浦和フットボール通信

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【This WEEK】週刊フットボールトークVol.69(12/29)

椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)

椛沢:もう年末ですね。浦和レッズは先週末の天皇杯・FC東京戦に敗れてシーズンが終了してしまいました。2週連続の熊谷に多くのサポーターが集まりましたが、試合は今季を象徴するような試合で、FC東京の激しいプレッシャーに太刀打ちが出来ず、パスを繋げどゴールへの形が見えず、0-1の敗戦となりました。パスを繋ごうとする意識は良いのですが、得点を決めるんだという強い意志がどの選手にも見えなかったのは残念でした。特にカップ戦は勝たなければ意味がないわけで、そこが欠け落ちて繋ぐことが目的になってしまっているような試合でした。来季に向けてゴールを決められる、勝負を決められる選手の存在が必要不可欠になってくる。もう何シーズンもそこが課題なわけですが、その課題が払拭できないと成績を収めるのが難しくなってくると思います。

豊田:熊谷からの実況を聴ける市内の某所にいたのですが、周囲の市民やサポーターの方たちの反応は「仕方がない」「望んでもいないだろうが、寒い熊谷まで参戦した人たちを慰労したい」という内容が大半だった。非常に残念なことなのですが、ある意味淡白に過ぎるこの反応を私自身も否定することができませんでした。で、このエピソードを仕事関連の忘年会で顔を合わせたFC東京ファンの人たちに話したら、やはり一様に驚いた様子をするのです。「ウチをあんなにカモにしていた浦和が、(J1の立場で)負けて“仕方がない”はないでしょう」と……。第三者的にレッズを観ている他クラブのサポーターにとっては、レッズサポーターがそこまで覇気を失っていることが異様に映るということなのだと思います。ですが、ここから先はレッズを支持する当事者にしか分からないし、知らせるべきものでもない。話はそこで途切れさせるしかありません。

椛沢:我々サポーターも淡白になってはいけないですね。FC東京に対して負けて仕方ないという気分は、来年に引きずりかねない。来季こそ、我々は死んでないという所を熱く見せていきましょう。

豊田:編集長の言われる意図も分かります。しかしあれほど毎年の監督交代を指摘されてきたチームが、「継続」を強弁したままシーズン途中に監督交代、GMも交代という現実ですからね……。リアルに選手の立場を想像してみれば、変化のたびに現場に波及する混乱やモチベーション維持の難しさは言葉には尽くせないものがあったはず。こうなってくると、安易に選手やサポーターのモチベーションや意識の低下などを指摘することに警戒心が働き、その自省自体に意味を見出せなくなるのです。よって如何にレッズに思い入れがある支持者をしても、出てくる言葉は「仕方がない」「参戦した人たちを慰労したい」というものしか無くなってしまう。あの東京戦の試合内容は、こういう今季の我々の位置を象徴するものだったのではないでしょうか。

椛沢:その気分は分かります。レッズのシーズンは終わってしまったわけですが、地元のサッカーに目を移すと、浦和東高校が6年ぶりに選手権の舞台に登場をします。浦和東は、地元で育った子がひたむきにサッカーをプレーしていて、忘れたものを呼び起こさせるかのような清々しさを感じさせてくれます。31日の初戦・那覇西戦を前に、野崎正治監督にお話をお伺いしてきました。

豊田:野崎先生が予選決勝の後に大山先生と再会されたというエピソードには驚きました。非常に意義の深い大会前のコメントをいただけたと思っています。多くの高校サッカーファンに読んでいただきたいですね。

椛沢:この配信は1月4日号は年始休業を頂きまして、11日号から配信を再開させて頂きます。新年は一年間、浦和フットボール通信で取材した中から心に残った名言を紹介しながら、新たな一年に向けてスタートをしていければと思っております。来年も宜しくお願いいたします。

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