【This WEEK】週刊フットボールトークVol.72(1/27)
椛沢佑一(浦和フットボール通信編集長)× 豊田充穂 (コピーライター)
椛沢:浦和レッズはチームが始動して、既に宮崎でのキャンプが行われています。ペトロヴィッチ新監督の下、どんなチームが創り上げられてくるのか楽しみですね。ペトロヴィッチ監督も言っている通り、“考えて走る”という当たり前のようで難しい戦術を採る中で彼が選ぶイレブンは誰なのか色々と気になるところです。その他、新ユニフォームの発表なども行われ、いよいよシーズンが近づいてくるという感じですね。
豊田:監督はさかんに「一夜にしてチームのサッカーを変貌させることは無理だ」という意味のコメントを発しています。いつか聞いたような台詞ですが(笑)、かつての専門紙でのインタビューでは「自分の指導する戦術はたやすくチーム内で継承できる種類のものではないが、時間が与えられるなら一定の成果は責任を持って出す」という趣旨の談話も発している。スター選手や大型ストライカー入団のような華やかさはありませんが、このような指揮官の交代劇はURAWAのサッカー好きとしては興味が尽きません。というか、「見逃してはいけない」クラブの岐路と思いますね。レッズというクラブが、このような指揮官を使いこなし処遇することができるのか……初めての事ではないのですから。シビアな言い方になりますが、組織として学んだはずの経験は活かされるのか否か。じっくり見届けさせてもらいましょう。
椛沢:そして補強についても最後の動きがあり、槙野、ポポの獲得に続き、阿部勇樹のイングランド・レスターから1年半ぶりに復帰することも決まり、先日復帰会見も行われました。
豊田: 移籍してきたメンバーも含め、ミシャ監督のリーダー流儀を分かっている選手がようやく軸にそろってきた印象があります。その意味ではぎりぎりのボトムラインを彷徨った昨季に比べれば、ある程度の計算ができるキャンプ始動となったのではないでしょうか。ただ、「看板だけが代わった」レッズにしてはいけないのです。そうさせないためには、支持者の立会いは欠かせない
はず。レッズサポーターはこのようなシーズンだからこそ、責任を持ってスタンドに参戦するべきと考えます。日本のトップリーグに踏みとどまった自分たちのプロクラブがどのように変貌したのかを、スタンドから自分自身の眼で見とどけましょう。
椛沢:ミシャ監督も新加入選手も同じ発声をしていますが、浦和レッズに関わる全ての人が同じ方向に向かって進んでいくことが大事であるということ。これを我々も肝に銘じて、浦和レッズの再び創り上げていきながら応援をしていく意志が必要でしょう。阿部選手は、多くを語るタイプではないですが、会見でも「浦和復帰については相当な覚悟で決断をした。パフォーマンスがベストな時に帰ってきて、まだ自分自身が何も残せていない浦和で全てをかけて頑張りたい」という強い気持ちを語っていました。会見で「自分がダメなパフォーマンスを見せたら、どんどんブーイングをしてくれ」と言ったコメントも阿部選手らしいというか、浦和の男らしいコメントだと印象的でした。ペトロヴィッチの“考えて走るサッカー”もオシムに指導を受けている彼であれば、すぐに順応が出来るでしょうから、チームを創り上げていく上での大きな戦力になってくれると思います。サポーター的にもそれだけ強い気持ちを持って帰ってきてくれたわけですから、彼と一緒に多く喜び合えるべく、共に頑張りたいという気持ちが強くなりますね。
豊田:阿部選手についてはACL制覇の際のトーナメントラウンドのプレーぶりが忘れられませんね。タイムアップ後には自力で立っていられなかった状態までチームメイトやサポーターとともに戦った際の感覚を、もう一度プレーヤーとして体感したい思いが強いのだと思います。今季は若手のプレーヤーたちにとっても正念場が来るはずです。彼がどのような気持ちでURAWAに帰
ってきたかを、同じピッチの上でしっかり吸収して欲しいと思います。
椛沢:チームは宮崎キャンプを行った後、浦和に帰ってきてトレーニングを行い、2月に指宿でのキャンプを行い、来たるべき2012シーズンを迎えることになります。