肉体的、精神的ダメージはあったのかと思いますね。球際での勝負でほとんど勝てなかったですし、先制点の失点でも集中力のかいたプレーが見えました。なぜにこんな重要な試合で戦えないんだと憤るサポーターも多かったと思いますが、経験者のOBに聞いても、決勝のテンションからのモチベーションの維持は想像以上に難しいようです。その中で、したたかにプレーをする経験も現状のチームには持ちあわせていなかったというのも現実ではないかと思います。

豊田:啓太と直輝というキープレイヤー不在の中で、小島くんの役どころと峻希の立場はかなり厳しかった。個人的な頑張りだけで打開できるようなポジションではないだけに……。

椛沢:サッカーの内容においても、チーム力、経験の差を露呈してしまったところがあるかと思います。堀監督が掲げる4-1-4-1におけるサッカーのウィークポイントを磐田には見事につかれてしまった。先日、大原練習場で堀監督の指導も見てきましたが、一からサッカーを構築している様子でしたので、この時期において、またサッカーを構築しないといけない厳しさを正直感じてしまいました。個人的には、もちろん展開するサッカーも重要ですが、もっとベーシックな部分での個人での勝負、球際で一対一に負けない。ゴールを決める意志。そんなワンプレーワンプレーでの気持ちが残り3戦という状況では重要なのかと思います。磐田戦のような試合を二度としてはいけない。

豊田:確かにそうなのだけれど、あのゲームを見る限りレッズは現場全体としての堀監督のバックアップ態勢をもっと高い次元で固めて欲しいという印象は持ちました。特にスカウティングなど、短時間で可能な対策は徹底させて欲しい。掘監督は2週間前まではトップチームのリーグ戦情況よりも、将来の才能育成に専念していた人材なのですから。プレー特性がハッキリしていて対戦経歴も長い前田遼一に、あれだけ何度も盲点に入り込まれたのは問題でしょう。テレビ観戦ですが降格が決まった山形が磐田と引き分けに持ち込んだ先月のゲームを見たのですが、彼らにしても守りの駒が少ない中で前田がらみで山崎と山田大記に突破させる磐田のお得意スタイルを苦しみながらも消しているんですよね。鹿島戦もそうだったが、相手はしっかりレッズの軸の部分を探して潰しに来るわけです。対抗できる情報を共有する機能が働いているか否か。レッズが残留に踏みとどまるためにはそこが重要な条件であることをチーム全体で認識して欲しい。それが出来なければ監督を変えた効果がまたしても薄れてしまうと思う。

椛沢:次節の仙台戦は、勝ち点3を死に物狂いで奪いに行かないといけないと思います。その後の最下位の福岡は降格も決まり、逆に厄介な相手になるでしょうから、仙台を叩いて、福岡は引き分けでも良いくらいの状況を作っておきたい。仙台は、今季最も負けの少ないチームですから、サポーターも含めて本気で勝利を目指さなければ勝ち取れないでしょう。スタジアム中の雰囲気で仙台を飲み込むぐらいのことをして、みんなで勝ち取りましょう。

レッズの話題から離れて、浦和フットボール文化を表す「第11回浦和4校サッカーOB会」が先日開催をされて、私も取材に行って来ました。浦和高校、浦和西高校、浦和市立高校、浦和南高校のそれぞれ全国制覇を果たしている4校のOBが一同に介して、ボールを蹴るというイベントです。数十年経っても全国で活躍したOBの皆さんのプレーぶりは凄かったですね。“浦和はレッズが来るずっと前からサッカーをやっていたんだ”と自負するOBの言葉は相変わらず重かったです。レッズに足りない部分をこの会でも感じることが出来ました。

豊田:個人的に凄く思い入れがある催しなのですが、08年に駒場の第二グラウンドで取材させていただいた第8回交流会が特に思い出に残っていますね。ちょうどメインスタジアムの方では高校選手権県予選のトーナメントが佳境を迎えていたのですが、高校チームの指導に当たっている方々がその歓声を聞きながら複雑な表情をしていた。「本当は今日はあの聖地の方で教え子たちとピッチに居なくてはならん立場なのです。今日は先輩たちに顔向けが出来ない」と……。我々もこういうURAWAのスピリットの伝承は、絶えることなく発信していかなくてはならないと思っています。

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