浦和フットボール通信

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ミハイロ・ペトロヴィッチ「しっかりとした土台を創る」


質疑応答
Q.過去二人の監督の下で積み上げられてきたもの、または出来なかったことがあるとしたら何だったと考えますか。これからに繋げていく上で教えて頂けますか。

ミシャ:まず第一に私の同業である、どの監督さんに対してもリスペクトをしている。どの監督さんも素晴らしい仕事をしていると思います。それぞれの監督さんがベストを尽くして頑張ってきたと思いますけれども、自分の仕事が成功をしていくかどうかは、色々なことが関係して、からみ合ってうまくいくかどうかに関わってくると思います。それぞれの監督さんにサッカー哲学があって、自分自身のトレーニングのやり方があると思います。私自身アドバンテージがあるのは日本で6年間仕事をしていますから、浦和というチームもある程度知っていること、日本という国のメンタリティも6年間で学ぶことが出来ました。前に浦和で監督をされた方は、日本に来てすぐに仕事をするところで難しいところもあったと思います。私自身、外から浦和を見た中で思うことを、しっかりした個人能力が高い選手が揃っていると思っています。その選手達をチーム戦術の中で機能をさせていくか、うまく噛みあわせていくかをやりたいと思っています。

Q.今の浦和の選手を見て、どういったサッカーを進めていくのか。攻撃的なサッカーなのかしっかり守るサッカーなのか。そういったサッカーを進めていく上で、具体的な目標を掲げるのか教えて頂きたい。

ミシャ:どのチームの監督もバルセロナのようなサッカーをやりたいと思うはずですが、それをやることは簡単なことではありません(笑)。私の志向するサッカーはすごく複雑です。私が考えるサッカーは運動量が多いことを求めますし、その上で考えながら走らないといけない。次の状況を考えてコンビネーションをもって、たくさんのことが複雑に絡み合う中でやっていかないといけない。それをやることは簡単な話ではありません。私自身も選手達もそういったものを積み重ねてやっていくことは時間が必要だと思います。浦和の選手は個人能力が高い選手が揃っていると思います。その個人能力の高い選手達をチームの戦術の中で組み込んでいくかということは難しい課題だとは思いますが、私自身楽観主義でやっていますけど、出来るだけ早くチーム戦術を選手達に浸透させていきたいと感じています。浦和においては1試合に3万人、4万人、多くて5万人以上のファン・サポーターがたくさんいるクラブであるので、そのファン・サポーターは1試合をただ勝てば良いということを求めてくるとは思いません。そういった方々に攻撃的で魅力あるサッカーを見せたいと思っています。皆さんが浦和のサッカーはこれが浦和のサッカーだとイメージできるものを私たちは創り上げていきたいと思いますし、そのために努力をしていきたいと思います。それをやり遂げるためには日々のトレーニングが重要であると思います。

浦和をとりまく環境がすぐに結果を求めたり、良いサッカーをすぐに求めたりされがちですが、我慢が我々にも見る側にも必要だと思います。もちろん監督としてそのような環境の中でやっていかないといけないのは厳しいのですが、魔法はない。魔法をかけて一日ですぐに出来上がることはないので、積み重ねることで出来上がってくると思います。浦和というチームが魅力あるサッカーをするということが我々に課せられた義務だと思います。なぜなら浦和というチームが日本で最も観客の多いクラブであるからです。

具体的な目標については選手達とトレーニングをまだ始めていませんので、もう少し時間を下さい。私自身、監督として多くのことを皆さんに約束することはないです。一人の人間としてチームの監督として、もちろん常に優勝を目指すことは誰もが思っていることだと思います。その夢は社長も強化部長も持っていると思います。ただ我々が置かれている現実は昨年15位に終わったチームであり、再びチームをベースに築いていく段階であると思います。少しそのへんに関しては時間を頂きたいと思います。

橋本代表:目標に関しては、監督とは昨年からチームの状況とか、今までのことを踏まえてクラブがどう考えるかという話をさせて頂いてきています。リーグ戦で15位だったということが正直な結果で、その中で新しい監督を迎えて、多くの人に夢と希望を与えるようなチームをもう一度再建のスタートに立つんだという思いです。日々の大原練習場でチームがどう進歩していくかということが大きな目標でもあるし、それをスタジアムでどう表現出来るかということが大きな目標になると思います。監督と同じ回答で申し訳ないですが、そのような話をしています。

Q.レッズから最初にオファーが来た時はどんなお気持ちだったのでしょうか。

ミシャ:私は正直な人間なので正直なことを話しをします。広島で過ごした時間は私にとって私の家族にとって夢のような素晴らしい時間でした。その仕事を始めた2006年のシーズンは浦和レッズがリーグ優勝をした年でした。その優勝したシーンをテレビで見ていて、日本でこれほどのことが起こるのかと感じた。私にとってはバイエルン・ミュンヘンやレアル・マドリッドが優勝した時のような雰囲気をテレビで見ることが出来ました。その時、私の夢はいつか浦和の監督になることだと思いました。山道さんが広島にきてオファーをしてくれたのですが、山道さんが差し出してくれた手を片手ではなくて両手で出しました。これは本当の話です。2006年のリーグ優勝した時の写真をロッカールームで掲げて、選手達は常にそれをイメージしてトレーニングをしてもらいたいと思います。

