浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「思いはピッチで返す~野田紘史選手」(4/6)

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

ナビスコカップ・ジュビロ磐田戦で決勝点を与えるミスを犯してしまった野田選手。彼への激励へのメッセージ。

春の嵐が通り過ぎた4月4日、ヤマハスタジアムで行われたナビスコ杯Aグループ第2節磐田戦は、両チーム合わせて7ゴールも決まる目まぐるしい展開となった。前日からミーシャ監督が警戒していた駒野選手と前田選手のホットラインで前半7分に磐田に先制点を許すも、前半34分小島秀仁選手が、プロ初ゴールとなった思いっ切りの良いシュートを決めて同点に追いつき、終了間際に相手のオウンゴールを誘うマルシオ選手のFKで逆転。前半を2対1で折り返した。これでチームは後半、楽に闘えると思っていたが、試合は甘くは無かった。再び、2ゴールを与えて、磐田にリードされるが、後半34分に高橋峻希選手のヘディングゴールで試合を振り出しに戻した。試合はどちらに転んでもおかしくない展開の中、思わぬ形で勝利を手にしたのは磐田であった。後半37分、浦和のDFラインでボールを回しながら、攻撃の縦パスを入れるタイミングを見て野田紘史選手がボールを前に持ちだした所を、山田大記選手は見逃さなかった。野田選手からボールを奪い、そのままドリブルで持ち込み冷静にゴールに流し込んだ。これが、決勝点となり激闘に終止符を打った。

試合終了のホイッスルが鳴ると、野田選手はしばらく顔を上げる事が出来ずにいた。山岸範宏選手が助けて、起こしに駆け寄って行ったが、ピッチには男泣きに泣いた野田選手がいた。零れ落ちる涙を拭い、サポーターに何度も、何度も頭を下げた。そして、空を見上げたが涙は止まる事はなかった。

試合後、野田選手は「試合を台無しにしてしまいました。最初に失点したが、前半で逆転して物にしたいゲームを僕ひとりのミスで台無しにしてしまいました」と目を真っ赤にしながらも、しっかりとした口調で話した後に「ナビスコ杯の予選。今季、僕の初出場の試合だった・・・」と唇を噛みしめた。試合に出場するために、日々努力を重ねて、いつでも出られる準備を怠らずに、野田選手は練習に取り組んで来た。やっと巡って来た試合出場のチャンスで勝利に貢献したかった思いは人一倍強かった筈だ。

フットボールは個人スポーツとは違う。チームで闘っている。確かに、あの失点シーンだけを切り取って見れば、野田選手のミスだ。90分通してどうであったか?どんな失点でもチーム全員の責任だと思う。永田充選手は「3対3の状況の時に、時間帯も考えてチーム全体を落ち着かせて、勝ち点1でも良かった」と話し、小島秀仁選手は「ゲームの流れを読んだサッカーをみんなでしないといけなかった」と後悔した。野田選手を責めるチームメイトは1人もいない。ミーシャ監督は試合後の記者会見で「野田のミスは全く問題無い。ドリブルでボールを持ちだして前に運ぼうとした。サッカーをしていて起こる事である」と話した。

野田選手は、生真面目を絵に描いたように責任感が強い選手である。試合を左右するミスに物凄く責任を感じて、試合後に謝罪をTwitterでつぶやいた。そんな、野田選手だからこそ、あえて言いたい。言わせて下さい。ミスを恐れるな。フットボールはチャレンジ&カバーが大切。ミスを恐れて消極的なプレーをする野田選手は見たくない。ミスしても良い。ミスした後が大切なのだ。どんな状況でも腐らずに、泥臭く今まで努力して来た野田選手は、再び試合に出場するチャンスを自らの手で引き寄せて、必ず物にする筈だ。それが出来る選手であると信じている。

あの日、男泣きに泣いたのなら、その思いをピッチで返せ!小さい男になるな。大きな男になれ、野田紘史。

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