浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「ロンドン五輪に懸ける思いは「○○の為」~矢野喬子選手」(7/5)

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

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ロンドン五輪メンバーに選ばれたなでしこジャパン矢野喬子選手が大会にかける想いとは

ロンドン五輪サッカー日本代表メンバーが、7月2日に発表となった。浦和からの唯一メンバーに矢野喬子選手が選出された。少し緊張した面持ちで臨んだ記者会見では「正直、選ばれてホッとしている気持ちは無いです。メンバーに入ると思っていなかったので、驚いている」と語った。

スウェーデン遠征で行なわれた6月18日のアメリカ戦は、矢野選手にとっては、テストマッチの意味合いが含まれていた。昨年、ドイツW杯決勝のアメリカ戦では、2-2の延長戦の末、PK戦を制して優勝したなでしこジャパンであったが、矢野選手は怪我の影響もあり、残念ながらピッチに立つ事は無かった。だからこそ、矢野選手にとって、どうしてもアメリカの2トップを抑えたかったのだ。しかし、速いプレスからボールを保持され、ダイナミックに高さとスピードを生かしたアメリカに、1対4と完敗。CBとして矢野選手は、FWのモーガン選手、ワンバック選手を抑える事が出来ずにいた。悔しさを胸に刻み、自分の力の無さを痛感した矢野選手は、ロンドン五輪のメンバーに選出された事に驚いたのだった。そして「自分の強みは、DFラインの何処でも出来る事を監督が評価してくれたと思う」とはにかみながら、自分なりに選出された理由を語った。

アメリカと言えば、1996年のアトランタ五輪から女子のフットボールが採用されて、常に女子のフットボール界の女王として君臨して来た。アテネ、北京と連覇した強敵である。なでしこジャパンが再び世界の頂点に立つ為には、『アメリカ』と言う大きな壁を打ち破らないといけない。スウェーデン遠征のアメリカ戦の後に、佐々木則夫監督は矢野選手に「個人ではワンバックを抑えるのは難しい。如何に組織として守る事が出来るかだ!」と言ったそうだ。矢野選手は「アメリカにことごとくやられた!遣り返したい気持ちが強い!!」と闘志を燃やしていた。

そして、色紙に「○○の為」とロンドン五輪に懸ける思いを綴った。「○○には、色んな言葉が入ると思うんですが?」と尋ねると、「日本の為だったり、友達の為だったり、家族の為にとか・・・。○○には、沢山入ります」と一瞬言葉を詰まらせながら答えた。もちろん、それは今まで支えて来てくれたサポーターの為やチームの為でもあった。当てはまる言葉は多い中、一つの言葉に決めずに『○○』と表現したのは、如何にも矢野選手らしい思いが含まれていた。

会見後に矢野選手は「もう~質問しないで下さいよ!」と苦笑いしながら話しかけて来た。そして、自分が書いた色紙をじっと眺めて「山郷の為」と会見では堪えていた思いを口にした。唇を噛みしめた矢野選手の頬を大粒の涙が零れ落ちたのだ。北京に続き選出されなかったGK山郷のぞみ選手のロンドンへの思いを矢野選手はもちろん知っていた。そして、いつも矢野選手の後には、どんなにピンチな時でも、苦しい時でも、声をかけて叱咤激励して来た山郷選手の姿があった。今の矢野選手があるのは、本人の努力の成果もあるが、山郷選手の存在は大きい。山郷選手の果たす事が出来なかった思いと、自分を後ろから支えて来てくれた感謝の思いも、決意の色紙に込められていた。

世界の頂点に立つ為には「なでしこと言えば、諦めない、一生懸命な姿をW杯で見て貰ったと思う。格上、格下でも何が起こるか分からない。90分間、一生懸命に闘わないといけない。そこがポイントになる」と矢野選手は力強く語った。矢野選手は、沢山の『○○』を背負い、ロンドンで再び世界の頂点に挑む。その思いは、必ずピッチで煌めく汗となる。

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