Q.来週から始まる1次キャンプではどのような目的で行うかを教えて頂きたいです。

ミシャ:どのチームもそうですが、最初はコンディションを中心にやっていきたい。ボールを使っていくことのコンビネーションでやりたいとは思いますが、まずはコンディションを上げていくことです。私はサッカーで大事なことは走ることだと思っています。どの選手も走らないといけない。その後に求められるのは、どのように走るかということ。3時間走り続けても効果的でない選手がいる。大切なことは如何に走るか。相手にとって危険なところに走るかということが大切です。どこに走るかということに関しては考えなければ出来ない。あとは走ろうかと考えても走らない選手がいる。考えないで走りまわる選手も良くない。考えるけど走らないことも良くない。頭と足が常に機能していなければならない。今日のサッカーをやる上ではインテリジェンスが求められる。大切な要素だと思います。

Q. 選手に何を求めるか。クラブに何を求めているかを教えて頂けますか。

ミシャ:私自身、サッカーの考え方としては名前ではサッカーが出来ないということ。まずはどの選手にもチームプレーに徹してもらいます。一人の選手だけで試合を決定づけるという選手は私のチームにはいない。チームで戦い、チームで勝ち、チームで負ける。あとは選手にはインテリジェンスを求める。我々がやるサッカーは考えてやらないといけないので、ピッチの中でのインテリジェンスが求められる。ひとつの状況においてひとつのアイディアでは足りない。3つくらいのアイディアを持ってプレーをして欲しい。選手達にはそんなことを求めたい。

私は社長、強化部長、クラブの皆さんに大きな支援を受けました。クラブの方は私に対してこうしろ、こうして欲しいというマストのことは言われたことは一度もない。こう思うけど、どうですかというお互いの中での話し合いで物事を進めることが出来ています。
もし我々が良い家を建てたければ土台が必要です。良い土台が出来れば、1階建、2階建、3階建の家を建てても大丈夫です。土台がしっかりしていれば上に高いものを作ることが出来ます。土台がしっかりしていなければ高く積み上げた時にそれは倒れてしまいます。我々は土台というチームをしっかり作って、上に積み上げていきたいと思っていますし、クラブともそのように話をしています。

Q. 監督が選手と接する上で大切にしているものがあれば教えてください。

ミシャ:指導者はふたつのタイプに分かれると思います。ひとつのタイプは上から物を見て、選手を縛って、そのことによって選手からのリスペクトを受ける。もう一つは自分のピッチの仕事で選手からリスペクトを受けるタイプに分かれると思います。私は選手がこの監督から何かが学べるんだと思ってもらえるように指導をしていきたい。私のトレーニングは選手にすごくハードにやらせます。しかし練習の前、後は選手ために24時間があると思っていますし、サッカーのことだけではなくプライベートなことでも何か選手から話があれば、私のところに来てくれれば良いとオープンに接していきたいと思います。

広島時代に柏木には手を焼きました。何回かトレーニングから外して帰したこともありました。彼は分かったことは私が厳しく接しましたけど、彼にとって良いことであると分かっていたはずです。3試合くらいスタメンで出た後にビックプレイヤーになったような勘違いをして、私がトレーニングで指導したことの逆をやるようなことをしたので、私自身、彼に厳しく接しました。厳しく接する中で、私自身から学んでくれることがあったのではないかと思います。
サッカーは日々の仕事である。サッカー選手は毎日毎日自分が出来ることを証明していかないといけない厳しい職業です。3年連続でタイトルを獲っても、次のシーズンで4試合連続で負ければ、この監督はダメだと烙印を押される可能性がある。だからこそ、私も含めて選手も毎日毎日、出来るんだということを証明しないといけないのです。サッカーは過去では生きられないスポーツです。

Q. これはミシャ監督の責任ではないですが、浦和レッズ4シーズン低迷をしてファン・サポーターは我慢をしてきたと思います。土台作りについてもこの間に、この席で何度も言われてきた中で、少なからずまた土台作りなのかと思うファン・サポーターもいると思いますが、そういったサポーターに向けて言いたいことはありますでしょうか。

ミシャ:前に就任された監督もしっかりとしたベースを創っていきたいと言ったのではないかと思いますが、私自身が、それについてどうコメントして良いか分からないところはありますけれども。私自身も現実を見つめていて、浦和で働く以上、あまり時間はないと感じています。ただ、私自身が言えることは、ファン・サポーターの皆さんが見て、このチームは進んでいるということを見てくれれば良いと思います。練習を非公開にしない方針なので、練習場でやることをしっかりと見てもらって、我々がどういう方向に進んでいるか、その方向が正しいかを確認してもらえれば良いと思います。

私自身、確信していることは我々はこれまでと違うサッカーをやるということ。サッカーなので負けることはあると思いますが、負けても納得できる。この内容で負けたなら仕方ないと思えるものを作れるのではないかと思っています。サッカーですので、すべての試合に勝つことは不可能です。ただ負けることがあっても、どのように負けたかということが大事になってきます。チームは例え負けることがあったとしても常にベストで戦う姿勢を取ることが我々は出来ると思います。もちろんたくさん負けてもらっては困りますが。

Q. 開幕戦が、古巣のサンフレッチェ広島との対戦となりますが、それについて思うところはありますか。

ミシャ:サッカーというもの自体を考えれば素晴らしいことだと思います。広島は素晴らしいチームだと思っていますし、開幕戦までに浦和も良いチームを作れると思っています。開幕戦での対戦の中でたくさんの注目を集めて興味深い試合が出来るのではないかと思います。そのような舞台があるのは素晴らしいことです。

 

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